2009年3月5日木曜日

FT3, FT4がほとんど0

一昨日ひどくやつれた爺さんが息子に連れられて外来にやってきた。
息子「前のように食べないんです。吐き気があるようで。随分前潰瘍があったのでカメラをしてもらえませんか」
小生「いいですよ。結構ですけど、随分元気がなさそうですね。」覇気がない。皮膚の色が汚れた黄色。これは黄疸の色とも違うような・・・。


息子「久しぶりに親元に帰ってみたら、このざまです。薬も随分長い間飲んでいないようです」
小生「そうですか、どんな薬を飲んでいたんですかね・・・」と彼の手帳を見ると、ハーフジゴキシンやいろいろ大事そうな薬をどこかで処方されていたことがわかる。その中にチラージンがあった。何気なく最後の処方日をみると20年11月とある。もう三ヶ月以上飲んでいないことになる。あるいはやばいかも・・・・と思い、TSH,FT3,FT4を測定した。

翌朝の結果でFT3,FT4は小数点以下3桁くらいまでゼロが続いていた、つまり実質枯渇していたのである。よく生きていられるものだと感心する。TSHは3桁である。悲鳴を上げ続けていたわけだ。

こんな時は急に補充してはいけないらしい。
  1. まず副腎機能を大至急でチェックしクリーゼの発生に気を付ける。
  2. 虚血性心疾患が起こりやすいので厳重に管理
  3. チラージンSなら50ugが一錠であるが、最初は1/4T すなわち12.5ugから始める。

服用のしかた:
下垂体性甲状腺機能低下症、自己免疫性多発性内分泌腺症の場合、副腎皮質機能不全があるかどうかをかならずチェックし(ステロイドが出ないかのチェッ ク)、あれば副腎クリーゼの危険があるので副腎器質機能不全を先に治療します。甲状腺機能低下の程度(病気、年齢、虚血性心疾患の有無)から初期量、増量 速度を調整します。重篤な場合は原則として入院をお勧めし、虚血性心疾患を誘発しないように少量(12.5μg/日)から始めます。普通25μg〜 50μg/日(朝1回投与)から始め、その後副作用に注意しながら1週間に12.5〜25μgずつ増量します(迷ったら少なめに増量)。血中甲状腺ホルモ ンおよび甲状腺刺激ホルモン(TSH)をモニターし、TSHが正常上限になるようにします(正常から軽度の甲状腺機能低下症の間)。最大補充量は 3μg/kg/日(小児は5μg/kg/日)で、通常は1〜2μg/kg/日が多いです。治療中にTSHの一過性の上昇をみることがあります。50μg /kg/では少なすぎ、100μg/日では多すぎる場合、隔日で50μg/日、100μg/日、50μg/日、100μg/日・・・・・と調整します。

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