2012年11月13日火曜日

クインケの浮腫

全身どこに症状が出てもおかしくないのに、ある一定の臓器・器官にきまって発現する場合その病態には「名前がつく」ことが多い。例えば蕁麻疹である。一般に蕁麻疹は全身の皮膚に出る。地図状の膨疹であり紅斑を伴い、なんといっても痒い。この蕁麻疹の一種であるが「血管性浮腫」と呼ばれる病態がある。顔面特に唇や眼瞼に多いと報告されている。

これまでの説明では蕁麻疹の一分症として「血管性浮腫」が含まれる・・・とされてきたがどうであろう。ヒスタミン遊離で血管が拡張し、血漿・リンパ液が間質にあふれて浮腫を起こすことが「蕁麻疹」であろうから病理形態学的には蕁麻疹=血管性浮腫でなんら差し支えないはずである。蕁麻疹はすべからく皆「血管性浮腫」のような気がするが、まああまり突っ張らないようにしよう。

さて、話を簡単にしようと思ったのだが、かえって混乱して来たな。蕁麻疹の中に「名前がつく」ものがあるというのが、テーマであった。そのようなものの中に「クインケの浮腫」がある。血管性浮腫であり顔面に出るものをこのように呼ぶようだ。

最近これに悩まされている。

誰がって?小生自身がである。

悩まされながら発作が終わると不思議なんだな、これが。決まって上唇に出るのが小生のパターンである。痒くはないが、厚く腫れぼったくなり、困るのは人相が変わることだ。半日から一日続く。だから外来はマスクをしています。

最初に発作が出た時は鏡を見て「あれこれは浮腫ではないか。まてよ 「クインケの浮腫」か、これが」と思った。次に「クインケの浮腫」に出会ったのはNEJMであった。Angioedemaであった。ご覧になった方も多かろう。

理由がよくわからないので、じっくりいくつかの検査をしている。一般血液検査 では全く異常がない。IgEとやらを測ってみたがやはり高い。570〜と出た。書き忘れたが、蕁麻疹そのものも出るのでアレルゲンテストもしたが、これが魚関係で複数陽性となる。というわけでしばらく「刺身」を食べていない。しばらく「寿司」と縁がない。生さかなを食べなくなってからも時々「クインケの浮腫」になるので悩ましいのだ。

口の悪い仲間からは「さかなが食べられなくなったら、俺ならば生きる意欲を失うね」と言われるが、一方「口唇で良かったじゃないの、お前さん、喉頭とかが浮腫ったら大変よ」とか言われると、「ああそうか、そうだよね」とも思う。

N Engl J Med

2012; 367:1539
October 18, 2012
 
Images in Clinical Medicine

Disfiguring Angioedema 

Didier G. Ebo, M.D., and Chris H. Bridts, B.Sc. 

























ベルギーのこの方は遺伝性の血管浮腫だったとのことである。小生も補体を調べておく必要はあるな。

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