2009年6月16日火曜日

ワーファリン中止の方法

ワーファリンは経口抗凝固剤として繁用されるが、そのコントロールの煩雑さ、出血の副作用ゆえに敬遠されがちな薬剤の1つでもある。にもかかわらず、重大な出血を1回ひき起こす毎に脳卒中を20回予防するとされる治療効果は強力である。ワーファリンの正しい使用のためのメモを記載した

INR(International Normalized Ratio)表示について

施設間、試薬間誤差による凝固反応測定値のばらつきの問題を回避するため1982年にWHOはWHO認定の国際標準ヒト脳由来組織トロンボプラスチン試薬を標準試薬として選定し、PT測定値を標準化しました。

標準試薬と各社試薬との測定成績とが一致するように、両試薬間の相関より回帰補正値(ISI=国際感度指数)を求め、実測したPT比をISIで補正し、この補正されたPT比のことをINRと言います。

INR=(患者血漿PT秒/正常血漿PT秒ISI

抗凝固療法中における手術時の対応

全身麻酔下で行う開腹術、耳鼻科、整形外科領域の手術時にはPT-INR が1.5以下の状態となるべく手術数日前以上からワーファリンを中止し、手術直前まではヘパリンの持続点滴を行いaPTTで1.5〜2.0倍に延長するように調 整し、術後12時間ほどで術後の出血がなければヘパリンの点滴を再開し、経口投与可能になればワーファリンを再開し、数日後INRが 1.8以上となった時点でヘパリンを中止するという方法が推奨される。

出 血が少なく,体表面で肉眼的に止血が確認可能な局所麻酔下で行われる白内障や皮膚科の手術ではワーファリンは中止せずに行える。しかし内視鏡で生検やポリ ペクトミーを行う場合は大出血が生じた場合に止血が困難なため全身麻酔下で行う手術に準じた抗凝固療法の調節を用いる。

抜歯時のワーファリン中止の必要性の有無については欧州での調査では中止群、継続群ともに局所の重篤な出血は認められなかったとしている(下表)。


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