2012年2月3日金曜日

最近の外来で印象に残る方々

インフルエンザの侵入を極力回避するべく病棟を維持していくのがなかなか困難な今日この頃である。

  1. 頸部神経鞘腫の方:大学病院にお送りしたが、随分慎重なんですな対応が。tentativeだが大学も「神経鞘腫」として対応してくれている。切除するとして合併症は避けられないであろうから無理も無い対応であろう。できるだけのことをしてほしいものですな。

  2. 今年に入って腎癌に縁がある。二例外来に現れた。いずれも初診で主訴は上腹部痛。撮ったエコーで偶然見いだされた左腎腫瘍である。ひとつは5cmあり細胞診陽性。一週間前の別の患者殿は12mmと小さいが、内部エコーと血流エコーと追加した造影CTで診断はほぼ確定である。いずれも大学病院で手術していただくことになった。腎腫瘍が原因で上腹部痛がおこったとは思えない。特に根治可能であろう二番目の患者さんは僥倖だと思う。

  3. 帯状疱疹にだまされた一例。小生は帯状疱疹に縁が深いので、帯状疱疹を見落すことだけは避けたいと思っているが、2週間前のAさんには参った。臀部・大腿部痛があるため近くの整形外科に行き、通常の検査では整形外科的疾患ではないといわれ紹介受診した45歳女性患者である。来院時の主訴は右下腹部痛と臀部・大腿部痛であり、ちと不思議なことを言う。「おしっこをすると、恥骨の右側がひどく痛むのです」理学的所見に見るべきものはない。2日にわけていろいろ調べ、最終的にはCT まで撮ったが子宮筋腫以外異常ない。こまったなあ。その翌日外来に電話があった。「実は今日になってお尻の横に湿疹ができているのに気がついた。皮膚科に行ったところ典型的な帯状疱疹だったので、前のお医者さんたちに連絡しておいてくださいといわれた」という。
    女性の臀部やその前方などなかなか診察するものではないのである、が、やはり診ておかなくてはいけないなあと思った次第である。この人その次の日わざわざ小生に
    帯状疱疹診せに来てくれた。まぎれもないそれであった。いかんなあ。いかん、いかん。

  4. Mondor病は10例くらい診たが、Tietze病は本当に少ない。先日胃潰瘍の再発を心配した32歳女子がやって来た。2年前に上腹部痛を主訴に外来に来て、カメラでしっかりA2 stageがあったヒトである。二日前から季肋部痛があるという。触診すると、季肋部痛?  なんだか圧痛が上部にあるようだよ。8番目の肋骨あたりを触診するとかなり強烈な圧痛である。胸肋接合部あたり。普通これ肋骨骨折なんだけど。でも胃潰瘍の既往はあるヒトだ。翌日カメラだけはしておいたが、病変はGERDだけだ。最終的な診断は難しいが、肋骨骨折として治療することにした。Tietze病は上部肋骨(第1〜5肋骨)であるし、腫大していることも多いので、当該病変の診断として有力ではないが、でも、こんなのこそTietze病といっていいんじゃないかとも思った。そんな胸肋接合部ー移行部のみに限局した疼痛である。

  5. 今日の患者さんは問診票に「この二日、肛門が突き上げられるような違和感で夜も眠れない」という主訴が説明的に書いてある。これだけ読むと、患者さんが診察室に入ってくる前にある病気を思い浮かべる。そう「一過性直腸痛」である。

    Proctalgia fugaxである。そうであるが、でも通常に病歴をとって、視診/触診/肛門鏡と粛々と診察を進めなくては行けない。触診で仙骨ー尾骨前面に圧痛があるのである。硬結は明らかではない。内痔核はある。とりあえず説明をして、薬をだして、必要な検査を進める。

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