2012年6月30日土曜日

算数と数学のあいだで・・・・:大変だな受験生は














小学校5年生の姪娘がいる。この子はお受験とやらで四谷大塚(進学塾)の問題集をやっている。その7つ年上の高校三年生が受験用の問題集をやっている。その二人が小生のところに持って来た問題が上の問題だ。(4)とか(5)というのはコピーの都合であり気にしないでほしいが、これ面白いね。ほとんど同じ顔つきの問題なのに、

(4)は中学受験レベルとされ、
(5)は大学受験レベルと評価されるのだな。

(4)はさすがにすぐに出来たが、(5)はすいぶん時間がかかったな。運良く解答できたので「伯父さま」としての面目は立ったが、これが入試で出されたら差がつくのだろうか?小生にとってはとても難しい問題だったが、こんなのを今の受験生は楽々と解くのであろうか?

大変だな受験生。(小学生にとっても高校生にとっても・・・という意味だ)

2012年6月27日水曜日

味覚の科学:近未来のノーベル賞はこれだ

今週号のnatureには「味覚」の特集が載っている。「味の素」の提供であるが、なかなか優れものでタイムリーな特集である。

90年代の嗅覚レセプター研究がノーベル賞に輝いたことは記憶に新しい。
味覚もきっと近いうちにノーベル賞を取ることになるだろう。

  1. 今 世紀になって味覚の科学はのりに乗っている。当時ようやく入手可能となったゲノムマップによりまず「苦み」に対するレセプターが見出された。それ以来、 「甘味」「しょっぱ味」「酸味」「うま味」に対するレセプターが次々に発見された。以上がいわば厳格な「味覚の基本クラブ」であるが、最近では新メンバー の加入を考え始めている。「炭水化物味」「金っ気味」そして「脂味」である。

  2. 最 近さらに面白いことがわかり始めている。味というのは舌ばかりでなく、どうやら全身で感じるものだということみたいなのだ。まず味覚レセプターは腸管にも 存在するし、気道にもあるし、なんと精子にもあるのだ。もっともこいつらの機能はまだわかっていない。文化について香りの持つ意味は言うまでもないことで あり科学者、シェフそして食品業界はなんとか新しくて魅力的な味を作りたいものだと駆り立てられてきた。

  3. 一方味覚についても個人差があるが、これが肥満と関連しているとの研究もある。更にこれまで主観的だった味覚の科学にも新しいテクノロジーが入り込み味覚を客観的に測定する技術も進んできた。








苦み、甘味、うま味、酸味そしてからさ(しょっぱ味)のレセプター構造である。
















2000年に苦みレセプターが、2001年に甘味
レセプターが見つかる。

2002年には苦みレセプターが消化管に確認された。

2002年には更にうま味レセプターの発見
2005年には甘味レセプターがこれも
消化管に確認された。

2006年には酸味レセプターの発見

2009年には炭酸飲料を飲んだときの炭酸に対するレセプターが酸味細胞に見つかる。

2010年にはしょっぱ味に対する
レセプターの発見




3. Chandrashekar, J. et al. Cell 100, 703711 (2000).
4. Boyd, W. C. Science 112, 153 (1950).
5. Nelson, G. et al. Cell 106, 381390 (2001).
6. Nelson G. et al. Nature 416, 199202 (2002).
7. Huang, A. L. et al. Nature 442, 934938 (2006).
8. Chandrashekar J. et al. Science 326, 443445 (2009).
9. Chandrashekar, J. et al. Nature 464, 297301 (2010).

UCSDにZukerラボというのがある。このホームページを参考にしてもよいかも。

チャンドラセカールやネルソンというのはこのラ・ホーヤの研究室に属している。


2012年6月21日木曜日

natureに乳癌関連論文が同時に5報:articleが2報

nature に乳癌論文が一挙に5報掲載された。かつてこんなissueは見たことがない。一部(例えばアロマターゼ感受性の論文)はonline firstで見ていた論文だから知ってはいたが・・・しかしこれだけ一挙に出されると、読み応えがありますな。

nature

Volume 486 Number 7403 pp293-434

  • Integrative analysis of copy number and gene expression in 2,000 primary breast tumours with long-term clinical follow-up revealed putative cis-acting driver genes, novel subgroups and trans-acting aberration hotspots that modulate subgroup-specific gene networks.

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    乳がんのサブグループとそれらの発生を引き起こす分子的要因の解明には、相当数の患者に由来するゲノムとトランスクリプトームを統合的に見ることが必要で ある。本論文では、長期的に臨床経過観察した原発性乳房腫瘍の997検体からなる発見セットおよび995検体からなる検証セットの、コピー数および遺伝子 発現を統合して解析した結果を示す。遺伝的多型(コピー数多型および一塩基多型)および後天性の体細胞性コピー数異常(CNA)は、約40%の遺伝子の発 現との関連性が認められ、その全体像はシスおよびトランスに作用するCNAによって支配されていた。CNAによってシスに駆動される発現外れ値 (expression outlier)遺伝子群を詳細に調べることで、 PPP2R2A 、 MTAP および MAP2K4 における欠失を含むがん遺伝子候補が見つかった。対にしたDNA–RNAプロファイルの教師なし解析から、異なる臨床転帰を伴う複数の新規サブグループが 明らかになり、検証コホートでもそれが再現された。これらの新規サブグループの中には、エストロゲン受容体陽性で11q13/14シス作用性のハイリスク なサブグループや、CNAがなく予後良好なサブグループが含まれている。トランスに作用する異常ホットスポットは、「CNAのない」サブグループでの TCR欠失を介した適応免疫応答や、基底様型乳がん特異的な5番染色体欠失関連の有糸分裂ネットワークなどの、サブグループ特異的な遺伝子ネットワークを 調整することが明らかになった。以上の結果は、体細胞性CNAがトランスクリプトームに及ぼす影響に由来する、乳がん分類群の新規の分子的層別化を明らか にしている。

  • 医学 : 全ゲノム解析から明らかになった、アロマターゼ阻害への乳がんの応答性 OPEN

    Whole-genome analysis of oestrogen-receptor-positive tumours in patients treated with aromatase inhibitors show that distinct phenotypes are associated with specific patterns of somatic mutations; however, most recurrent mutations are relatively infrequent so prospective clinical trials will require comprehensive sequencing and large study populations.

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    我々は、エストロゲン受容体陽性乳がんの多様な臨床像と体細胞変異を関連付けるために、アロマターゼ阻害剤を用いたネオアジュバント療法についての2つの 研究で患者から得られた治療前の腫瘍生検標品について、大規模並行塩基配列解読および解析を行った。有意な変異がある遺伝子18個が見つかり、このうちの 5個( RUNX1 、 CBFB 、 MYH9 、 MLL3 、 SF3B1 )はすでに造血障害に関連付けられているものだった。変異型MAP3K1は組織学的悪性度や増殖速度が低いルミナルA型と相関していたが、変異型TP53はこれとは逆の相関パターンを示した。さらに変異型 GATA3 はアロマターゼ阻害剤治療による増殖抑制と相関していた。パスウェイ解析によって、MAP3K1の基質である MAP2K4 の変異は、MAP3K1が減少した場合と同様の変化をもたらすことが明らかになった。エストロゲン受容体陽性乳がんの異なる複数の表現型は、腫瘍の生物学 的特性と関係する細胞内経路に位置付けられる体細胞変異の特定パターンと関連しているが、ほとんどの再発性変異は比較的まれである。これらの知見に基づく 前向き臨床研究には包括的なゲノム塩基配列解読が必要だろう。

  • 医学 : 原発性トリプルネガティブ乳がんのクローンおよび変異の進化スペクトラム

    Primary triple-negative breast cancers are shown to vary widely and continuously in the degree of clonal evolution and mutational content at the time of diagnosis, with implications for future studies of the disease.

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    原発性トリプルネガティブ(三重陰性)乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体および ERBB2 遺伝子増幅の欠如によって定義される腫瘍タイプで、全乳がんのおよそ16%を占める。本論文では、TNBCの104症例において、これらのがんは診断時に ゲノム進化の広範囲かつ連続的なスペクトラムを示すが、いくつかの経路に少数のコーディング体細胞変異しか見られない腫瘍もあれば、何百ものコーディング 体細胞変異の見られる腫瘍もあることを示す。ハイスループットRNA塩基配列解読(RNA-seq)から、発現している変異は約36%に過ぎないことが明 らかになった。今回、大規模な再解読によって、2,414個の体細胞変異について対立遺伝子の量を測定することにより、我々の知るかぎりで初めて、上皮腫 瘍サブタイプにおける、集団を代表する症例間でのクローン頻度の相対量を決定した。TNBCは診断時のクローン頻度に大幅な変動があり、TNBCの基底細 胞型サブタイプは非基底細胞型TNBCよりも多様性に富むことがわかった。 p53 (別名 TP53 )、 PIK3CA および PTEN の体細胞変異はほかの遺伝子と比べて優位なクローンであるようだが、いくつかの腫瘍では、それらのクローン頻度は創始者状態(founder status)と一致しない。細胞骨格、細胞の形状および運動性に関与するタンパク質の変異は、より低いクローン頻度で起こっていたことから、それらの変 異は腫瘍の進行過程の後期に起こったことが示唆される。まとめると、我々の結果は、TNBC患者の生物学的特徴と治療への反応を理解するためには、個々の 腫瘍クローンの遺伝子型の決定が必要であることを示している。


  • A study of breast cancers shows that the number of somatic mutations in each varies markedly and is strongly correlated with age at diagnosis and cancer histological grade.

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    すべてのがんのゲノムには体細胞変異が存在する。その一部はドライバー変異として知られるもので、がん細胞にクローン選択優位性を与え、発がんの原因に関 与していると考えられており、それ以外の変異はパッセンジャー変異である。乳がんに影響を及ぼすドライバー変異および突然変異過程に関しては、包括的な研 究がいまだに行われていない。今回我々は、100の腫瘍のゲノムについて、タンパク質コード遺伝子のコーディングエキソンにおける体細胞のコピー数変異お よび突然変異について解析した。体細胞突然変異の数は、腫瘍ごとに大きく異なる。我々は、変異の数、がんが診断された年齢、がんの組織学的悪性度に強い相 関があることを見いだし、また、TpCジヌクレオチドにおける多数のシトシンの変異を特徴とする約10%の腫瘍に見られるものなど、複数の突然変異シグネ チャーを観察した。ドライバー変異は、 AKT2 、 ARID1B 、 CASP8 、 CDKN1B 、 MAP3K1 、 MAP3K13 、 NCOR1 、 SMARCD1 、 TBX3 など、いくつかの新規がん遺伝子で見つかった。100の腫瘍の中で、我々は少なくとも40のがん遺伝子および変異したがん遺伝子の73種類の異なる組み合 わせの中にドライバー変異を見いだした。今回の結果は、この一般的な疾患の原因は、遺伝的にかなり多様であることを強調している。

  • 医学 : 乳がんのさまざまなサブタイプに見られる変異と転座の塩基配列解析 OPEN

    This paper reports one of the largest breast cancer whole-exome and whole-genome sequencing efforts so far, identifying previously unknown recurrent mutations in CBFB, deletions of RUNX1 and recurrent MAGI1AKT3 fusion; the fusion suggests that the use of ATP-competitive AKT inhibitors should be evaluated in clinical trials.

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    世界的に、乳がんは女性のがん関連死の主要な原因であり、2008年だけでも新たな症例は138万例、死亡は45万8,000人に上ったと推定されてい る。乳がんは、特徴的な分子特性、予後、既存の治療法に対する反応性が違う異種のがんからなる悪性腫瘍群である。乳がんでは、変異やコピー数変化などと いった体細胞変異の頻発が報告されており、特に ERBB2 遺伝子の増幅は、ゲノムの異常から見つかった治療標的として初めての成功例となっている。乳がんゲノムのこれまでのDNA塩基配列解読研究によって、これ 以外にも、治療標的の候補となる変異や遺伝子再編成が判明している。本論文では、メキシコとベトナムの患者から得たさまざまなサブタイプに属する103の ヒト乳がん由来DNAの全エキソーム塩基配列を対応する正常DNAと比較し、さらに22組の乳がん/正常ペアの全ゲノム塩基配列についても報告する。 PIK3CA 、 TP53 、 AKT1 、 GATA3 、 MAP3K1 の体細胞変異の頻発を確認できただけでなく、転写因子遺伝子 CBFB にも変異が頻発することや、その結合相手となるタンパク質の遺伝子 RUNX1 の欠失も明らかになった。さらに、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、 ERBB2 の発現がどれも失われているトリプルネガティブ(三重陰性)の乳がんでは、 MAGI3 – AKT3 融合が多く見られることが判明した。MAGI3–AKT3融合によってAKTキナーゼが構成的に活性化されるが、これは、ATP拮抗型の低分子AKT阻害剤の投与で抑制できる。


2012年6月19日火曜日

肉腫の発生頻度:時代とともに・・・

整形外科学会による全国統計である。期間は1985年から94年。一昔前のデータである。MFHが多いのは時代からして当然のことだろう。総計2500例である。これが日本の現状なのであろう(病理分類の変遷が背景・通奏低音にあることは考慮すべきこと)

いろいろな肉腫があるが、発生頻度からいって6種類ほど馴染んでおけばよい。骨は別だ。これはあくまで軟部腫瘍ということで
  1. 脂肪肉腫
  2. 悪性繊維性組織球腫(Malignant Fibrous Histiocytoma: MFH)
  3. 平滑筋肉腫
  4. 横紋筋肉腫
  5. 滑膜肉腫
  6. 悪性末梢神経鞘腫(Malignant Schwanoma)

これ以下はぐっと頻度が下がり、また報告者によって疾患頻度がバラバラ。



























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ある病理学教室における肉腫のカタログを併記しておこう。
































九州大学病理学教室の論文より引用


骨もついでに






























クリックで大きくなります。


かつて軟部腫瘍の分類はかなり原始的であった。紡錘形肉腫とかね。その後病理学界にはEnzingerという巨匠が出現し軟部腫瘍病理学を近代的に再構築するの成功した。その時彼が導入したのがMFHという疾患概念であった。Enzingerのおかげで20年くらい前はMFHという診断名が大いに流行(猛威をふるっていた)し、多くの肉腫が MFHに再分類されていったのだ。その後この流れは一旦止まり、現代では再び再分類されているようでMFHは減少している。このように病理診断名というのは、時代により(学問が進歩するがゆえ)変動するのである。

病理診断の時代的変遷というのはMFHという病気の趨勢に関係する。1994年頃、MFHが流行っていた頃の論考を一つ紹介したい。


「日本人肉腫の病理疫学的研究」  1994年

研究課題番号:06280105→  これは当時の科学研究費研究の報告書である。PIは東大の町並教授。これに


  1. 椙村 春彦  研究者番号:00196742 浜松医科大学・助教授
  2. 野島 孝之  研究者番号:50142732 金沢医科大学・教授
  3. 吉田 春彦  研究者番号:40037429 鳥取大学・医療技術短期大学部・教授
  4. 恒吉 正澄  研究者番号:20091259 九州大学・医学部・教授
  5. 牛込 新一郎  研究者番号:70081643 東京慈恵会医科大学・教授

が参加している。まあ当時の軟部腫瘍の大御所達なんだろう。


・・・・今年度は、1970〜1970年の骨及び軟部腫瘍症例の標本を見直し、病理組織学的診断の再検討を行った。
軟部悪性腫瘍については、
  1. 北大の症例では、見直しを行っても脂肪肉腫が第1位であったが、第5位(8%)であったMFHが第2位(16%)に、
  2. 東大の症例ではMFHが第6位(4%)から第1位(20%)に、
  3. 鳥取大学の症例でも第8位(3.3%)であったMFHが第2位(17.4%)に上昇している。

    1. 見直し後の診断により、1979年〜1989年の症例をまとめると、北大ではMFH(17%)横紋筋肉腫(15%)、脂肪肉腫(14%)
    2. 東大では、MFH(13%)、脂肪肉腫(8%)、横紋筋肉腫(6%)、
    3. 慈恵医大では脂肪肉腫(17%)、MFH(11%)、横紋筋肉腫(11%)、
    4. 鳥取大ではMFH(24.7%)、脂肪肉腫(19%)、平滑筋肉腫(16%)、
    5. 九州大では、MFH(20%)、脂肪肉腫(10%)、平滑筋肉腫(10%)の順であった。

      骨悪性腫瘍については見直しを行うと、
  1. 北大では第4位(5%)であったMFHが骨肉腫及び軟骨肉腫に次いで第3位(12%)に、
  2. 東大では第9位であったMFHが、骨肉腫、骨髄腫、軟骨肉腫、脊索腫に次いで第5位に、
  3. 鳥取大では見直しを行ってもMFHの頻度には変化がなく、骨肉腫、骨髄腫、軟骨肉腫に次いで第4位であった。

    見直し後の1970〜1989年の骨悪性腫瘍の頻度の順位をまとめると、

    1. 北大では骨肉腫(49%)、軟骨肉腫(22%)、MFH(11%)、悪性リンパ腫(6%)、脊索腫(5%)、骨髄種(4%)、
    2. 東大では、骨髄種(31%)、骨肉腫(23%)、軟骨肉腫(11%)にMFH(6%)
    3. 慈恵医大では、骨肉腫(59%)、軟骨肉腫(19%)、傍骨性骨肉腫(6%)、MFH(4%)
    4. 鳥取大では骨肉腫(12%)、軟骨肉腫(4%)、骨髄種(4%)、MFH(2%)、ユ-イング肉腫(1%)、
    5. 九州大では骨肉腫(52%)、MFH(17%)、軟骨肉腫(17%)の順であった・・・・

このころはMFHが一番多い病名だったことが伺われる文献である。

流れを変えたのはFletcherという病理医。この人の↓の論文(1992年のAm J Surg Pathol)で流れが変わっていくようだ。Fact or Fictionなんて挑戦的だな。

Pleomorphic Malignant Fibrous Histiocytoma: Fact or Fiction?: A Critical Reappraisal Based on 159 Tumors Diagnosed as Pleomorphic Sarcoma

American Journal of Surgical Pathology. 16(3):213-228, March 1992.

  • Pleomorphic malignant fibrous histiocytoma (MFH) is regarded as the most common soft tissue sarcoma of adulthood, but no definable criteria exist for its diagnosis. Possibly its only distinctive feature is its apparent lack of specific differentiation. To determine the validity of pleomorphic MFH, 159 tumors diagnosed as pleomorphic sarcomas have been reassessed morphologically, immuno-histochemically, and ultrastructurally, where possible. Of these 97 cases (63%) proved to be specific sarcomas other than MFH, 20 proved to be nonmesenchymal neoplasms, and 42 were unclassifiable (of which 21 were either small biopsies or subtotally necrotic). Only 13% of these cases were eligible for consideration as MFH, but these showed no reproducible histological differences from the other tumors studied, nor was this group morphologically consistent. These tumors showed no evidence of true monocyte/macrophage differentiation. It is postulated that pleomorphic MFH is a noncohesive heterogeneous group of poorly differentiated neoplasms, a term that has become a meaningless diagnosis of convenience. With sufficient effort, a specific line of differentiation can be identified in the majority of pleomorphic malignant soft tissue tumors; with advances in investigative technology, the proportion that remain unclassifiable is very likely to diminish further in the future.

私のささやかな意見であるが、Enzinger & WeissによるMFHという概念があって初めて分類学としての病理学は大いに進んだんだと思う。そこから再分類が試みられ、次のより洗練された疾患分類ができるのなら、MFHというのはすぐれて優秀な作業仮説だったということだ。Fletcherの次の世代はmolecular biologyで肉腫を攻めているはずだ(私は詳細を知らないが)。molecular classificationなんて提言はいくらでもありそうだが、寡聞にして知らない。

Fletcherの次に何が待っているか?第二のEnzinger & Weissがやってくるかもしれない。Aufhebenなら良いわけだが。

あるいは全く違った分類体系が現れるかもしれない。

腫瘍のclinical behaviorと分子分類が一致するような新体系で現状の診断体系より洗練したもの。そこに病理形態組織が入り込む余地が全くないような分類(つまり顕微鏡をのぞいてもどうしてその診断名になるのか全くわからないような診断体系)が登場するかもしれない。それでも臨床には役に立つ分類。

病理学者はのんびりしている暇はないぞ!

2012年6月18日月曜日

最近購入したラヴェルのCD4枚



























このピアニストはロシア人でアンナ・ヴィニツカヤという。83年生まれというから、御年29才くらいか。エリザベート音楽祭で第1位となったヒトだ。このCDは3枚目というが構成が「逝ける王女のパヴァーヌ」と「鏡」と「夜のガスパール」の3部作であるから、相当自信があるのだろう。私は「夜のガスパール」という曲が今一つ好みでないのだが、この彼女のガスパールは悪くないと思った。もひとつ告白すると「逝ける王女のパヴァーヌ」も好きではない。ラヴェル自身も晩年にはこの曲を作曲したことを後悔していたらしい。「鏡」はよろしいと思う。




























お次はフランス人でタロウ氏という。このCDは2003年製である。タロウ氏のこのCDはまず音が極めて優れている。録音が並外れて良いのだ。タロウのピアノはテクニックが素晴らしい上に、音が艶やかで美しい。タロウはロルティやシモンとならんで、小生の好みの一人になるかもしれない。ならないかもしれない。10回くらい聴いてみないとなあ。その点、次のエル・バシャはすごいよ。




























エル・バシャである。トルコ人なんです。この95年の録音はラヴェルのピアノが好きな人なら、手元に必ず置いておきたい一枚だ。素晴らしい演奏技術である。淡々と当たり前に弾きこなすのが良いラヴェル弾きだと小生は思うが、エルバシャは思い入れの全くない、まったく小生好みのピアニストである。いいわぁ、このヒト。

とはいえ、このCDを手に入れるのには苦労した。ネットを渉猟し古物市場に一枚浮いているのを発見したのは最近のことだ。日本の最南端の県の更に最果てにある町の店の倉庫に眠っていた一枚なのだ。送られてきた一枚は包装の具合から新品のように見える。17年間開封されたあとがない。






























最後はハイドシェックである。まだ聴いていないが、この四枚の中で唯一巨匠である。どんなラヴェルを聴かせるのか、楽しみである。

2012年6月16日土曜日

現代のラヴェル弾き:未聴のピアニストたち

ラヴェル弾きを探しては聴いている。なかなか探すのが難しいが、Naxosのホームページからは試聴が可能な何人かがいる。

今興味があるのは アルフレッド・パールというひと。昨日まではまったく知らなかった。Naxosでは15分間無料で試聴ができるので、とりあえず掲載されているピアニストで知らないヒトのクープランの一曲目(Prelude)を聴きまくったその中で抜群にテクニックが冴えていたのがパールだ。全集で5000円近くするので、ちょっと考えてしまうがこれは買わなければと思う。

音楽図鑑(このブログは参考になること多々)によると、パールのラヴェルはちょっと違うというが、まあいいのだ。小生は好きだよパール。

しかしネットの世界はすごいです。日本は広い。探せばいくらでも参考ブログがあるのだ。音楽図鑑の著者は自分もピアノ弾きのようだが、ラベルとショパンへの入れこみ方は半端じゃない。これくらい趣味が先鋭化していないと参考にならないな。

2012年6月14日木曜日

「Molecular Cloning」海賊版のこと

どこかの雑誌を読んでいたら、CSHPから「Molecular Cloning」の最新版が出版されるという広告が出ていた。なんでも第4版だとのこと。






ずいぶん可愛らしい装丁であり、マッキントッシュのソフトウェアの表装かと見間違えそうである。「Molecular Cloning」この本には世話になった。他に本が無かったからな。小生が分子生物学を見よう見まねで学べたのは、この本を読みこなしたからだ。東大医科研から随分経ってよいベンチ本が出たが、それまでの世代は皆、この本で方法論を学んだことでしょう。小生らの頃は著者名で「マニアティス」と呼称していた。サムブルックではないよ。Sambrookと呼ばれたのはその後のことでしょうな。

私の持っているのは初版である。とはいえないな。小生の本は正直言って海賊本である。B5くらいのハードカバーの一冊本である。ですから字が極めて小さい。ある日大学の研究室に「おじさん」が売りにきたので、当たり前のように買ったのだ。今でこそ「海賊本」であったのだと認識できるが、購入時は講師の先生が「Molecular Cloning自分用に買っといたほうがいいよ。昼休みおじさんが売りにくるから、よろしくね!」と言われて、なにも余計なことを考えずに買ったのである。これが本物だと思っていたからな。そういえばあの頃は(20年くらい前かしら?)は、こんなハードカバー本が多かった。日本にもである。海賊版など、今は流行らないでしょうし、大学でそんなものが売られていることなど許されない時代だけど、当時はおおらかというか、いい加減だったのだろうな。

原本が3冊で、電話帳のような冊子体であることを知ったのは、それから随分経ってからのこと。おそらく、価格は3分の一以下であっただろう。

で第四版である。今時の学生さん必要でしょうかね、この本。

c-mabやp-mabが効かなくなる前兆としての血液変化

イタリアからの報告である。c-mabやp-mabはEGFRに対するモノクロ分子標的薬であり、大腸癌では標準治療として使われるが、いずれ抵抗性となることが多い。この抵抗性は二次的なk-ras変異によるというのが、今回のnatureの論文である。

・・・・・KRAS
mutant alleles were detectable in the blood of cetuximab-treated patients as early as 10 months before radiographic documentation of disease progression・・・・

血中に遊離したがん細胞のk-ras変異は、腫瘍が再燃する時期(レントゲン上)にさかのぼること10ヶ月前でも検索可能であるとの論旨である。

次なる手が打てる時期を確保できるという主旨であるが、面白い。

Nature(2012)

Received 08 December 2011
Accepted 23 April 2012
Published online 13 June 2012

Emergence of KRAS mutations and acquired resistance to anti-EGFR therapy in colorectal cancer

  • A main limitation of therapies that selectively target kinase signalling pathways is the emergence of secondary drug resistance. Cetuximab, a monoclonal antibody that binds the extracellular domain of epidermal growth factor receptor (EGFR), is effective in a subset of KRAS wild-type metastatic colorectal cancers. After an initial response, secondary resistance invariably ensues, thereby limiting the clinical benefit of this drug. The molecular bases of secondary resistance to cetuximab in colorectal cancer are poorly understood. Here we show that molecular alterations (in most instances point mutations) of KRAS are causally associated with the onset of acquired resistance to anti-EGFR treatment in colorectal cancers.

  • Expression of mutant KRAS under the control of its endogenous gene promoter was sufficient to confer cetuximab resistance, but resistant cells remained sensitive to combinatorial inhibition of EGFR and mitogen-activated protein-kinase kinase (MEK). Analysis of metastases from patients who developed resistance to cetuximab or panitumumab showed the emergence of KRAS amplification in one sample and acquisition of secondary KRAS mutations in 60% (6 out of 10) of the cases.

  • KRAS mutant alleles were detectable in the blood of cetuximab-treated patients as early as 10 months before radiographic documentation of disease progression. In summary, the results identify KRAS mutations as frequent drivers of acquired resistance to cetuximab in colorectal cancers, indicate that the emergence of KRAS mutant clones can be detected non-invasively months before radiographic progression and suggest early initiation of a MEK inhibitor as a rational strategy for delaying or reversing drug resistance.

2012年6月10日日曜日

肝癌deep sequenceによる遺伝子変異解析:2報

肝癌から二報:日本の肝癌でもARIDは変異しているとの報告と、肝癌におけるウイルスintegrationのdeep sequenceによる報告である。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2012年5月21日月曜日
ARID遺伝子変異をめぐる小論
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

(1) 肝癌27例のdeep sequenceによる遺伝子変異解析であり、理化学研究所を中心とする研究グループによるものである。多発肝癌それぞれが変異に関してはindependentと書いてある。肝癌では昨年ARID2の変異報告が米国からあり、その論文ではアジアの肝癌(実際には中国の肝癌であった)にはその変異がほとんど認められないとあったが、今回の報告では

ARID1A, ARID1B, ARID2, MLL and MLL3, were mutated in ~50% of the tumors

とある。米国の報告ではnon-アジアで10%程度であったはずだけど、今回の日本人肝癌ARID2だけだと、%はいかほどなのだろう?

Nature Genetics

(2012)

Received 17 January 2012
Accepted 30 April 2012
Published online 27 May 2012

Whole-genome sequencing of liver cancers identifies etiological influences on mutation patterns and recurrent mutations in chromatin regulators

Akihiro Fujimoto,Yasushi Totoki,Tetsuo Abe,Keith A Boroevich,Fumie Hosoda,Ha Hai Nguyen,Masayuki Aoki,Naoya Hosono,Michiaki Kubo, Fuyuki Miya,Yasuhito Arai,Hiroyuki Takahashi,Takuya Shirakihara,Masao Nagasaki, Tetsuo Shibuya,Kaoru Nakano,Kumiko Watanabe-Makino,Hiroko Tanaka,Hiromi Nakamura,Jun Kusuda,Hidenori Ojima,Kazuaki Shimada,Takuji Okusaka,Masaki Ueno,Yoshinobu,Shigekawa,Yoshiiku Kawakami,Koji Arihiro,Hideki Ohdan,Kunihito Gotoh, Osamu Ishikawa,Shunichi,Ariizumi,Masakazu Yamamoto,Terumasa Yamada,Kazuaki Chayama,Tomoo Kosuge,Hiroki Yamaue,Naoyuki Kamatani,Satoru Miyano,Hitoshi Nakagama,Yusuke Nakamura,Tatsuhiko Tsunoda,Tatsuhiro Shibata& Hidewaki Nakagawa

Hepatocellular carcinoma (HCC) is the third leading cause of cancer-related death worldwide. We sequenced and analyzed the whole genomes of 27 HCCs, 25 of which were associated with hepatitis B or C virus infections, including two sets of multicentric tumors. Although no common somatic mutations were identified in the multicentric tumor pairs, their whole-genome substitution patterns were similar, suggesting that these tumors developed from independent mutations, although their shared etiological backgrounds may have strongly influenced their somatic mutation patterns. Statistical and functional analyses yielded a list of recurrently mutated genes. Multiple chromatin regulators, including ARID1A, ARID1B, ARID2, MLL and MLL3, were mutated in ~50% of the tumors. Hepatitis B virus genome integration in the TERT locus was frequently observed in a high clonal proportion. Our whole-genome sequencing analysis of HCCs identified the influence of etiological background on somatic mutation patterns and subsequent carcinogenesis, as well as recurrent mutations in chromatin regulators in HCCs.

(2)昔からB型肝炎ウイルスは肝炎・肝硬変で肝細胞のゲノムDNAに挿入されていることが知られており、その時代の技術に応じた解析報告が時代ごとにしつこく頻回にこれまでもなされていた。小生は興味をもって学会会場に足を運んだものだ。はっきり言って説得力のある研究は皆無に近かったと思うぞ。これほどその詳細報告が待たれていた研究はないのではないか?2012年レベルでの一応の解答が下記であり、上の日本からの報告である。その結果はどれほどのものであったのか?

Nature Genetics

(2012)

Received 23 January 2012
Accepted 30 April 2012
Published online 27 May 2012

Genome-wide survey of recurrent HBV integration in hepatocellular carcinoma


To survey hepatitis B virus (HBV) integration in liver cancer genomes, we conducted massively parallel sequencing of 81 HBV-positive and 7 HBV-negative hepatocellular carcinomas (HCCs) and adjacent normal tissues. We found that HBV integration is observed more frequently in the tumors (86.4%) than in adjacent liver tissues (30.7%). Copy-number variations (CNVs) were significantly increased at HBV breakpoint locations where chromosomal instability was likely induced. Approximately 40% of HBV breakpoints within the HBV genome were located within a 1,800-bp region where the viral enhancer, X gene and core gene are located. We also identified recurrent HBV integration events (in ≥4 HCCs) that were validated by RNA sequencing (RNA-seq) and Sanger sequencing at the known and putative cancer-related TERT, MLL4 and CCNE1 genes, which showed upregulated gene expression in tumor versus normal tissue. We also report evidence that suggests that the number of HBV integrations is associated with patient survival.

気になる論文いくつか:時間がない!

6月の上旬であるが、気になる論文は幾つもある。ただ、読む暇(目を通す暇)がないのだ。忘れたくないものもあるので備忘。

まずゲノム屋としてはとても興味を引かれるのがNature Geneticsの二つの論文である。


Nature Genetics 44, 642–650 (2012)

Received 12 September 2011
Accepted 09 April 2012
Published online 06 May 2012

Detectable clonal mosaicism from birth to old age and its relationship to cancer

Department of Biostatistics, University of Washington, Seattle, Washington, USA.

We detected clonal mosaicism for large chromosomal anomalies (duplications, deletions and uniparental disomy) using SNP microarray data from over 50,000 subjects recruited for genome-wide association studies. This detection method requires a relatively high frequency of cells with the same abnormal karyotype (>5–10%; presumably of clonal origin) in the presence of normal cells. The frequency of detectable clonal mosaicism in peripheral blood is low (<0.5%) from birth until 50 years of age, after which it rapidly rises to 2–3% in the elderly. Many of the mosaic anomalies are characteristic of those found in hematological cancers and identify common deleted regions with genes previously associated with these cancers. Although only 3% of subjects with detectable clonal mosaicism had any record of hematological cancer before DNA sampling, those without a previous diagnosis have an estimated tenfold higher risk of a subsequent hematological cancer (95% confidence interval = 6–18).

Nature Genetics 44, 642–650 (2012)

Received 29 September 2011
Accepted 09 April 2012
Published online 06 May 2012

Detectable clonal mosaicism and its relationship to aging and cancer

Division of Cancer Epidemiology and Genetics, National Cancer Institute (NCI), Rockville, Maryland, USA.

In an analysis of 31,717 cancer cases and 26,136 cancer-free controls from 13 genome-wide association studies, we observed large chromosomal abnormalities in a subset of clones in DNA obtained from blood or buccal samples. We observed mosaic abnormalities, either aneuploidy or copy-neutral loss of heterozygosity, of >2 Mb in size in autosomes of 517 individuals (0.89%), with abnormal cell proportions of between 7% and 95%. In cancer-free individuals, frequency increased with age, from 0.23% under 50 years to 1.91% between 75 and 79 years (P = 4.8 × 10−8). Mosaic abnormalities were more frequent in individuals with solid tumors (0.97% versus 0.74% in cancer-free individuals; odds ratio (OR) = 1.25; P = 0.016), with stronger association with cases who had DNA collected before diagnosis or treatment (OR = 1.45; P = 0.0005). Detectable mosaicism was also more common in individuals for whom DNA was collected at least 1 year before diagnosis with leukemia compared to cancer-free individuals (OR = 35.4; P = 3.8 × 10−11). These findings underscore the time-dependent nature of somatic events in the etiology of cancer and potentially other late-onset diseases.

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次はBRAF基盤の分子標的治療の最新情報:大腸癌を初めとする消化器癌への展開を期待するがゆえに注目しているのだが・・・

NEJM, June 4, 2012

Improved Survival with MEK Inhibition in BRAF-Mutated Melanoma

Background

Activating mutations in serine–threonine protein kinase B-RAF (BRAF) are found in 50% of patients with advanced melanoma. Selective BRAF-inhibitor therapy improves survival, as compared with chemotherapy, but responses are often short-lived. In previous trials, MEK inhibition appeared to be promising in this population.

Methods

In this phase 3 open-label trial, we randomly assigned 322 patients who had metastatic melanoma with a V600E or V600K BRAF mutation to receive either trametinib, an oral selective MEK inhibitor, or chemotherapy in a 2:1 ratio. Patients received trametinib (2 mg orally) once daily or intravenous dacarbazine (1000 mg per square meter of body-surface area) or paclitaxel (175 mg per square meter) every 3 weeks. Patients in the chemotherapy group who had disease progression were permitted to cross over to receive trametinib. Progression-free survival was the primary end point, and overall survival was a secondary end point.

Results

Median progression-free survival was 4.8 months in the trametinib group and 1.5 months in the chemotherapy group (hazard ratio for disease progression or death in the trametinib group, 0.45; 95% confidence interval [CI], 0.33 to 0.63; P<0.001). At 6 months, the rate of overall survival was 81% in the trametinib group and 67% in the chemotherapy group despite crossover (hazard ratio for death, 0.54; 95% CI, 0.32 to 0.92; P=0.01). Rash, diarrhea, and peripheral edema were the most common toxic effects in the trametinib group and were managed with dose interruption and dose reduction; asymptomatic and reversible reduction in the cardiac ejection fraction and ocular toxic effects occurred infrequently. Secondary skin neoplasms were not observed.

Conclusions

Trametinib, as compared with chemotherapy, improved rates of progression-free and overall survival among patients who had metastatic melanoma with a BRAF V600E or V600K mutation.

以上の論文に関連してRAF活性型腫瘍へのTrametinibという分子標的薬剤の総説である

Editorial

Promises from Trametinib in RAF Active Tumors


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Wnt発見から30年を記念して「Wntと疾患」を巡ってのCell誌の総説である。
Hans Cleversが書いた論考。この総説の最後に10個のテーマが述べられている。このテーマを眺めることがWntの現状把握には手っ取り早いと思えるのだ。
小生がWntに興味があったわけではない。ただ、幹細胞特に癌幹細胞の基盤分子であるLgr4,5,6を追いかけていると、Wnt系にだんだん絡めとられていくのだ。この総説でもLgrは大きなサブテーマだ。

Cell,
Volume 149, Issue 6, 1192-1205, 8 June 2012

Wnt/β-Catenin Signaling and Disease

Hans Clevers, Roel Nusse

By reviewing the current status of Wnt signaling, we realized how many questions in this field remain unanswered. We highlight ten of those questions, hoping to inspire future research.

(1) What is the evolutionary origin of Wnt signals? Wnt genes and signaling components are found in all metazoan animals, including sponges. Given that Wnts are intercellular signals, it is not surprising that they are not present in unicellular organisms. Although the recently established Wnt-Fz structure has not yet pointed to a particular evolutionary origin, one can speculate that Wnts have a more ancient origin, possibly derived from enzymes secreted by prokaryotes.

(2) What is the nature of Wnt as a signal? Is the protein active by itself, or is it packaged in membranes, together with possible cofactors? The importance of “Wnt delivery” needs to be understood.

(3) Where does Wnt signaling take place in cells? Whereas Hedgehog signaling is located at the primary cilium, the subcellular location of Wnt signaling events remains unknown, though the endosomal compartment has been implicated as a signaling center.

(4) Besides the well-studied Frizzled and LRP receptors, there are other mechanisms for Wnt reception that involve the tyrosine kinases ROR and RYK. There is very little insight into the mechanisms of action of these receptors, and they deserve more intense study.

(5) How is the stabilized form of β-catenin ferried into the nucleus? Is there a role for active microtubule-based transport?

(6) How does Wnt signaling coordinate cell fate changes with changes in cell shape and polarity? This is a key question in many developmental contexts of Wnt signaling, including stem cells.

(7) Many different kinds of stem cells are controlled by Wnts, in such a way that self-renewal and the developmental potential of the cells are preserved by the Wnt signal. Is there a universal “stemness” property conferred to cells by Wnts?

(8) How much of the genome is Wnt controlled across various cell types? Given the broad effects of Wnt signaling and many Wnt target cells, the total number of Wnt-controlled genes could be significant.

(9) Are cancer stem cell behaviors controlled by Wnt signaling? The definition of cancer stem cells as being able to self-renew the tumorigenic state but also able to differentiate suggests that their behavior is dependent on external signals, such as Wnts.

(10) Can we identify bona fide and effective Wnt inhibitors? Though several molecules have been described to inhibit Wnt signaling in cells, there is a great need for additional reagents interfering with the Wnt pathway.

2012年6月3日日曜日

内田光子playsドビッシー:Youtubeのインタビュー

内田光子はいうまでもなく現存最高の日本人ピアニストだが、その内田さんがピアノ実演を交えたインタビューに応じた映像がYoutubeにある。これが凄いのだ。
  1. なにより、音・画像が素晴らしい。
  2. 次に彼女のドイツ語による機関銃的おしゃべりの凄さ
  3. テーマががドビッシーであり、12の練習曲であること
  4. いろんな作曲家のイデアを交えながらの解説は圧巻である

Debussy 12 Etudes : interview Mitsuko Uchida part1




Debussy 12 Etudes : interview Mitsuko Uchida part2