2010年12月3日金曜日

リンは無くとも子は育つ:phosphateが不要な生物学の発見

数日前からネットでNASA周辺がかまびすしかったことに多くの方は気づいていたと思う。地球外生命の発見との先行リークが流れたりもした。そして昨日であろうか、記者会見とともにサイエンスに論文が投稿された。これはまことに驚くべきレポートである。SFの世界である。面白いなあ。

遺伝物質としてのDNAにはリンが必須である。必須であったー2010年12月1日までは。リンの代わりにヒ素を代用できる細菌がアメリカ、NASAの研究で見つかったというのが今回のレポートの主旨である。この発見はすごいね。

メンデレーエフの周期表でヒ素はリンの直下にある。つまり同族である。このあたりで昔のSFを思い出す。周期表の位置で、リンとヒ素のちょうど斜め左上に炭素があるが、その炭素の真下はケイ素Siである。生物の骨格は炭素であるが、もし外惑星に生命が存在できたらその生物の基礎骨格がケイ素からなれば生物学は成り立つとして小説を書いた人がいるのだ。1950年代から60年代だろうか。詳細は忘れてしまったが、子供の頃いたく感銘を受けた覚えが有る。

  •   昼休み調べてみたがアジモフに「もの言う石」という小説(1955年)がある。この小説を直接小生が読んだとは思えないのだが、おそらく月刊誌の「少年」に翻案されて掲載されたものを読んで感激したのだろうと思う。しかし今あらすじを読んでみたが、どうもピンとこない。違うような気がするなあ。アジモフよりはハル・クレメントあたりがもっと相応しいような気がするが、これ以上の検索は無理である。


周期表はクリックすると大きくなります。



今回の発見について、日本語のレポートを書かれた方がいるのでメモしておこう。
私と同様、興奮しておられる(笑)。(小生いまだ論文本体を読んでいないのでこのレポートもあくまで参照レポートと捉えておこう)

さて今回の発見ーなんと名付けてよいものだろうか?

「リンは無くとも子は育つ」
「phosphateが不要な生物学の発見」




http://www.sciencemag.org/content/early/2010/12/01/science.1197258.abstract

Published Online 2 December 2010
Science DOI: 10.1126/science.1197258

A Bacterium That Can Grow by Using Arsenic Instead of Phosphorus


Felisa Wolfe-Simon1,2,*,Jodi Switzer Blum2,Thomas R. Kulp2,Gwyneth W. Gordon3,Shelley E. Hoeft2,Jennifer Pett-Ridge4,John F. Stolz5,Samuel M. Webb6,Peter K. Weber4,Paul C. W. Davies1,7,Ariel D. Anbar1,3,8 and Ronald S. Oremland2

Abstract

Life is mostly composed of the elements carbon, hydrogen, nitrogen, oxygen, sulfur, and phosphorus. Although these six elements make up nucleic acids, proteins, and lipids and thus the bulk of living matter, it is theoretically possible that some other elements in the periodic table could serve the same functions. Here, we describe a bacterium, strain GFAJ-1 of the Halomonadaceae, isolated from Mono Lake, California, which substitutes arsenic for phosphorus to sustain its growth. Our data show evidence for arsenate in macromolecules that normally contain phosphate, most notably nucleic acids and proteins. Exchange of one of the major bioelements may have profound evolutionary and geochemical significance.

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