2014年5月29日木曜日

翻訳される偽遺伝子とnon-coding RNA : nature 2報

いろんな意味で面白い論文である。  

Nature 509,575–581
Received
Accepted
Published online 

A draft map of the human proteome 

プロテオミクス:ヒトプロテオームの概要マップ

McKusick-Nathans Institute of Genetic Medicine, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, Maryland 21205, USA 
Min-Sik Kim, Derese Getnet, Akhilesh Pandey

Department of Biological Chemistry, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, Maryland 21205, USA
Institute of Bioinformatics, International Tech Park, Bangalore 560066, India 
Sneha M. Pinto, Akhilesh Pandey

ヒトゲノムの塩基配列情報が利用できるようになったことで、生物医学研究はこの10年で大きな変容を遂げた。しかし、ヒトゲノムのマップに相当するよう な、タンパク質やペプチドの直接測定で作成されたヒトプロテオームのマップはいまだに作られていない。本論文では、高分解能のフーリエ変換型質量分析法を 用いたヒトプロテオームの概要マップを示す。17種類の成体組織、7種類の胎児組織および6種類の純化した初代培養造血細胞を含む、30種類の組織学的に 正常なヒト試料についての詳細なプロテオームのプロファイリングから、ヒトで注釈付けされた全てのタンパク質コード遺伝子の約84%に相当する 17,294個の遺伝子にコードされるタンパク質が同定された。独自の包括的なプロテオゲノミクス解析戦略によって、多数の新規タンパク質コード領域を見 つけることができた。その中には、翻訳される偽遺伝子、非コードRNAおよび上流オープンリーディングフレームが含まれている。この大規模なヒトプロテ オームのカタログ(http://www.humanproteomemap.org/でウェブ上のインタラクティブ・リソースとして利用できる)は、利 用可能なヒトのゲノムおよびトランスクリプトームのデータを補完し、健康や疾患の生物医学研究を促進するだろう。

Nature 509, 582–587 (29 May 2014) 

Received 24 November 2013 
Accepted 11 April 2014 
Published online 28 May 2014

Mass-spectrometry-based draft of the human proteome

プロテオミクス:質量分析に基づくヒトプロテオームの概要

Chair of Proteomics and Bioanalytics, Technische Universität München, Emil-Erlenmeyer Forum 5, 85354 Freising, Germany

プロテオームには、タンパク質量の大きな差異、細胞種や時期に依存する発現パターン、翻訳後修飾といった特性があり、それらはいずれも、ゲノミクスやトラ ンスクリプトミクスからは得られない生物学的情報を含んでいる。本研究では、質量分析に基づくヒトプロテオームの概要と、テラバイト規模のビッグデータを リアルタイム解析するための公開型高性能インメモリーデータベースである「ProteomicsDB」について報告する。ヒトの組織や細胞株、体液から集 められた情報により、タンパク質をコードするゲノム領域のサイズ推定が可能になり、器官特異的なタンパク質や、多数の翻訳されたlincRNA(long intergenic non-coding RNA;長鎖遺伝子間非コードRNA)が明らかになった。ヒト組織のメッセンジャーRNAとタンパク質発現プロファイルの解析からは、タンパク質量の制御 が進化的に保存されていることが明らかになり、また、薬剤感受性データを統合することで、耐性や感受性を予測するためのタンパク質が見つかった。このプロ テオームプロファイルはまた、タンパク質複合体の構成や化学量論的特性の解析にかなり役立つと期待される。このように、ProteomicsDBはプロテ オームの情報探索を可能にし、生物学的知見をもたらすとともに、プロテオミクス技術の発展を推進する。 

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