2009年1月30日金曜日

ウィルス科

直径nm

特徴

重症度

迅速診断法

レオウィルス

ロタウイルス

70

生後6ヵ月から2才までの乳児に多く、重症化しやすい。冬季に集団発生する。

最重

あり

カリシウィルス

ノロウィルス
(小型球形ウィス、
SRSV)

27-32

学童、成人の食中毒様集団発生、および全年令層の急性胃腸炎

なし

札幌ウィルス

30-35

乳幼児の急性胃腸炎、集団発生

なし

アデノウィルス

腸管アデノウィルス

70-80

胃腸炎だけでなく、結膜炎、上気道炎、肺炎、虫垂炎、腸重積、出血性膀胱炎などの原因となる。7型は重症化する。

あり

アストロウィルス

アストロウィルス

28-30

主に乳幼児に散発性の急性胃腸炎を起こす。

なし

グラマリールのこと

名前は知っていたが、昨日祈るような気持ちでこの薬グラマリールを使用してみた。
攻撃的なIさん。他にいい薬はないのか、よく知らないのだ。再入院のわずかな隙をついて、夕方ユリモランとグラマリールを一錠処方したところ、よく効いた・・・ように見える




製品名(薬の名前)
グラマリール
製薬会社名
アステラス
 
製剤名
塩酸チアプリド
 
分類
ベンザミド系抗精神薬

効果
脳梗塞の後遺症に伴う攻撃的行動、精神興奮、徘徊、せん妄の改善。特発性ジスキネジアおよび、パーキンソニズムに伴うジスキネジアの改善。

使用を控えた方が良い人

 
注意が必要な人
重度の循環器障害のある人、肝機能障害、高齢者、小児、褐色細胞腫の疑いがある人。

副作用
胃 腸出血、悪性症候群、昏睡、痙攣、不整脈、頻脈、血圧の上昇・低下、動悸、パーキンソン症候群、食欲不振、胃痛、嘔吐、吐き気、下痢、眠気、不眠、頭痛、 興奮、めまい、ふらつき、口の渇き、発疹、倦怠感、痺れ、せん妄、GOT・GPTなどの上昇、貧血などが現れることがあります。

処方目的・適応


 [スルピリドの適応症]統合失調症,うつ病・うつ状態/(胃・十二指腸潰瘍)
[塩酸チアプリドの適応症]脳動脈硬化症に伴う攻撃的行為・精神興奮・徘徊(はいかい)・せん妄の改善/特発性ジスキネジアおよびパーキンソニズムに伴うジスキネジア
[ネモナプリドの適応症]統合失調症
[塩酸スルトプリドの適応症]躁(そう)病,統合失調症の興奮・幻覚・妄想状態

解説


 スルピリドは抗精神病薬としてだけでなく,胃・十二指腸潰瘍の薬としても用いられます。塩酸チアプリド,ネモナプリド,塩酸スルトプリドはスルピリドの誘導体です。


2009年1月26日月曜日

伝染性単核球症

伝染性単核球症

伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)とは、キスなどによってウイルスが経口感染する感染症

目次

[非表示]

[編集] 概要

発熱、扁桃咽頭炎、リンパ節腫脹の三徴と特徴とする疾患であり、エプスタイン・バール・ウイルス (EBV) や、サイトメガロウイルスな どが原因ウイルスとなる。若い人に多く見られる。日本において、昔は離乳期の子供に母親が口移しで食べさせる習慣があり、食器の共用も広くみられていたた め、子供の9割が感染していた。しかし最近では、欧米と同様に、青年期になってからキスで経口感染することも多い。また、primary HIV (Human Immunodeficiency virus) infectionのときにも上記の三徴を呈することがあるが、

  1. 皮膚粘膜の潰瘍形成
  2. 皮疹(抗生剤を使用していない場合には、伝染性単核球症では皮疹は約5%と稀である)

のいずれかを認めた場合には、伝染性単核球症よりもどちらかというとprimary HIV infectionが疑われる。

[編集] 症状

症状は腺熱に似ている。悪寒、発熱、頭痛、吐き気、咽頭痛、のどやリンパ節の腫れ、しばしば発疹を伴う。血液検査では、リンパ球以外の白血球の減少、それによるリンパ球の相対的な増加、異型リンパ球の出現が見られる。

以降、EBウイルスによる伝染性単核球症を中心に述べる。

1-2歳程度の幼少児の初感染では、発熱と口蓋扁桃の膿栓を伴った腫脹・発赤が見られる程度で、特異的な症状が目立たないことが多い。このため、こ の年齢の児の初感染では伝染性単核球症と診断されないことが多く『扁桃炎』と診断されているものと思われる。抗菌薬は無効だが、2~3日で自然軽快してし まうので、一見抗菌薬が効いて治ったように見えるため、それ以上の追究もほとんどされないものと思われる。血液検査を行えば、異型リンパ球の出現などから 本疾患を疑える可能性はあり、血清診断は理論上可能である。

年長児から青年期、あるいはそれ以上の年齢で初感染した場合、発熱・全身倦怠感のほか、口蓋扁桃の発赤腫脹・咽頭痛、アデノイド腫脹による鼻閉、全 身特に頚部のリンパ節腫脹、肝脾腫がみられる。発疹を伴うこともあり、特にアミノベンジルペニシリン(ABPC)の投与は発疹を誘発するとされる。有熱期 間は一般的なウイルス感染症よりも長く、5~7日程度続くことが多い。

ときに、悪性リンパ腫亜急性壊死性リンパ節炎などとの鑑別を要する場合があり、以下に述べる血清診断や、リンパ節生検を行うこともある。

[編集] 臨床検査

[編集] 血球算定、血液像

白血球総数は正常ないしやや増加、好中球数は正常ないしやや減少(百分率は低下)する。リンパ球の著しい増加、異型リンパ球の出現(5%以上になることが多い)が特徴的である。 伝染性単核球症の鑑別において平均リンパ球/白血球比 (L/WBCC)を用いると、cut off 0.35とすることで、特異度100%、感度90%との報告がある。(Arch Otolaryngol Head Neck Surg 2007; 133: 61-64)

[編集] 生化学

乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の上昇がみられる。肝腫大を伴う例などでは、トランスアミナーゼ(AST,ALT)の上昇も伴うことが多い。CRPは正常ないし軽度上昇であることが多い。

[編集] 血清診断

抗EBV EA-IgG抗体、抗EBV VCA-IgMおよびIgG抗体、抗EBNA-IgG抗体の抗体価を測定する。抗EBNA抗体が初感染後数ヶ月を経ないと出現しないのに対し、抗EA、VCM抗体は急性期にも出現していることを利用する。

  • 初感染パターン…抗EBNA抗体陰性、抗VCA-IgGまたは/かつIgM抗体陽性。抗EA抗体は偽陰性が多いが、EA陽性ならば急性感染の可能性が高い。
  • 既感染パターン…抗EBNA抗体陽性、他の抗体は(通常)陰性。このような場合、症状の原因としてEBV感染は考えにくい。

サイトメガロウイルスについては、抗CMV-IgGおよびIgMを調べる(IgM陽性例は急性感染の可能性が高い)ほか、血液中のサイトメガロウイルスDNAを核酸増幅法(PCR)で調べることもある。

[編集] 治療法

EBVによる伝染性単核球症に特異的な治療法はない。解熱鎮痛薬、肝保護剤などによる対症療法が 中心となる。肝脾腫が強い例では、腹部への衝撃により脾破裂が起こった例もあるため、安静が必要である。小児など、咽頭痛や全身倦怠感のために経口摂取不 良となった場合には、入院して補液を行う必要がある。抗菌薬は伝染性単核球症それ自体には無効である。発疹を誘発する可能性があるので、この疾患が疑われ た際には、ペニシリン系抗生物質のみならず、セフェム系抗生物質の投与も控えるべきであろう。ただ、比較的高率に細菌による混合感染をおこすとする報告も あり、血液検査所見から混合感染が疑われた場合には抗菌薬の投与を行うという選択肢も考慮に入れるべきであろう。(日耳鼻 2004;107:199-202)

特に重症である例(発熱が長期に持続する、全身状態が著しく不良である、血球減少が見られ血球貪食症候群の合併が懸念される、など)では副腎皮質ステロイド投与やガンマグロブリン大量投与が行われることもある。

サイトメガロウイルスにはガンシクロビル(GCV)が有効である可能性があるが、骨髄抑制、腎障害など重篤な副作用があるため、伝染性単核症には通常用いられない。(GCVは造血幹細胞移植後など、免疫不全状態の患者の重篤なCMV感染症に適応がある)

上述のとおり、EBVによる伝染性単核球症は通常、数日~数週程度で自然治癒し、解熱、腫脹リンパ節の縮小、血液データの改善が得られるが、まれに 数ヶ月以上症状が持続し、全身状態が極めて重篤となる極めて予後不良の例があることが知られるようになった。このような例ではEBウイルスが持続的に活動 していることが証明され、慢性活動性EBウイルス感染症という病態として区別される。


2009年1月23日金曜日

偽痛風だったか!

OAだとばかり思っていた患者ですが、Pseudogoutであった。

といって治療が激変するわけではない。

病態

偽痛風における関節炎は、痛風における尿酸への反応と同様のものがCPPDに対して発生したものである。すなわち、関節包内に析出したCPPDの結晶に対する炎症反応によって発生する。

[編集] 原因

CPPDの結晶が沈着する原因としては、遺伝によるもののほか、副甲状腺機能亢進症などが誘因となることが知られている。

[編集] 症状

関節に激烈な痛みがおこり、発熱を伴う。痛風よりも痛みは弱い。好発部位は関節で、約半数が発生する。それ以外のほとんどの関節にも発生しうるが、関節、関節などの大きな関節のほうが発生しやすい。心筋梗塞脳梗塞などが誘因となる可能性もあるが、誘因がないこともある。

[編集] 検査

X線検査
膝関節の半月板に石灰化が見られるほか、肩関節や股関節にも石灰化が見られる。軟骨にCPPDが付着することで、石灰化像が線状に見えるためである。
スクリーニング:5枚の単純XPで軟骨石灰化を確認
 膝関節(左、右)
 三角靭帯(左、右)
 骨盤正面:恥骨結合および寛骨臼をみる。
関節穿刺液検査
関節液内にCPPDが発見されれば診断は確定する。

[編集] 治療

関節液を穿刺排液したり、ステロイドを関節内に注射したりするのが有効である。CPPDを関節から除去する方法は現在存在しないため、対症療法が基本となる。

[編集] 予後

生命予後は有効であるが、関節の破壊が進行して変形性関節症に移行することもある。

2009年1月15日木曜日

皮脂欠乏性湿疹

タリオン  2T 2x MA
サイベート軟膏
ヘパダール軟膏

胆石後のYTさんのかゆみの原因はこれだと診断されたよ。

2009年1月8日木曜日

爪甲剥離症 



  • 昨日外来で初診の32歳の男性、左手の第二指の爪が荒れている。爪が浮いていて、その爪の裏側が白濁化しているのだ。これはもう「爪白癬」に間違いないと自信たっぷりの私。すぐにKOHと行きたかったけど、ぐっと我慢して近くの「○●皮膚科」へご高診をお願いした。早速返事がきたら、聴いたこともない「爪甲剥離症 」だと・・・・
  • 治療にはステロイド外用薬を用いるらしい。カンジダいないといいけどねーー。
  • ひとつ勉強になった。しかし皮膚科は難しい。


爪甲剥離症 −甲状腺異常などが原因−

麻野皮膚科 院長 麻野誠一郎(名西郡石井町石井)

 爪甲剥離症という診断がついているようですので、既にどこかで受診されているのでしょう。お役に立てるかどうか分かりませんが、爪甲剥離症の一般的なことについて述べさせていただきます。

 つめは本来、先端部以外はつめの下の皮膚とよく付着しているものです。ところが時として、つめが下の皮膚から遊離することがあります。この状態を爪甲剥離症といって、つめの先端部から起こり始めます。

 爪甲剥離症の原因は、非常に多彩です。大きく分けると、1)甲状腺(せん)機能異常や貧血などの全身性疾患に伴うもの 2)強皮(きょうひ〕症、乾癬(かんせん)、掌蹠(しょうせき)多汗症などの皮膚疾患の部分症状としてみられるもの 3)マニキュアや洗剤、機械的刺激などの局所的因子によるもの 4)カンジダなどの感染症によるもの 5)薬剤性光線過敏症、ポルフィリン症などの光線過敏症に伴うもの 6)以上のいずれにも属さず、原因のはっきりしない特発性のもの −に分類されます。

 私の経験は乏しいものしかありませんので、文献から得た知識を交えて説明したいと思います。

 第1の全身性疾患のうち、爪甲剥離症と最も関係の深いものは、甲状腺機能亢進(こうしん)症です。この場合、つめは平らになることが多く、時に反り返ったようになることもあります。最初1本の指から始まり、次第に他の指にも進行していきます。甲状腺機能亢進症の治療をすればよくなります。

 甲状腺以外の病気でも、貧血や指先の血行障害の時に、つめの中央部がへこんだ状態になることがあります。これをスプーンネールといいますが、このときにも爪甲剥離症を生じることがあります。

 第2に皮膚疾患の部分症状として、爪甲剥離症がみられることがあります。しかし、この場合は他の皮膚症状から診断のつくことが多く、その皮膚疾患の治療に準じればよいかと思います。

 第3は、局所的因子による爪甲剥離症です。極めて軽い湿疹(しっしん)やかぶれが起こった場合、手の皮膚ではわずかに皮がむけるだけで治っていきますので、気づかずにすむことが多いのですが、つめの下ではほんのわずかに皮がむけた状態でも、つめははがれて浮いた状態となります。

 こういう状態の時、つめの下をつまようじなどで掃除する人がいますが、良くありません。皮膚を痛めてますます悪化することになります。

 第4の感染によるものの中では、カンジダ症が最も多いでしょう。この場合は、つめの下の皮膚がガサガサした感じになります。病変部にカンジダが証明できれば、診断は難しくありません。

 第5の光線による爪甲剥離症は、多くは日光によるものですから、夏悪化し、冬軽快するのが特徴です。つめ以外にも光線過敏性皮膚炎を伴うことが多いのですが、つめの症状のみの例も報告されています。

 最後に特発性のものがあります。実は、このグループに属するものが最も多いのです。つめの形に異常を認めません。厳密に言えば、つめと皮膚の接合部に何らかの異常があるはずなのですが、その程度があまりに軽徴で、とらえられないのです。患者さんに対する説明もあいまいなものになります。ただ、特発性の場合、あまり進行するということはありません。

 かかっている医師とよく相談をし、詳しく調べた方がよいときは、大学病院などを紹介してもらうのも一つの方法と考えます。