2008年12月26日金曜日

化膿性髄膜炎(1)

  • 昼過ぎに休暇中の同僚の持ち患者が意識レベルがおかしいとのナースコールがある。カルテを見るとこの二日40度近い弛張熱がでている。それでもご飯を食べ、特別の症状がない60代の男性で、もともと術後イレウスが解除し退院を待っていたのだそうだ。ベッドサイドの奥さんは実に落ち着いていたがそれでも心配そうに「なんでも調べてください」という。しゃべればちゃんとしゃべる。右足を揚げてといえば、ちゃんと上げるし、左手で力こぶを作らせるとなかなか強い。ただし握力は少し弱いかな。昼ご飯まではちゃんと食べていた。頸部がやや固い。ケルニッヒは陽性というにはあまりに強い・・「膝が悪いので、とても痛くてたまりません」と本人言われる。これは判定不能だ。夕方なんだか了解が取れなくなる。これはまずい。神経内科のO先生に診てもらった。「ルンバールをしてもいいですか?」と言われる。あれよあれよというまに、髄膜炎の診断がついた。髄圧は高くない(130程度)、濁ってはいないが、それでも好中球主体の炎症細胞が増加していた。グラムは陰性であるがこれは経口抗生剤のせいかもしれない。ここまでで夜九時になった。メロペンとアクチダス(抗ウイルス薬)の点滴を処方して、明日を迎えるとことした。

というわけで、久しぶり診断としての腰椎穿刺を診た。麻酔のときとなんか違う。三方活栓から上がってくる髄液はやたら遅いのである。
呼吸性動揺なんてなかった。「はい、首の根っこを押さえて」という意味がボクにはわからなかった。髄液は3本とった。当病院では糖、蛋白、など基本的なこととグラム染色の結果がわかるまで約3時間かかった。

「はい、首の根っこを押さえて」は実は頚静脈を両側圧迫することであり、たたこれだけで正常だと髄圧は「初圧より」100mmH2O上がるのだそうだ。これが Queckensted試験 であった。ということなど、きれいさっぱり忘れていたぞ。

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