2013年10月26日土曜日

看護学校での講義を終えて・・・


看護学校での講義

前任者から急に引き継いで(8月に依頼を受けた)9月〜10月と看護学校で講義をすることになった。講義のテーマは「外科学」ではない。ましてや「分子生物学」でもない。「癌」の授業でもない。

「統合医療論」というのをやりなさいというのである。教科書と前任者の作ったパワーポイントファイルを7回分渡された。この教科書というのが、全くもって面白くないのだ。「統合医療論」とはいったい何なんだろう?いろいろ考えているうちに、最初の授業がやってきた。

第一章は「医の心であり看護の心」ときた。こんなテーマで90分も授業できるようには私の頭は出来ていない。で、飛ばした。「第一章は最後の日にやりましょう。今の私には無理だ」と学生に告げた。第二章は医学の歴史である。これは得意である。オーディオビジュアルにスライドを原型をとどめないくらい作り直して講義したところ、かなり受けた。これに自信をつけて、その後の授業を試みたが、どうも上手くいかない。「面白くないねえ」と講師に言われる学生も可哀想であるが、しょうがない。このあたりで腹をくくった。

医療とはなにか?健康とはなにか?救急医療、我が国の疾病構造の変化、老齢医療、在宅医療、地域医療、ホスピス医療、我が国の医療制度、その変遷。今後の医療に求められるもの。今後の医療を予測して、整えておかなければならない医療制度とは?最新医療の紹介。

こんなのが羅列してあるのが「統合医療論」の教科書である。今の年齢で今の立場の私には「大事なこと」が列挙してあるとわからなくもないが、18歳くらいの娘達に(60人くらいの教室だが、不思議なことに男子学生がいない)、こんな話は難しい。教科書をそのまま伝えると、限りなくむなしい講義になる。すなわち寝てしまうのだ。眠られるくらいなら講義は中止だ。オレは帰るといいたい。でもそんな訳にはいかない。

そこで教科書を無視することにした。いや教科書には触れるのだが、きっかけだけだ。あとは好き勝手に講義を作った。

表テーマは教科書の章であるが、隠れテーマを織り込むことにした。

「貴女たちが疲れることなく魑魅魍魎の医療世界を生き抜いていくための智恵」
「どうせ生きていくのなら、楽しく生きていかなくてはいけない」
「癒やすのだったら、同じくらい癒やされなさい」
「鬱に陥らないための予防戦略」
「健康感覚(自分自身のである)を失わないための工夫」

要は「折角この商売を選んでくれたのだから、生涯仕事をまっとうしてね」と言いたかったのである。
ついでに「卒業の折は、ぜひ我が社に就職してね」とのメッセージも常に振りまいた。

こんな事ばかり話していたような気がする。毎回スライドを作る(ほぼ作り直していた)のは時間と手間がかかるのだった(ブログなど書けないよ)。それでも3割くらいの学生は寝ていたが、起きている学生の反応は悪くなかった。質問すれば(非常にしばしば、いきなり質問をしていたのだ。)まあ、ちゃんと答える。答えようとしてくれる。

最後の授業が昨日であった。気合いを入れて「第一章」をしゃべった。Youtubeから映画や小説を紹介したりいろいろやってみた。自分で言うのもなんなんだが、面白かった。「申し訳ないが、君たちは実験台であった。色々やってみて、少しは講義をする自信がついてきた。来年はおそらく良い授業ができると思う。ご協力ありがとう。」と言って授業を終えた。

あのきらきらした綺麗な(最後に気が付いたが綺麗な子が多かったような)娘たちが、いきいきと看護師をしている姿を想像すると楽しみだ。




2013年10月19日土曜日

ドライバーなのにパッセンジャー??

A「お〜い、そこの君。そうだ、君だ。危ないじゃないか。そんなところを歩いていたら。車に巻き込まれるよ」

B「ぴっぴっぴー!」「全く、何キロオーバーだと思ってるんだ君。一発免停だぞ。」

実は同じ人間であっても、運転することもあれば、散策していることもあるわけだ。ドライバーであることもあればパッセンジャーになることもあるのだ。

じゃ遺伝子はどうなんだろう?

ある最新の論文を読んでいて思ったことです。つまり「さわり」なのだ。(つづく、こうご期待)




2013年10月14日月曜日

2013シカゴマラソンの結果

シカゴマラソンの結果

1 Kimetto, Dennis (KEN)  29      02:03:45


2  Mutai, Emannuel (KEN)  28    02:03:52


3  Kitwara, Sammy (KEN)  26     02:05:16


4  Kogo, Micah (KEN)  27          02:06:57


5  Ritzenhein, Dathan (USA)  30  02:09:47


6 Abshero, Ayele (ETH)  22         02:10:11


Sano, Hiroaki (JPN)  29            02:10:31


8  Mosop, Moses (KEN)  28         02:11:21


Oda, Yoshinori (JPN)   32         02:11:30


10 Tegenkamp, Matt (USA)  31     02:12:29


11 Kigen, Mike (KEN)   27            02:12:42


12  Shelley, Michael (AUS)  29      02:13:11


13 Leon, Craig (USA)  28            02:13:53


14  Higashino, Kenji (JPN)  26      02:13:53


15  Fujimori, Norihide (JPN)  28    02:13:55


16   Morgan, Mike (USA)     33     02:15:01


17   Jefferson, Fidele (USA)  35    02:15:19


18  Tanaka, Hiroki (JPN)   30          02:15:36

2013年10月13日日曜日

シカゴマラソンや指揮者ドュダメルのこと

本日の予定であるが

  1. まずシカゴマラソンが今夜21時半からある。昔はリアルタイムで追いかけていたが、今はとてもそこまで。しかし2週間前に世界新記録がベルリンででたこともあり、一応注目である。Runner's Worldで追いかけたい方はこちら。
  2. つぎにグスターボ・アドルフォ・ドゥダメル・ラミレス(Gustavo Adolfo Dudamel Ramírez)の映像が今夕のN響アワーではなく(最近では)「クラッシク音楽館」でみられる。

    これも奇しくも夜21時からである。
    ドゥダメルはベネズエラの指揮者であるが、小生のいる病院では有名である。事務長が次から次へとCDを持ってくるからなあ。マーラー上手である。彼の率いるオーケストラはベネズエラ・オリジナルであったが、これが世界の檜舞台に躍り出た過程が面白い。現代の立志伝中の人物なのだ。一般的には2004年にバンベルクで開かれた第1回グスタフ・マーラー国際指揮者コンクールに優勝し、一躍脚光を浴びる存在となった。のだめ・カンタービレの千秋君みたいな人である。オケはライジング・スターのようであるな。
こんな若者である。


2013年10月12日土曜日

サルガド写真集の豪華版のこと(値段は100万円を超える)

豪華本があるとの情報である。 TSUTAYAの情報だが500部限定。以下TSUTAYAから転載。

小生購入本と違うのは本のサイズ:
  1. 縦 70 cmx横 47cm とかなり大きいこと。704ページある。
  2. ブックスタンドがついていること(安藤忠雄デザインとのこと)




  1. 車並みの値段がついていること。

    1,365,000円

  • 著者:Sebastião Salgadoセバスチャン・サルガド(写真)
  • 出版社 :TASCHEN
500部限定、シリアル番号付き、サイン入り、ブックスタンド付き

解説/あらすじ

本書では、ガラパゴスの動物や火山、南極のペンギン、アザラシ、鵜、クジラ、ブラジルのワニやジャガー、アマゾンのゾエ族、パプアのコロワイ族、南極の氷山、サハラ砂漠、グランドキャニオンなどを収録。
た くさんの作品がある中で、サルガドの代表作と位置づけられる3つの長期間にわたるプロジェクトが1993年の「Workers(労働者)」、2000年の 「Migrations(移民)」そしてこの新作「Genesis(起源)」となります。


付属のブックスタンドは建築家 安藤忠雄氏によるデザイン。500部限定。シリアル番号付き。サイン入り。ブックスタンド付き。

受注発注のため納期が1~1.5ヶ月ほどかかります。


発売日:2013年6月
ハードカバー2冊組(革装丁)/W468×H700/モノクロ/704p/英語/500部限定/シリアル番号付き/サイン入り/ブックスタンド付き/オリジナルプリント1枚付き


2013年10月11日金曜日

セバスチャン・サルガードの新しい写真集「GENESIS」

セバスチャン・サルガードのことを知ったのは最近のことだ。近所の図書館から


人間の大地 労働―セバスティアン・サルガード写真集 




 


















 


という3kgもある写真集を借りてきて舐めるように眺めたが、久しぶりに写真集に感動した。

「3kgもあるかさばる本であるが、写真集というのはこうでなくちゃいけない。このような労働形態の多くは20世紀も末には失われていっているという。だからこそ、サルガードはこの本を遺した。一番緊張するのはブラジル金鉱の写真である。数千人はいようかと思われる鉱山露天掘りの労働者の蟻のような写真は戦慄ものである。銃を持つ監督官と労働者(奴隷のように見える)の緊張のシーンもなかなかだ。この写真集に収められた「労働」の背後には熱い血潮が流れているのが実感できる。」

こんな本を出したブラジル人サルガードが新書を出していた。

「GENESIS」


  • ハードカバー: 517ページ
  • 出版社: Taschen America Llc; Har/Bklt版 (2013/6/15)
  • 言語 英語, 英語, 英語
  • ISBN-10: 3836538725
  • ISBN-13: 978-3836538725
  • 発売日: 2013/6/15
  • 商品パッケージの寸法: 7.6 x 25.4 x 38.1 cm
7000円近くする本であるが、迷うことなく購入した。
迷っていると、いつの間にか手に入らなくなるのだ、このような写真集は。


 





2013年10月7日月曜日

2013年の医学・生理学賞は「細胞内の輸送小胞の研究」

2013年の医学・生理学賞は「細胞内の輸送小胞の研究」

 James E. Rothman, 
Randy W. Schekman and Thomas C. Südhof 

"for their discoveries of machinery regulating vesicle traffic, a major transport system in our cells".

実にしぶい受賞のような気がするが、いかにもノーベル賞らしいかもしれない。

2013年10月6日日曜日

オートファジーの大隈先生と水島昇先生のこと

トムソンのリストに今年載った「オートファジー」に関連して・・・

大隅良典(東京工業大学特任教授あるいは岡崎生理研)

この先生のことなら、たびたびお世話になる生命誌のHP 「scientist」自分を食べて生き残る細胞に魅せられてがわかりやすい。この「自分史」は面白いなあ。「オートファジー最初の報告論文」がなかなか雑誌に採用されない間に、米国国内でそのコピーが勝手に広まってしまったいたというエピソードは面白いなあ。この話が本当なら「オートファジー」のプライオリティは大隅先生に決まってしまうなあ。

水島昇(東京大学大学院医学系研究科 分子生物学分野 教授あるいは岡崎生理研)

この先生のことはトムソンの略歴

いよいよ明日がノーベル賞ですな。