2008年12月26日金曜日

化膿性髄膜炎(1)

  • 昼過ぎに休暇中の同僚の持ち患者が意識レベルがおかしいとのナースコールがある。カルテを見るとこの二日40度近い弛張熱がでている。それでもご飯を食べ、特別の症状がない60代の男性で、もともと術後イレウスが解除し退院を待っていたのだそうだ。ベッドサイドの奥さんは実に落ち着いていたがそれでも心配そうに「なんでも調べてください」という。しゃべればちゃんとしゃべる。右足を揚げてといえば、ちゃんと上げるし、左手で力こぶを作らせるとなかなか強い。ただし握力は少し弱いかな。昼ご飯まではちゃんと食べていた。頸部がやや固い。ケルニッヒは陽性というにはあまりに強い・・「膝が悪いので、とても痛くてたまりません」と本人言われる。これは判定不能だ。夕方なんだか了解が取れなくなる。これはまずい。神経内科のO先生に診てもらった。「ルンバールをしてもいいですか?」と言われる。あれよあれよというまに、髄膜炎の診断がついた。髄圧は高くない(130程度)、濁ってはいないが、それでも好中球主体の炎症細胞が増加していた。グラムは陰性であるがこれは経口抗生剤のせいかもしれない。ここまでで夜九時になった。メロペンとアクチダス(抗ウイルス薬)の点滴を処方して、明日を迎えるとことした。

というわけで、久しぶり診断としての腰椎穿刺を診た。麻酔のときとなんか違う。三方活栓から上がってくる髄液はやたら遅いのである。
呼吸性動揺なんてなかった。「はい、首の根っこを押さえて」という意味がボクにはわからなかった。髄液は3本とった。当病院では糖、蛋白、など基本的なこととグラム染色の結果がわかるまで約3時間かかった。

「はい、首の根っこを押さえて」は実は頚静脈を両側圧迫することであり、たたこれだけで正常だと髄圧は「初圧より」100mmH2O上がるのだそうだ。これが Queckensted試験 であった。ということなど、きれいさっぱり忘れていたぞ。

2008年12月19日金曜日

漢方ときん対

実家に帰ってきて、昔やったサルコイドーシスが安定するまで付き合ってくれたかかり付けの先生を訪ねました。私にとっては説教までしてくれる親のような人です。私の筋痛を10年前に理解できずにいた先生は、その後、線維筋痛症が注目されつつある中で、凄く気にしてくれていたようで今の状態、服薬状況など色々聞いてくれて、芍薬甘草湯を試してみないかと出してくれました。漢方医でもあるのです。

と、言うわけで、ノイロ止めたとたんにまたまた違う薬を飲み始めたので比較が出来るかどうか怪しいです(笑)でも、よく、観察してみますね。

ノイロの抜けた丸一日は、あちこち微妙に痛いながらも、機嫌が悪くなるほどの痛みは出ませんでした。こんな日もあるさ、程度。

しかし、同じ日に同じ事を思うなんて。なんだかご縁を感じます(^_^)v

投稿日:2007/03/20 20:46

> 今の状態、服薬状況など色々聞いてくれて、芍薬甘草湯を試してみないかと出してくれました。

8年前に私の関節の痛みが出始めた時、大学病院からの紹介で週に3回肝臓の注射(強ミノという薬です)を打ちに通っていた内科の先生が色々と症状を聞いてくれ、ボルタレン50mgの座薬や温湿布と共に漢方も処方してくれました。

当時、私が「温めれば少し痛みが和らぐ」と言ってましたので漢方の勉強をしておられたこの先生が「芍薬甘草湯」や「ぶし末」「葛根湯」…などなど色々と「身体を内部から温める」のに効くと思われる漢方を出してくれたのです。私は「芍薬甘草湯」もそこそこの効果は感じましたが、何故か「葛根湯」が一番合うみたいで今通ってる病院でも処方して貰っています。身体が冷えそうなときの予防に使っています。

> ノイロの抜けた丸一日は、あちこち微妙に痛いながらも、機嫌が悪くなるほどの痛みは出ませんでした。こんな日もあるさ、程度。

私には「ノイロトロピン」が抜ける一日なんて恐怖です。本当に去年1週間抜けたときの痛みは辛かった。

2007/03/20 20:47

>>2
> > 今の状態、服薬状況など色々聞いてくれて、芍薬甘草湯を試してみないかと
> > 出してくれました。

穏やかな効き目の漢方も選択の余地があると医師からは言われていますが、現在西欧医薬の即効性に頼っているので、もう少し薬の切り分けが出来てから試してみます。

> 「葛根湯」が一番合うみたいで今通ってる病院でも処方して貰っています。身体が冷えそうなときの予防に使っています。

葛根湯は普通風邪の引き始めに使うお薬ですよね、漢方で言う体質に合わせた使い道でしょうか。

> 私には「ノイロトロピン」が抜ける一日なんて恐怖です。

私(あさ)やふぇすさんには、端的に効果があるように見えない薬が、おてやんさんには良く効いているようですね。線維筋痛症のやっかいなところは、症状や薬の効果に個人差が多い事から的確な治療薬が難しいのでしょうね。


* 投稿日:2007/03/20 20:47

暖める系の漢方も色々で、どう効くかは本人の体質、って言うのがこの病気にはふさわしい薬のような予感がしますね。実は当帰芍薬散をしばらく試した事があったのですが、こっちは効きませんでした。微妙なものです。

芍薬甘草湯の効力を実感しているのはフクラハギの張りと攣りです。飲みだす前は、朝一番に「脛がいてぇ」とストレッチするところから毎日が始まっていましたが、このところ、その事は意識せず立ち上がれます。二頭筋の固さも気にしない日が増えました。ま、痛い日は、どうしようもなく痛いですが…

葛根湯。来月半ばでお医者を変ることになっているので、その折にでも試してみようかなぁ…

2008年12月18日木曜日

続:プレガバリンとガバペンチン。

繰り返しになりますが、、、プレガバリンはガバペンチンの効果を高めたモノで、ガバペンチン同様、てんかん以外、慢性疼痛に効果があるとの発表があり、海外(特にアメリカ)では線維筋痛症の治療薬として認可されています。

  • 同様の効果を持ったガバペンチンを使った正直な感想として、①デパケンなどの抗癲癇薬と同様、強烈な鎮静効果がある。(つまり痛くてどうしても眠れない方でも、眠れる、眠らせる。)②同様、鎮静効果が強い為、本人も痛みが軽くなる部分がある。(Caチャネルブロックの効果よりも、鎮静効果によるものが強いと思われます。)③夕もしくは眠前内服でも、朝に倦怠感が強く残る。なので、、、使い方としては、線維筋痛症重症度分類(厚生省研究班・西岡式)で、ステージⅣ以上(全体の15%)の方に限定して使うべきかも知れません。
ステージⅣ
痛みで自力で身体を動かせず、ほとんど寝たきり状態に陥る。自分の体重による痛みで長時間同じ姿勢で寝たり、座ったりできない。

ステージⅤ
激しい全身の痛みとともに、膀胱や直腸の障害、口の渇き、目の乾燥、尿路感染など全身に症状が出る。普通の日常生活は不可能。

当院でガバペンチン使用した患者さんは、ステージⅢ~Ⅳでした(使用時Ⅳ)。それでも、倦怠感が強く、ご本人希望で中止となりました。その後、麻薬の使用も検討していましたが、急によくなられ、ご本人から『よくなってきてるから、まだまだ大丈夫!ここまで薬(痛み止め等)ほとんど頼らなくてやってきたんだから。』と嬉しい言葉頂きました。プラセンタの経絡(ツボ)注射と健康食品(ノニ他)、漢方薬で、現在ステージⅡ程度まで 改善されてきています。

しかし、麻薬と同じくμレセプターに働くトラマドールなどは、線維筋痛症に有効とのデータがありますので、今度ステージⅢ(激しい痛みが持続し、自力での生活は困難)以上の方来られたら、積極的に使っていこうと考えています。

リリカ(プレガバリン)と線維筋痛症

当院通院中の患者さんに3名、線維筋痛症の患者さんがいます。1人の患者さんから、今日、プレガバリン(抗痙攣薬の一種)が線維筋痛症の治療薬として世界では認められているって日経新聞で見たんですけど、、、と教えてもらいました。

リリカ プレガバリン)は日本でも既に抗てんかん薬として認められているガバペンチンの効果を高めたモノで、確かにてんかん以外にも慢性疼痛に効果があるとの発表があり期待が持てますので、ガバペンチンを使ってまず反応を診ようかと考えています。この手のお薬では同じ抗てんかん薬のカルバマゼピンによる三叉神経痛の改善、抗うつ薬のトリプタノールの偏頭痛改善、トフラニールの帯状疱疹後神経痛(などの難治性痛み)の改善などが、Naチャネル阻害と言って神経伝達を阻害する事で痛みに効くとして麻酔科ペインクリニックでは昔からよく使っていました。

しかしこのプレガバリン、ガバペンチンはどうやら少し作用が違うようで、Caチャネルを選択的に阻害する事で活性化した神経伝達を抑えるとされており、糖尿病性末梢神経障害および線維筋痛症を含む各種の慢性疼痛症状に効果があるとされています。しかし抗癲癇(てんかん)薬であるからには、副作用の心配があります。勤務医時代、多くの困った?患者さん[痛みの原因が無いと思われるにも関わらず、常に痛みを大声で訴え続けるなど]に抗痙攣薬を処方し、安静化できた事が多々あります。確かに訴えは減り、本人に聞いても「痛くなかごとなった」と言っていましたので、看護師などお世話するものにとってはありがたかったと思いますが、活動性や活気も減り、本当に良かったのか疑問に思う事も少なく無く、今後処方する場合には注意を要しそうです。

まずは①ノニジュース→②田七人参茶→③ノイロトロピン→④ガバペンチンの順で、しかも少量から使っていこうと考えています。本当は薬使わないで済むのであれば、それがベストですから。




2007-09-19 - 2007年9月18日、そーせい(Sosei Group Corporation)は、線維筋痛症患者を対象にしたAD 337のプラセボ対照二重盲検比較試験で有意なプライマリーエンドポイントの改善は認められなかったと発表しました。

2008-12-09 - 2008年12月8日、Forest Laboratories社とCypress Bioscience社は、線維筋痛症患者1025人が参加したミルナシプラン(milnacipran)の二重盲検第3相試験(MLN-MD-03試 験)で良好な結果が得られたと発表しました。 (3 段落, 261 文字)

カラヤンのシンフォニー38枚組しめて9600円とは!

事務長がトイレで「カラヤンのシンフォニー38枚組」知ってますかという。「いや知りません」
「DGからですが、いくらだと思います?」と聴く。そうさな・・・グラモフォンとはいえ、最近はCDも売れないらしいから、しかも交響曲全集だし、30000円かな・・・
「それが9600円なんですよ」

これには驚いた。で昨夜天神のタワーレコードに初めて行きました。こんなところにあったのね。
なかなかわかりつらい販売の仕方をしていたが、確かに9600円で全部カラヤン。

メンデルスゾーンやチャイコフスキーの全曲が入っているのがうれしい。

お得でした。

カラヤン、1970年代のベートーヴェン交響曲全集

CD1
・交響曲第1番ハ長調 Op.21
・交響曲第4番変ロ長調 Op.60
・『エグモント』序曲 Op.84
CD2
・交響曲第2番ニ長調 Op.36
・交響曲第7番イ長調 Op.92
CD3
・交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』
・『レオノーレ』序曲第3番 Op.72b
CD4
・交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』
・交響曲第8番ヘ長調 Op.93
・歌劇『フィデリオ』序曲 Op.72c
CD5
・交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』
・『コリオラン』序曲 Op.62
・『プロメテウスの創造物』序曲 Op.43
・『アテネの廃墟』序曲 Op.113
CD6
・交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』
 アンナ・トモワ=シントウ(S)
 アグネス・バルツァ(M)
 ペーター・シュライアー(T)
 ジョゼ・ヴァン・ダム(B)
 ウィーン楽友協会合唱団
 ヘルムート・フロシャウアー(合唱指揮)
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

 録音:1975-77年(交響曲)、1965&69年(序曲)

4777579
ブラームス:交響曲全集(3CD)

(中略)

CD1:
交響曲第1番ハ短調作品68
交響曲第3番ヘ長調作品90
CD2:
交響曲第2番ニ長調作品73
交響曲第4番ホ短調作品98
CD3:
・悲劇的序曲作品81
・ハイドンの主題による変奏曲作品56a
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
 
 録音:1977,78年(ステレオ)
 ハイドンの主題による変奏曲のみ1964年(ステレオ)

4777580
ブルックナー:交響曲全集(9CD)

(中略)

CD1&2:
・交響曲第1番ハ短調(1981年デジタル)
・交響曲第5番変ロ長調(1976年ステレオ)
CD3:
・交響曲第3番ニ短調(1980年デジタル)
CD4&5:
・交響曲第2番ハ短調(1980,81年デジタル)
・交響曲第8番ハ短調(1975年ステレオ)
CD6:
・交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(1975年ステレオ)
CD7:
・交響曲第6番イ長調(1979年ステレオ)
CD8:
・交響曲第7番ホ長調(1975年ステレオ)
CD9:
・交響曲第9番ニ短調(1975年ステレオ)

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

4777581
メンデルスゾーン:交響曲全集(3CD)

(中略)

CD1
・交響曲第1番ハ長調 op.11
・交響曲第5番ニ長調 op.107『宗教改革』
CD2
・交響曲第2番変ロ長調 op.52『賛歌』
CD3
・交響曲第3番イ短調 op.56『スコットランド』
・交響曲第4番イ長調 op.90『イタリア』
 エディト・マティス(S)op.52
 リゼロッテ・レーブマン(S)op.52
 ヴェルナー・ホルヴェーク(T)op.52
 ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団op.52
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

 録音:1971&72年(ステレオ)

4777917
ハイドン:6つのパリ交響曲と12のロンドン交響曲集(7CD)

(中略)

CD1
・交響曲第82番ハ長調『熊』
・交響曲第83番ト短調『牝鶏』
・交響曲第87番イ長調
CD2
・交響曲第84番変ホ長調
・交響曲第85番変ロ長調『王妃』
・交響曲第86番ニ長調
CD3
・交響曲第93番ニ長調
・交響曲第94番ト長調『驚愕』
・交響曲第100番ト長調『軍隊』
CD4
・交響曲第95番ハ短調
・交響曲第96番ニ長調『奇蹟』
・交響曲第97番ハ長調
CD5
・交響曲第98番変ロ長調
・交響曲第99番変ホ長調
CD6
・交響曲第101番ニ長調『時計』
・交響曲第102番変ロ長調
CD7
・交響曲第103番変ホ長調『太鼓連打』
・交響曲交響曲第104番ニ長調『ロンドン』
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

 録音:1980-82年(デジタル)

4777925
モーツァルト:後期交響曲集

(中略)

CD-1
・交響曲第32番ト長調 K.318
・交響曲第33番変ロ長調 K.319
・交響曲第35番ニ長調 K.385『ハフナー』
・交響曲第36番ハ長調 K.425『リンツ』
CD-2
・交響曲第29番イ長調 K.201(186a)
・交響曲第38番ニ長調 K.504『プラハ』
・交響曲第39番変ホ長調 K.543
CD-3
・交響曲第40番ト短調 K.550
・交響曲第41番ハ長調 K.551『ジュピター』
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

 録音:1965,75-77年(ステレオ)

4777932
シューマン:交響曲全集

(中略)

CD1
・交響曲第1番変ロ長調op.38『春』
・交響曲第2番ハ長調op.61
CD2
・交響曲第3番変ホ長調op.97『ライン』
・交響曲第4番ニ短調op.120
CD3
・序曲、スケルツォとフィナーレ
・交響曲第4番ニ短調op.120
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(CD3:交響曲第4番)
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮) 
 録音:1971年(ステレオ)
 CD3の交響曲第4番のみ、1987年デジタル・ライヴ録音

4777937
チャイコフスキー:交響曲全集

(中略)

CD1
・交響曲第1番ト短調op.13『冬の日の幻想』
・交響曲第2番ハ短調op.17『小ロシア』
CD2
・交響曲第3番ニ長調op.29『ポーランド』
・スラヴ行進曲
・イタリア奇想曲
CD3
・交響曲第4番ヘ短調op.36
・交響曲第5番ホ短調op.64〜第1楽章、第2楽章
CD4
・交響曲第5番ホ短調op.64〜第3楽章、終楽章
・交響曲第6番ロ短調op.74『悲愴』
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
 録音:1975-79年(ステレオ)
 スラヴ行進曲、イタリア奇想曲は1966年(ステレオ)

2008年12月17日水曜日

頸椎症性脊髄症

頸椎症性脊髄症

22日に入院してくる患者さんはこの病気。予習しとこう。

2008年12月15日月曜日

線維筋痛の圧痛点18カ所


線維筋痛の圧痛点

探そう11カ所!!

前立腺幹細胞の表現系:最新のnature(Nature 456, 804-808)

前立腺幹細胞の表現系

Nature 456, 804-808 (11 December 2008) | doi:10.1038/nature07427; Received 25 January 2008; Accepted 16 September 2008; Published online 22 October 2008

Generation of a prostate from a single adult stem cell

Kevin G. Leong1, Bu-Er Wang1, Leisa Johnson1 & Wei-Qiang Gao1: Department of Molecular Biology, Genentech, Inc., 1 DNA Way, South San Francisco, California 94080, USA


について最新のNatureによればその表現系マーカーは


Lin-Sca-1+CD133+CD44+CD117+

ということだが、これひどくね(笑)

なんでもありではないか!!

CD133と 44ならば去年の今頃高松宮シンポの記録をこのプログに書いたが、117よお前もか!という感じ。M君やI君が昨年ソーターを使って117を133や44とすりあわせるのに苦労していたことが思い出される。

2008年12月13日土曜日

ラヴェル: ピアノ協奏曲:ベートーヴェン、交響曲第5番、第7番

今月のCD購入は(唐突であるが)下の二枚とする。
アルヘリッチのラベルは昔はLP持っていた(ような気がする)。買い直し。
クライバーの五番は一回聴いてみてもいいと思っていた。
  1. ラヴェル:  ピアノ協奏曲 アルゲリッチ(マルタ); CD;   ¥ 891
  2. "ベートーヴェン:  交響曲第5番「運命」、第7番" クライバー(カルロス); CD;   ¥ 1,578
アルヘリッチは最近NYのSloan Ketteringの入院費があの彼女をもってしても払いきれないというエピソードを読んで、そんなかわいそうな人生だったのかと思った次第。毎年音楽祭のすぐソバにいたくせに、何回聞きにいったんだろう?二回か三回か???

しもやけ

体質や遺伝も関係するが、しもやけになる大きな要因は一日の気温差と、皮膚表面の温度だといわれている。
総じて、気温が5℃前後で昼夜の気温差が大きい時期にしもやけになりやすい。
また、手足の周辺の湿度が高かったり、皮膚(特に手足)を濡れたまま放って置くと
気化熱により皮膚の表面温度が下がり、しもやけになりやすい。
そのため、日頃から体(特に手足の指先や、指と指の間)が濡れたら、なるべく早く、
しっかりとふき取り、靴は乾燥させ、手袋や靴下が濡れた場合は早く取り替える事が予防に効果的である。
また、先が細い靴や、ヒールが高い靴を履いていると、足の指先が圧迫されて血行不良になり、しもやけになりやすい。


治療法には、40℃位のお湯と5℃ぐらいの水に患部を交互に付ける
(必ず、水よりお湯につける時間は長くし、お湯から始めてお湯で終わるように。)
方法や、患部を温めながらマッサージする方法、トコフェロール(ビタミンE)を服用する方法などがある。

塗り薬なら

(初期の軽いものならビタミンEを多く含む食品(レタスなど)を食べることで一週間程で治ることもある)

しもやけと似た症状の病気に、膠原病の凍瘡状狼瘡や全身性エリテマトーデスがあるため、
暖かくなっても直らない場合には皮膚科で診療を受けると良い。

2008年12月10日水曜日

遺伝子型スコアは2型糖尿病リスクの予測能に優れているか?

Meigs JB et al. Genotype score in addition to common risk factors for prediction of type 2 diabetes. N Engl J Med. 2008 Nov 20; 359(21): 2208-19.

遺伝子型スコアは2型糖尿病リスクの予測能に優れているか?

遺伝性の2型糖尿病のリスクの予測に新時代到来か? 家族性糖尿病を有する人は有さない人に比べ2〜6倍のリスク増大がある。また最新の研究で、複数の遺伝子座が2型糖尿病のリスクと関連していること(リスク対立遺伝子ごとに5〜37%増大)が証明されたことを受け、マサチューセッツ総合病院遺伝子治療部門のJames B. Meigs氏らは、これら遺伝子座に関する知見を用いることで糖尿病リスクの予測は、従来の臨床的なリスクファクターのみを用いた場合の予測能よりも優れたものとなるのではとの仮説を立て検証を行った。NEJM誌2008年11月20日号より。

糖尿病と関連する18の遺伝子型スコアについて検証

検証したのは糖尿病と関連する18の遺伝子座。フラミンガム子孫研究(Framingham Offspring Study)の参加者2,377例を対象とし、18遺伝子座のSNP(一塩基多型)の遺伝子型を確定し、そのリスク対立遺伝子の数から遺伝子型スコアを作成。一般に用いられている臨床的リスクファター単独の場合と、それに遺伝子型スコアの情報を加えた場合との、糖尿病リスクの予測能を、それぞれC統計量を算出してロジスティック回帰分析にて比較した。

従来の予測能と大差なし

追跡期間は28年。この間に確認された糖尿病の新規発症は255例だった。

糖尿病発症者の遺伝子型スコアの平均(±SD)は17.7±2.7、未発症者は17.1±2.6(P<0.001)だった。

遺伝子型スコアを用いた場合の糖尿病リスクの予測能(性補正後)は、用いなかった場合に比べて1.12倍(95%信頼区間:1.07〜1.17)だった。

C 統計量は、遺伝子型スコアを用いなかった場合は0.534、用いた場合は0.581(P=0.01)。補正後モデル(性、自己申告による糖尿病家族歴にて)のC統計量は、遺伝子型スコアを用いなかった場合は0.595、用いた場合は0.615(P=0.11)。さらなる補正後モデル(年齢、性、家族歴、 BMI、空腹時血糖値、収縮期血圧、HDLコレステロール値、中性脂肪にて補正)のC統計量は、遺伝子型スコアを用いなかった場合は0.900、用いた場合は0.901(P=0.49)であった。また、遺伝子型スコアで、対象者のリスクが適切に再分類された割合は最大で4%だった。

これら結果を受けMeigs氏は、「18遺伝子座から作成した遺伝子型スコアで、地域集団での糖尿病の新規発症を予測することはできるが、従来の臨床的なリスクファクターでの予測よりわずかに優れているにすぎなかった」と結論している。

2008年12月8日月曜日

高アンモニア血症

 モニラック原末は、1g中に、結晶性ラクツロースを、1000mg含有している。モニラック原末は、成人は、高アンモニア血症治療を目的とする場合には、通常、1日19.5〜39.0gを3回に分けて内服する。また、産婦人科術後の排ガス・排便を目的する場合には、1日19.5〜39.0gを朝夕2回に分けて内服する。また、小児便秘症改善を目的とする場合には、通常、0.33〜1.30g/kg/日を、3回に分けて内服する。

 ラクツロース・シラップ「日研」は、1ml中に、ラクツロースを600mgを含有している。
 ラクツロース・シラップ「日研」は、高アンモニア血症に伴う症候(精神神経障害、脳波異常、手指振戦)の改善を目的として、使用される。ラクツロース・シラップ「日研」の投与量は、通常、成人は、1日30〜60mlを、2〜3回に分けて、内服する。
 内服したラクツロースは、分解(消化)や吸収されないで、下部消化管に到達し、ビフィズス菌、乳酸菌によって分解・利用され、有機酸(乳酸・酢酸)が、産生される。有機酸によって、腸管内pHが酸性化し、アンモニア産生菌の発育が抑制され、腸管内アンモニアの吸収が抑制され、血中のアンモニア濃度が低下する。

マイクロRNAの現況=サンガーセンターのmiRBase

マイクロRNAの現況

MicroRNA Listing for Homo sapiens

サンガーセンターのmiRBase
  1. 現在リリース12.0でありヒトのmiRNAはhsa-let-7iに始まってmiR-944が最終登録:欠番も多い
  2. ヒトの総数は851個:個々のmiRNAやそのターゲットが知りたいときは
  3. let-7には現在16種類のsubfamilyがあることになっている。アジレントのアレイではうまく見分けることができるのだろうか、心配だ
  4. Ambion社のアレイ:(miRCURY LNATM miRNA ArrayHomo sapiens)( miRBASE ver.11.0) 866(98%)が搭載
  5. Agilent社のアレイ:((Human miRNA マイクロアレイ キット (V2))723種類のヒトmiRNA および 76種類のヒトウィルスmiRNA を搭載( Sanger miRBase v.10.1)
  6. 例えばlet 7aのターゲット遺伝子が知りたければ「ここ」を見る。
  7. 逆にmycをターゲットとするmiRNAが知りたいときは「こちら」を見る。
  8. 以上サンガーが一番充実しているという話。

2008年12月7日日曜日

miRNAの昨今・・・と福岡国際マラソン

頼まれ総説に催促のファックスがあり、この土日は書き物に没頭している。とはいえ、本日の福岡国際マラソンはやはり欠かせない。引きづられるように見てしまった。優勝タイム2時間6分10秒もすごいけど、30−35、35ー40のラップタイムがそれぞれ14分17秒、14分45秒というのが素晴らしい。30−35kmではテレビで見ていてもずいぶん速いなあと思い、そのラップタイムを自分なりに予想してみた。その予想タイムは14分そこそこであり、とても信じられなかった。が、例によってテレビの解説者たちはまったく気がついていない。これだから最近のテレビマラソン中継は深みがないのだなあ。

さて、総説であるがmiRNAについてである。久しぶりにmirBaseをのぞいてみた。今現在12.0までリリースが伸びている。今年の九月現在だ。総数は8000〜9000でありヒトは851まで増えている。miRNAについて最初に仕事をした頃はヒトの総数は軽く1000を超えるだろうと言われていたが、思いのほか伸びない。しかしBioImpactで新刊論文を見てみるとすでに3794件ものmiRNA関連論文が発表されている。研究は花盛りなのだ。レビューだけでも830もあるのだ。(ということを今知った!)。こんな状況で私の出番などあるのだろうか??

Biological principles of microRNA-mediated regulation: shared themes amid diversity.
Flynt AS, Lai EC.
Nat Rev Genet
. 2008 Nov;9(11):831-42.

こんなんとか

Gastroenterologyの論文

Micro-RNAs in Gastrointestinal and Liver Disease
これは現在on lineだけだけどCroceラボの最新レビューということで読んでみた。

まあ、こんな論文があるだけにまとめ方も難しい・・・とはいうものの、まだまだmiRNAの世界もimmatureなのだ。どうにでも切り取れるし、観点を絞ればいくらでも面白い総説は書ける。ようはなんでもありの総説にはしないことだろうな・・・

というわけで、今現在執筆中。



2008年12月4日木曜日

良性発作性頭位眩暈症(BPPV)

リハビリ入院中の男性患者がこれだったって話。

なんの手もかからないため、ドクターがよろこぶタイプの患者さんYさん。退院間近の先週、ベッドから起き上がろうとして本人曰く「失神」した。失神と本人がいうくらいだから失神なのだ。数分のようである。当直医がいろいろ診てくれている。失禁や神経脱落症状はない。CTも異常ない。心電図もだ。一応ホルター心電図も取るが、失神エピソードを起こすような所見はない。Tilt試験といってベッドを機械的に起こして立位にする間の血圧変化(要するに起立性低血圧)を診たが優位な変化はないようだ。

メリスロンやリズミックといった薬を出してみるが、効果なし。さすがの私もこれは「頭位なんちゃら目眩」ではないかと思った次第。で、本日の耳鼻科ドクターの診断がこの「良性発作性頭位眩暈症(BPPV)

これ治療法が面白い「お邪魔石を追い出そう!』

という理学療法

典型的な後半規管障害型の良性発作性頭位眩暈症に対しては、「エプレイ(Epley)法」「パーンズ(Parnes)法」「セモン(Semont)法」などの理学療法が行われます。これらの理学療法は、障害のある後半規管内を浮遊する耳石のような物質を加速度によって半規管から排出させようとする治療法であり、初発例から長びいている例まで、1回の手技で半数以上の患者さんを完治させうる極めて有用な治療法です。
 しかし、これらの治療法を行うためには、どちらの耳が障害を受けているのか、すなわち患側を診断することが不可欠です。患側の診断には眼振所見の評価が必要です。受診時に眼振が消失している患者さんや頭位変換眼振検査がうまく施行できない場合は、「ブラント・ダロフ(Brandt-Daroff)法」が施行されます。この治療法はいわば非特異的な運動療法であり、上記の患側の後半規管をターゲットとした特異的な理学療法のような劇的な効果はありません。セモン法とブラント・ダロフ法は、患者さんが自ら習得して自宅で励行可能なので、1回の手技で治癒しなかったケースでは考慮されるべきです。水平半規管型の良性発作性頭位眩暈症に対しては、「レンパート(Lempert)法」という理学療法が施行されることがあります。ブラント・ダロフ法も一定の効果があります。

耳鼻科のおいしゃさん「エプリー法をやってみてください」と捨て台詞を残していつの間にか帰ってしまいましたことよ。やりかたがわからんぞ!

で調べたの得プレイじゃなくてエプレイ法

2008年12月1日月曜日

Ogilvie症候群

急性偽性腸閉塞のネオスチグミン治療

テーマ:消化器

急性偽性腸閉塞(急性麻痺性イレウス、Ogilvie症候群)は、手術後や重篤な病態に合併して発生することがある。初期の診断には腹部単純レント ゲンが最も有用で、重症(盲腸の径12cm以上)や保存的治療で軽快しない場合には、大腸内視鏡的ないし外科的な減圧処置が必要。減圧処置が遅れると、盲 腸の虚血を誘発して、14~40%で穿孔をきたし死亡率も40-50%に達すると報告されている(文献1)。

腹部が膨満しておりレントゲンで大腸拡張が認められ、盲腸の径が10cm以上で、保存的治療で24時間以上軽快しない場合、大腸内視鏡などで減圧処 置をする前にネオスチグミンの静脈注射が有効という報告がある(文献2)。ネオスチグミン2mgを3-5分かけて静注。奏功率は91%、効いたかどうか、 あるいは副作用有無の見極めには4時間。腎機能正常であればネオスチグミンの半減期は1時間20分。主な副作用は徐脈・徐脈性不整脈で、その場合は硫酸ア トロピンで対処する。

ネオスチグミンは抗コリンエステラーゼ薬で、安価(ワゴスチグミン注2mg:¥277)。β遮断薬使用中や、RMIの症例では禁忌(心筋梗塞へのOgilvie症候群の合併が報告されているが)。

  1. 文献1:Vanek VW et al. Acute pseudo-obstruction of the colon (Oglivie's syndrome). An analysis of 400 cases. Dis Colon Rectum 29:203-210, 1986
  2. 文献2:Ponek RJ et al. Neostigmin for the treatment of acute colonic pseudo-obstruction. NEJM 341:137-141, 1999

2008年11月29日土曜日

吃逆を止める薬

クロルプロマジン
製品例 : ウインタミン錠12.5mg~25mg~50mg~100mg、コントミン糖衣錠12.5mg~25mg~50mg~100mg  区分 神経系用剤(含む別用途)/クロルプロマジン製剤/精神神経用剤

バルプロ酸ナトリウム
製品例 : デパケン錠100~200、デパケンR錠100~200、デパケン細粒20~40%、デパケンシロップ5%、セレニカR顆粒、バレリン錠100~200mg区分 抗てんかん剤/その他/抗てんかん剤・躁状態治療剤

メトクロプラミド
製品例 : プリンペラン錠5、プリンペラン細粒2%、プリンペランシロップ0.1% 区分 他の消化器官用薬/その他/消化器機能異常改善剤

しゃっくり:横隔膜のけいれん

しゃっくり:横隔膜のけいれん

しゃっくりは正式には吃逆(きつぎゃく)といい、だれにでも起こるありふれた状態ですが、れっきとした運動機 能障害の1つです。しゃっくりは横隔膜がけいれんした後、声門が素早く閉じるときに出る音をいいます。横隔膜は腹部と胸部を仕切っている筋肉で、1回ごと の呼吸を調節しています。声門は左右の声帯の間の開口部で、声門が閉じると空気が肺に流れこまなくなります。しゃっくりは、速く深い呼吸(過換気)などに よって、血液中の二酸化炭素レベルが下がると起こりやすくなります。

しゃっくりの大半は、明らかな原因がなくても起こります。しゃっくりが社交的な場で出ることが多いのは、おそ らく笑ったり、話したり、食べたり、飲んだりといった動作の相互作用によるためと考えられます。熱いものや刺激のある飲食物が引き金になることもありま す。さらに少数ながら、より重大な原因として、肺炎や胸部・胃の手術による横隔膜の炎症、腎不全で老廃物がたまることによる血液中の有害物質の増加があり ます。まれに、脳腫瘍や脳卒中によって脳の呼吸中枢が障害され、しゃっくりが起こることがあります。

しゃっくりの多くは突然始まり、数秒から数分後には止まります。しかし、ときには健康な人でも、しゃっくりが なかなか止まらないことがあります。重大な原因によるしゃっくりは、その原因が治るまで長びく傾向があります。脳腫瘍や脳卒中によるしゃっくりは非常に止 まりにくく、疲労が増大します。

しゃっくりを治す方法として、さまざまな民間療法が知られています。多くは、血液中の二酸化炭素レベルを増や してしゃっくりを止めようとする方法です。息を止めるのが最も単純なしゃっくりの止め方ですが、紙袋(ビニール袋は不可)を口にあてて呼吸するのも、二酸 化炭素レベルを増加させる効果があります。また、水を素早く飲んだり乾燥したパンや砕いた氷を飲みこんだりすると、脳から胃へ走る迷走神経が刺激され、 しゃっくりが止まります。舌をそっと引っぱったり、眼球をそっとこすっても迷走神経を刺激します。これらの方法は、ほとんどのしゃっくりに効果がありま す。

長びくしゃっくりで、特に治りにくい原因がある場合は治療が必要です。さまざまな薬が使用されてきましたが、効果はまちまちです。使用される薬にはスコポラミン、プロクロルペラジン、クロルプロマジン、バクロフェン、メトクロプラミド、バルプロ酸などがあります。

2008年11月19日水曜日

宿便性直腸潰瘍

宿便性直腸潰瘍について
(1)岩垂純一の「肛門疾患診療プラクティス」(平成19年第二版)には全く触れられていない。
(2)Sabiston Textbook of Surgery

2008年11月14日金曜日

宿便性直腸潰瘍:その後の老女

Stercoral ulcer−2

Stercoral ulcer is an ulcer of the colon due to pressure and irritation resulting from severe, prolonged constipation. It is most commonly located in the rectum. Individuals with this condition are at risk for stercoral perforation.


肛門痛の老女は見違えるようによくなった。ただひたすら緩下剤と下剤で排便をコントロールする。
こんな明るい人だったのか!典型的老人性うつ病だと思っていたが、単に痛かっただけなのね。ごめんなバーさん。

digitalが今日はできました。潰瘍なおっている。肛門鏡は奥まではまだ無理。しかし入り口の潰瘍はすでにない。
だいたい異常にトーヌスが高いよ、この老女。
宿便性直腸潰瘍ってあるんだよね。

グラス・ハーモニカ「アダージョとロンド K617」



ホリガーのオーボエ四重奏曲は昨日届いて早速聴いたのだが、やはりこの曲は素晴らしい。何回も聴きたい曲ですな。ただしホリガーの演奏はボクが若い頃愛聴していた古いレコード(誰の演奏かは不明)とはかなり違う。あの古い演奏が聴きたいな。

ところでこのCDには四重奏曲と五重奏曲のほかに「アダージョとロンド K617」というのがついていて、最初その異様な音色にこれは果たして本当にモーツアルトなのだろうかといぶかしんだ。カバーにはgrass armonicaとしか書かれていない。ハーモニカの音じゃないぞこれは。ガムランのような不思議な音だ。そこでgoogleである。さすがはグーグルだね。

2008年11月13日木曜日

Wotherspoon grade:マルトリンパ腫





Wotherspoon grade: 胃MALTリンパ腫の生検分類

Wotherspoon Grade 0: Normal : Scattered plasma cells: no lymphoid follicles
Wotherspoon Grade 1: Chronic active gastritis: Small clusters of lymphoid cell in lamina propria: no lymphoid follicles or lymphoepithelial lesion
Wotherspoon Grade 2: Chronic active gastritis with florid lymphoid follicle formation: Prominent lymphoid follicles
Wotherspoon Grade 3: Suspicious lymphoid infiltrate, probably reactive: Lymphoid follicles surrounded by small lymphocyte that infiltrate diffusely in lamina propria and occasionaly into epithelium.
Wotherspoon Grade 4: Suspicious lymphoid infiltrate, probably lymphoma: Lymphoid follicles surrouded by CCL cells that infiltrate diffusely in lamina propria and into epithelium in small groups.
Wotherspoon Grade 5: Low-grade B-cell MALT lymphoma: Dense infiltrate of CCL cells in lamina propria; prominent LEL.

  • Wotherspoon AC, Doglioni C, Diss TC, Pan L, Moschini A, de Boni M, Isaacson PG. Regression of primary low-grade B-cell gastric lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue type after eradication of Helicobacter pylori. Lancet. 1993 Sep 4;342(8871):575-7.
  • グレード0:プラズマ細胞がチラチラ、瀘胞構造はみえない。正常である
  • グレード1:粘膜固有層にリンパ系細胞の集蔟。まだ瀘胞構造はみえないし、リンパ上皮様態も見えん。いわば慢性胃炎。
  • グレード2:瀘胞構造が目立つ。
  • グレード3:リンパ球の浸潤が疑われる。こいつはおそらくは反応性の変化。小リンパ球により囲まれた瀘胞構造認める。この瀘胞は粘膜固有層に厚く浸潤したり、時に上皮間に入り込んでみたり。
  • グレード4:。リンパ球の浸潤が疑われ、これはリンパ腫である。リンパ濾胞はcentrocyte-like(CCL)細胞に囲まれる。この瀘胞は粘膜固有層に厚く浸潤したり、群をなして上皮間に入り込んでみたり。
  • グレード5:。悪性度の低いB細胞性MALTリンパ腫。centrocyte-like(CCL)細胞が粘膜固有層に厚く浸潤したり、リンパ上皮様構造も顕著。




Grade 記載 組織学的特徴
0 正常 粘膜固有層内に散在する形質細胞。
リンパ濾胞を認めない。
1 慢性活動性胃炎 粘膜固有層内のリンパ球小集簇。
リンパ濾胞は認めず。LELもみない。
2 リンパ濾胞を伴った
慢性活動性胃炎
マントル帯と形質細胞に囲まれた明かなリンパ
濾胞の形成。LELはみない。
3 おそらく反応性と考えられる
粘膜固有層のリンパ球浸潤
リンパ濾胞の形成と小型リンパ球の固有層内の
びまん性浸潤。時に上皮内にも少数の浸潤を認める。
4 リンパ腫が疑われる
固有層内のリンパ球浸潤
リンパ濾胞はcentrocyte-like(CCL)細胞に囲まれており
後者の固有層内のびまん性浸潤と上皮細胞間への集簇性浸潤を認める。
5 低悪性度MALTリンパ腫 粘膜固有層内へのCCL細胞の著しい浸潤が見られ
lynphoepithelial lesionの形成も明かである。

2008年11月12日水曜日

モーツアルトのオーボエ四重奏曲

モーツアルトのオーボエ四重奏曲をアマゾンで購入した。ホリガーのオーボエで1200円というのは良い値段である。
楽しみである。この曲すきなので・・・。

2008年11月10日月曜日

クラシックの魔法 スピリチュアル名曲論(西村 朗)

クラシックの魔法 スピリチュアル名曲論

自分の知らないクラシック曲を探しているので、最近この手の本を好む。
肩の凝らないクラシック案内。名盤・名演奏家列伝ではなく、「ある特定の個人」による好きな曲の拾い上げ。ボクは山本 一太、茂木大輔、松本大輔、そして西村 朗と読んでみた。

数十ページ読むと、自分の志向と大きく違わないことがわかる。そう大きく違わないのならば後はその人にしばらくは影響されてもよい・・・というやり方で、自分の知らない曲を開拓していく。

著者、西村 朗は臆面もなく「エリーゼのために」や「トロイメライ」などを紹介するかと思えば、ラベルについては紹介が「水の戯れ」であったり、ドビッシーには紹介曲がなかったり(少なくとも大目次には・・)と選択が面白い。文章表現は控えめなタッチであるが、でも所々に本音が出ていている。「ホー」と思ったのはサンソン・フランソワが大嫌いであるという一節である。レコ芸あたりの名盤紹介だとラベルの定番はサンソン・フランソワ(あるいはキーゼギング)ということになるが、西村は嫌いなんだって。ボクはこないだラベルのピアノ曲全集をフランソワで購入したが、確かになんか違うような気がしてならなかった。それまで聴いていたのがアビー・シモンという人で、これがなかなか良かったからね、特にラ・バルス。あるいはラフマニノフの紹介で山本一太の本同様に「ヴォカリーズ」が出てくる。

というわけで西村にかけてみてもよいなと思われた曲は、プッチーニの「ラ・ボエーム」である。

2008年11月1日土曜日

ワルター・ギーゼキング

ベネディッティ・ミケランジェリ

ミシェル・ベロフ

ワルター・ギーゼキング
  • 今日ギーゼキングは、もっぱらモーツァルトドビュッシーラヴェルの伝説的な演奏家として記憶されている(モーツァルトの全集はレコード会社から持ち込まれた企画であった)。作曲者の存命中にラフマニノフの協奏曲の録音にいどんだ、最初のピアニストでもある。
  • ドビュッシーやラヴェルのピアノ曲は、たいてい運指やペダルの指定がなく、これらは演奏者の判断に委ねられている。殊にドビュッシーでは、ともすれ ば曲の見通しが曖昧模糊となりがちである。これに対して、ギーゼキングの演奏は曲の分析力が明晰で、当時のつたないアコースティック録音にもかかわらず、 ニュアンスに富んだ繊細な音色と、多彩な表情の変化に満ちている。その上、演奏技巧に欠点がない。つまり、曲の解釈において迷いが無い。たとえばドビュッ シーの≪前奏曲 第1集≫の<パックの踊り>は、これほどの速さで押し切っているにもかかわらず、まったくテンポやフレージングが乱れない。
  • こうした特長のために、学習者 の模範として使われてきただけでなく、後世のピアニストからは、ドビュッシーやラヴェル演奏の完成者として、到達目標として仰がれたのである。

サンソン・フランソワのラベル

サンソン・フランソワのラベル ピアノ集をアマゾンで買った。ほとんどの曲は2度買い、三度買いになる(たとえば亡き王女、ソナチネ、クープランなどだが、今回の購入のきっかけはこうだ。

(1)10月の下旬に「のだめカンタービレ」のDVDをまとめてみてしまったこと。
(2)DVDの中でパリに到着したのだめが最初に弾いた曲が「鏡」だったこと。
(3)この鏡がめちゃくちゃ良かったこと。それで欲しくなったわけだ。

いろいろあさっているうちに古くからのサンソン・フランソワの2枚が目に留まった。これはLP時代から目立つジャケットである。
何十年ぶりかで購入したというわけだ。 一枚1300円である。ありがたい世の中である。

プロコフィエフ:古典交響曲
(小澤征爾+ BPO)も購入。89〜90年の録音である。ドイツ・グラモフォンの例の装丁であるが、なんと1000円。The Best 1000というシリーズらしい。

この一ヶ月でよく聴く曲は「プーランク:オーボエ・ピアノソナタ」ですな。これはいいですよ。

2008年10月30日木曜日

宿便性直腸潰瘍

Stercoral ulcer

From Wikipedia, the free encyclopedia

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Stercoral ulcer is an ulcer of the colon due to pressure and irritation resulting from severe, prolonged constipation. It is most commonly located in the rectum. Individuals with this condition are at risk for stercoral perforation.

[edit] References

Maull K, Kinning W, Kay S (1982). "Stercoral ulceration.". Am Surg 48 (1): 20–4. PMID 7065551.

先週からみていた肛門痛の老女は、結局これだったようだ。治療は一切、肛門に薬をいれないこと。座薬だめ!
ただひたすら緩下剤と下剤で排便をコントロールする。今日の診察では見違えるように症状がとれていた。

2008年10月25日土曜日

プーランクはなかなかよいぞ

プーランクのオーボエ・ソナタ等々を茂木大輔のCDで聴いた。これがなかなか良いのだ。プーランクとは琴線が共鳴しそうだ。生きる力になるような音楽ではないが、調味料としてはなかなかの優れもの。フランス流のエスプリもまあまあだ。大衆的かもしれんが、そこがいい。
これを大衆的と書くと怒る人がいっぱいいそうだが、下衆ではないのだからいいのではないかと。大衆のなかには品の良い御仁、御夫人も多くいることだし・・・・。

2008年10月22日水曜日

新鮮な結核と遭遇

外来でちょっとショッキングなことが・・・・。

一昨日の午前中の外来はことのほか「風邪」が多く、先週の土曜日が異常に暑かったせいなのか体調を崩した患者軍のなかに27歳の主婦が現れた。ただの風邪だと思い、薬を出しておしまいにしようかとも思ったが、ひときわ痩せが目立つ。なんかいやだな。そこで胸部のXpを撮ったら、右の上肺野の高度の炎症、あるいは空洞?これはひどい。・・・あるいは結核!?!

痰を速攻で検査に出した。患者さんには一旦家に帰ってもらった(子供:一才!がいたので)。3時間後の結果は「ガフキー7号」であった。
翌日老舗の結核病院に連絡し患者さんに受診してもらったが、あるんですねこんなことが。

25年外科で消化器の癌をやっていた私であるが、ヴァージンの肺結核をみることになるとは思わなかった。あっというまに診断がついて良かった。しかしそれでも保健所から電話はくるは、病院の感染制御チームから指導はあるは、やれ胸写だ・・・とかまびすしい。

2008年10月18日土曜日

せん妄の診断基準

せん妄の診断基準
 
注意を集中し,持続し,転導する能力の低下を伴う意識障害(すなわち,環境認識における清明度の低下)。
認知の変化(記憶欠損,失見当識,言語障害など)または,すでに先行し,確立され,または進行中の痴呆ではうまく説明できない知障害の出現。
その障害は短期間のうちに出現し(通常数時間から数日),1日のうちで変動する傾向がある。
全身性内科疾患に起因するせん妄では:

病歴,身体診察,または臨床検査所見から障害が全身性内科疾患の直接の生理的な結果であることを示す。
物質中毒性のせん妄の場合:

以下のいずれかを示す,病歴,身体診察,または臨床検査の所見。


1. 最初の2つの基準に記載された症状が物質中毒の期間に出現。


2. 薬物使用がその障害と病因的に関連している。

物質離脱性のせん妄の場合:


離脱症状群の期間中,または少し後に,病歴,身体診察,または臨床検査所見から最初の2つの基準に記載された症状が生じた証拠がある。

複数の病因によるせん妄の場合:


病歴,身体診察,または臨床検査所見から,そのせん妄に2つ以上の病因(例,2つ以上の全身性内科疾患,全身性内科疾患+物質中毒または薬物の副作用)があるという証拠がある。
American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 第4版. Washington, DC, American Psychiatric Association, 1994, pp. 129, 131-133を改変;許可を得て転載。Copyright, 1994 American Psychiatric Association.

せん妄−2

せん妄

(急性錯乱状態)
認知,気分,注意,覚醒,および自覚に関する動揺性の障害を特徴とする臨床的状態。以前に知的障害がなくても,あるいは慢性の知的障害に加重する場合にも急性に発症する。
 せん妄と急性錯乱状態を同義語として使う臨床医がいる。別の人は,せん妄を活動亢進のある混乱した人という意味で使用している。さらに別の臨床医は,せん妄という言葉を,完成した錯乱状態や軽度の見当識障害に関して使っている人もある。
 注意散漫(意識混濁)であったり注意を払うのが困難な人は,周囲の事情からのデータを正確に理解したり解釈したりすることや,さらに新しい情報を獲得したり記憶することも困難である。このような人は事実に基づく情報を誤って解釈したり錯覚を起こすことがある。このような結果として,論理的に思考することをせず,象徴的なデータ(例,算数,ことわざの説明など)を扱うのに困難を覚え,不安になったり動揺したり,周囲から身を引くことになり,偏執的で妄想的な方法で思考するようになる。


病因
 せん妄は,正常な脳の人に生じることがあるが,痴呆のような潜在的な脳疾患のある人により多く生じる。高齢者にはさらに普通にみられ,おそらく神経伝達 物質内の変化,老人性の脳細胞消失,随伴性疾患によるものと思われる。せん妄は,一次性脳疾患が原因のことも,身体のどこかの疾患が脳を侵すこともある。 代謝性,中毒性,構造性,または感染性の原因のことが多い。原因に関係なく,大脳半球,間脳視床,脳幹の網様体賦活系の覚醒機序が生理学的に機能障害に陥 る。急性疾患にさらに付加された睡眠障害や極端なストレスは,せん妄の症状を悪化させることがある(集中治療室精神病の場合と同じ)。
 代謝性または中毒性:実際には,いかなる代謝性疾患もせん妄を起こすことがある。いくつかの重要なせん妄の代謝性および中毒性の原因を表171-2に示す。高齢者の場合,薬物副作用が最も一般的な原因である。
 構造的原因:せん妄を突然生じさせる構造病変として,血管閉塞,脳梗塞,クモ膜下出血,脳出血,原発性または転移性脳腫瘍,硬膜下血腫,脳膿瘍がある。大部分の構造病変はCTまたはMRIで検出でき,多くは身体診察中に見出しうる局所性神経学的徴候がある。
 感染性:せ ん妄が,急性髄膜炎,脳炎,脳以外の感染による恐らくは毒素の同化作用,発熱により,起こることがある。肺炎(たとえ酸素欠乏がなくても),尿路感染,肺 血症,ウイルスによる発熱が脆弱性の脳に精神錯乱を生じさせることがある。緩徐発達する塞栓性膿瘍や日和見感染は臨床的診断が困難であり,場合によって は,適切な評価のために脳生検が必要となる。

表171-2 せん妄の代謝性および中毒性の原因→


症候
 せん妄の症状はしばしば急速に変動する。それは分単位で生じることもあり,夕方になると悪化する(日暮れどき症状)傾向がある。最も顕著なのは,時間や 場所または人に対する見当識障害に伴って起る意識混濁である。注意力は低下する。日々の出来事や日常の事柄についての混乱が普通である。人柄や感情の変化 もよくある。症状は,短気,不適切な行動,恐怖心,過剰精力,あるいは妄想症,幻覚症(通常視覚性),偏執症のような,あえて率直にいって精神病的な症状 からなる。人によって,もの静かになったり,引っ込み思案になったり,無感動になったりするのに,興奮しやすくなったり,活動亢進状態になる人もいる。身 体的情動不安はぺーシングによって表現されることが多い。患者は少しの間矛盾する情緒をみせることがある。思考の仕方は支離滅裂となり,話し方は目立って 不明瞭な発音,早口,新造語,失語症的間違い,雑然としたパターンなどが一緒になり,しばしば訳のわからないものになる。正常の睡眠や食事パターンは,た いていひどくゆがめられる。めまいを経験する患者もいる。


診断
 せん妄の予後は深刻であり,潜在的な病気は治療可能なので,早急に医療評価を行う必要がある。ある推定値によれば,入院したせん妄の高齢者のうちの18%は死亡する。また,錯乱を発現する患者は,発現しない患者に比べて入院期間は2倍に達する。
 診断はほとんど完全に臨床所見に基づく。診断基準を表171-3に示す。臨床検査として,生化学一式,骨髄像など全血球計算,米国性病研究所試験(VDRL)のような梅毒検査,尿検査とその培養,血液培養,甲状腺機能検査,ビタミンB12値, 中毒に関するスクリーニングを行わなければならない。てんかん重積持続状態(成人の場合症例はごくまれ)や脳炎の疑いがない限り,脳波検査,腰椎穿 刺,SPECT,ポジトロンCTは有用ではない。単純および造影CTにより古い梗塞や新しい梗塞,硬膜下血腫が検出できる。
 感情鈍麻を伴うせん妄と,うつ状態とは併存していることもあるが,とくに高齢者では区別しなければならない。同様に,せん妄を伴う精神興奮や幻覚も機能 性精神病と区別する必要がある。機能的精神病は,せん妄状態(または中毒に罹患した)の患者にみられる精神障害で,ほとんどいつも見当識障害,記憶喪失,認知覚障害をもっていない。躁病または精神分裂症型障害の病歴があるときには,精神疾患の存在を示唆する。
 全身性の内科疾患はせん妄の発生を促進することがあり,治療開始に当たり,これを探索しなければならない;この例としてウェルニッケ-コルサコフ症候群 がある。本症は,錯乱,見当識障害,記憶喪失を特徴とする。低体温,頻脈,低血圧,振戦,眼筋麻痺は,アルコールに関連した疾患を強く示唆する。欠神と複 雑性部分発作からなるてんかん重積持続状態では,せん妄と区別困難な錯乱状態を生じることがある。しかし,発作状態は,せん妄に比し困惑の様相は明確では あるがさほど重症ではなく,また嗜眠性も強くない。てんかんに罹った患者は,一見錯乱状態ではあっても,通常大部分のせん妄患者と比べて驚く程によい方向 感覚をもっている。非けいれん性てんかん状態は,脳波によって容易に検出できる。脳波上スパイク除波や鋭波放電があると,診断に役立つ。せん妄だけがけい れん性てんかん状態の発生を促進することはめったにない,しかし,全身性強直間代性発作は,しばしば1〜2日以内にせん妄の状態に陥る。脳症では,両半球 の脳波はα波よりも遅い徐波を示す。三層波が肝性脳症や腎性脳症に現れることがある。

表171-3 せん妄の診断基準→


治療
 潜在的原因を迅速に確認し,これを適切に処置した場合,特に原因が低血糖,感染,医療性因子,薬物毒性,電解質平衡異常のときには,症状は通常可逆的である。しかし回復はゆっくりであり(数日,数週間ないし数カ月のことさえある),特に高齢者は遅い。
 すべての不必要な薬物は中止する。診断された疾患を治療し,水分補給,栄養補給を行う。アルコール乱用や禁断症状の疑いのある患者には吸収を確実にする ために,毎日チアミン100mg筋注を少なくとも5日間行う。入院中,このような患者は,自律神経障害や錯乱が悪化することから禁断症状がはっきりするの で,これらの徴候についてモニターする必要がある。
 病室はできるだけ静かで落ち着いたものとする。照明は暗くするが真っ暗ではない方がよい。医療関係者や家族の人達には,患者を元気づけ,環境になじむよ うにさせ,あらゆる機会に状況などを説明する。必要でない限り,内在疾患を改善させるための付加的な薬物は避ける。しかし,ときには精神興奮は症状に応じ て治療する。特にその症状が患者本人,看護人,医療関係者の安全を脅かす場合に必要である。慎重に拘束し,患者が静注などパイプラインを引き抜かないよう にする。拘束具は,その使い方の訓練を受けた人が取り付け,損傷を生じないように少なくとも2時間毎に自由にし,できるだけ早く止めるようにする。
 せん妄の治療薬物の選択に参考になるような科学的データはほとんどない。少量のハロペリドールの投与(わずか0.25mg経口,静注,または筋注)また はチオリダジン(5mg経口)がせん妄の患者の治療に有用である。比較的多量の投与(ハロペリドール2〜5mg,チオリダジン10〜20mg)がときに必 要である。ハロペリドールに代わってリスぺリドンのような最新の薬物が経口療法で用いられるようになった。これは静注,筋注はできない。短期間ないし中期 間作用するベンゾジアゼピン(例,アルプラゾラム,トリアゾラム)は,しばらくの間精神興奮を制御することができる;ベンゾジアゼピンは錯乱を悪化させる ことがあるが,必要であれば,最少有効量を投与する。回復の評価ができるように全ての精神興奮薬はできる限り減量し,可能な限り早く投与を中止する。

せん妄の治療薬物

せん妄の治療薬物の選択に参考になるような科学的データはほとんどない。少量のハロペリドールの投与(わずか0.25mg経口,静注,または筋注)またはチオリダジン(5mg経口)がせん妄の患者の治療に有用である。比較的多量の投与(ハロペリドール2〜5mg,チオリダジン10〜20mg)がときに必要で ある。ハロペリドールに代わってリスぺリドンのような最新の薬物が経口療法で用いられるようになった。これは静注,筋注はできない。短期間ないし中期間作 用するベンゾジアゼピン(例,アルプラゾラムトリアゾラム)は,しばらくの間精神興奮を制御することができる;ベンゾジアゼピンは錯乱を悪化させることがあるが,必要であれば,最少有効量を投与する。回復の評価ができるように全ての精神興奮薬はできる限り減量し,可能な限り早く投与を中止する。



認知症とせん妄


肥厚性鼻炎

肥厚性鼻炎

シングレア (10) 1T 1x
アルデシン AQネーザル

肥厚性鼻炎

下鼻甲介が腫れっぱなしで、鼻が詰まりっぱなし。辛い鼻炎です。

鼻炎が慢性化したうちの、特に下鼻甲介の腫れが慢性化したものが慢性肥厚性鼻炎と呼ばれます。原因は急性鼻炎の繰り返しや鼻中隔湾曲、薬剤、糖尿病や肝・腎・肺疾患などによる鼻粘膜のうっ血など。長年のアレルギー性鼻炎により粘膜の腫れが慢性化することもあるようです。

症状は、とにかく鼻が一日中詰まりっぱなしで点鼻薬(血管収縮剤)も効果がありません。多くは両側の鼻が詰まりますが、鼻中隔湾曲症の場合は広い方の鼻腔が詰まることも。あとは粘りけのある鼻汁、後鼻漏もあります。
逆に鼻が通る時があり、点鼻薬が効けば慢性単純性鼻炎です。

どうやら、さまざまな鼻炎が慢性化した結果、下鼻甲介が腫れっぱなしになった病気の総称が慢性肥厚性鼻炎となるようですね。

肥厚性鼻炎の治療は、薬による治療で効果が少ない場合は外科的治療になります。下鼻甲介粘膜の切除、粘膜のレーザー焼灼など。鼻中隔湾曲があれば矯正します。

また、原因となっているアレルギー等を治療すれば、肥厚が解消される場合もあるようです。

ついでに・・・

市販点鼻薬による薬剤性肥厚性鼻炎が問題になっています。
鼻づまりを治すつもりで、逆に悪化させたんじゃ洒落になりません。気を付けましょう。


注意!市販点鼻薬:薬で肥厚性鼻炎?

ご存じの方も多いと思いますが、市販の点鼻薬は良く効くそうです。
でも、使い過ぎるとヤバイっす。

市販されている点鼻薬(スプレー)の多くは、成分に血管収縮剤が含まれています。
鼻が詰まっている時に鼻スプレーを使うと、鼻粘膜の腫れが治まり鼻が通ってきます。これは、血管収縮剤が血管の壁を通る自律神経を刺激して、血管を収縮させるためです。
初めての使用ならば、かなりの即効性があるとのこと。

しかし薬の成分が血管を収縮させているので、数時間経つと、鼻粘膜は元の状態に戻ります。
例えば風邪による鼻づまりに点鼻薬を使用した場合、薬の効果が切れた時に風邪が治っていれば、粘膜は健康な状態に戻ります。しかし、点鼻薬が鼻づまりの原 因を治療するのではないので、病気が治っていなければ、効き目が切れると粘膜は腫れた状態に戻って、また鼻づまりです。

そ もそも鼻づまりを解消するために薬を使うのですから、また点鼻薬を使用→鼻が通る→詰まる。これを繰り返すと、しだいに鼻粘膜の自律神経の働きが変調をき たし、点鼻薬の使用量、回数を増やさなければ鼻づまりが解消されなくなります。薬なしでは鼻が通らない。点鼻薬の副作用による依存です。

そして最後には鼻粘膜がむくんで腫れっぱなしになり、点鼻薬が全く効かない状態に・・・点鼻薬による肥厚性鼻炎です。

現実に苦しんでいる方にとって、点鼻薬を断つことは非常に辛いと言われますが、とにかく市販点鼻薬の使用を止めることが治療の第一歩になります。

“市販の点鼻薬には二度と近づかない”これが鉄則。

病 院では

ステロイド点鼻薬、
抗ヒスタミン剤内服、
レーザーによる粘膜焼灼その他、

アレルギー性鼻炎療法に準じた治療が行われます。最初のうちは鼻づまりに苦 しみますが、1-2週間で元の状態に戻り、粘膜肥厚の原因が薬以外に無ければ、鼻づまりそのものも治ってしまう事例も少なくありません。
しかし重症の場合は、薬やレーザーだけでは改善が難しいことも多く、肥厚した粘膜を切除することもあります。

意識障害のAIUEO TIPS

≪意識障害のAIUEO TIPS≫
Alcohol:急性アルコール中毒
     Vit. B1欠乏症(Wernike脳症)
lnsulin:低血糖
     糖尿病性ケトアシドーシス
     非ケトン性高浸透圧性昏睡
Uremia:尿毒症
Encephalopathy:肝性脳症
        高血圧性脳症
Endocrinopathy:甲状腺クリーゼ
        粘液水腫(甲状腺機能低下症)
        副甲状腺クリーゼ(機能亢進)
        副腎クリーゼ(急性副腎不全)
Electrolytes:Na,K,Ca,Mgの異常
Opiate / Overdose:薬物中毒
O2 & CO2:低酸素血症(肺炎,気管支喘息,気胸,心不全,心疾患,肺塞栓,高山病,肺挫傷)
     CO中毒
     CO2ナルコーシス
Trauma:脳挫傷
    急性硬膜下血腫
    急性硬膜外血腫
    慢性硬膜下血腫
Tumor:脳腫瘍
Temperature:低体温,高体温
Infection:脳炎,髄膜炎,脳膿瘍
      敗血症
呼吸器感染症(肺炎など)
Psychogenic:精神疾患
Seizure:てんかん
Stroke: 脳梗塞脳出血
     くも膜下出血
急性大動脈解離
Senile:老人の脳循環不全脱水
    感染(肺炎,敗血症)
    心不全
Shock:各種ショック
Syncope:失神の原因疾患

2008年10月12日日曜日

シューマンの3番交響曲:ライン

シューマンの交響曲についてはアメリカにいるときBox/Voxの4曲全集を購入した。今から10年くらい前のことである。地味な交響曲だとずっと思っていたが、時々は聞き返すほどのちょっとした琴線に触れる部分はあったわけであり、これはカリンニコフとはことなる。カリンンコフはおそらくもう聞かないだろう、余程のことが亡い限り。今日夜九時からのN饗アワーを聞いていたらシューマンの3番:ラインをやっていたのだが、これには聞き入ってしまったよ。ついに来たという感じ。ようやく私にもシューマンがわかるようになったようだ。これは実はとてもうれしい。いろいろな作曲家のなかでシューマンは本当に苦手だったのだ、これまで。苦手ならきかなければいいのだが、この作曲家だけはなぜか気になるのである。嫌いではないのであった。わからなかったのだ、その良さが。今晩いきなりその良さがわかったというわけで、実にうれしい。

こんなことは滅多に亡いのだよね。嫌いな作曲家は始めから相当嫌いだし、好きな作曲家はかなり初期から入れ込むわけだ。というか、じつは嫌いな作曲家というのはそんなにいないよな。少なくともクラッシック音楽として生き残ってきた曲目であるから、そんなに駄作が残る訳がないからである。そんななかシューマンは苦手だった。本当に苦手だった。でも嫌いではない。わからないだけ。だから今日はうれしいぞ。

2008年10月11日土曜日

久しぶりのブルックナー4番

カリンニコフに触発されて、久しぶりにCD屋さんに行った。昔レコードで持っていたものを買い直そうと思いました。例えばブルックナーの4番。クラシックを本格的に聞き始めた19歳くらいのころよく聞いた。ハイティンクのコンセルトヘボウだったと思う。博多駅のそばでそのハイティンクのコンセルトヘボウ86年版が1000円だった。なんか哀しいぜ、1000円かよ!やはりいいよなブルックナーは。1〜3番を買い直そう。

カリンニコフ:交響曲第1番に失望

なんじゃこれ!・・・・というのが感想である。悪くはないが、ある男のいう「至上もっとも美しい交響曲」はないですな。楽しみにしていた分だけ損したという感じ。チャイコフスキーの周辺音楽だと思います。二流の音楽だと思った。はっきり言って・・・・・・。

2008年10月5日日曜日

Mondor Tietze's syndrome

Mondor病Tietze's syndromeなどは乳腺まわりの病気であることを知ってはいても、実際にはなかなか出くわさない。
それでもMondorは見ただけですぐ診断がつくので、これまで3回くらいは出会っている。

Tietze's syndromeには出会ったことが
ない。・・と思っていたがこれはボクの勉強不足であるな。第2~5胸肋間関関節痛であることを知っていれば意外に出くわすはずであり、そう思った矢先に先日であった。26歳の女性である。場所が特有なだけのありふれた病態なのだろうが、余計な検査をしなくて様子を見れるので、やはり知っておくべき事柄だろうよ。

2008年9月27日土曜日

カリンニコフ:交響曲第1番

久しぶりの投稿である。しばらくは備忘録本来に戻る。新しい職場にたどり着いてひと月になる。土曜日の午後にこれほど暇なのも久しぶりである。ネットサーフィンによる風が吹けば桶屋が・・のお話。

カリンニコフ:交響曲第1番をとにかく購入したのである。先ほどアマゾンで・・・
経緯は
1)久しぶりにNaxosの名前を思い出したのが今日の昼くらい。
2)金のないアメリカ留学時代、俵孝太郎の本とNaxosマルコポーロがわずかな楽しみだったわけだ。13年くらい前の話。
3)ネットでNaxosを引いてみた。Wikiに出ていた。今ではドイツグラモフォンを抜いて・・・・なに!・・・たまげたわい。
4)で、俵さんとかけて検索したら、なぜかカリンニコフ:交響曲第1番が出てくるのだ。わけはわからん。
5)昔から音楽に関してはこの手の偶然邂逅を大事にしているので、即購入である。残念なのなNaxosレーベルのものは現在入手困難。

2008年6月18日水曜日

おっとどっこい偽遺伝子は現役だった!

死んだふりをしている偽遺伝子が実はmiRNA(siRNA)の源であったという報告がありました。昨日の昼、「偽遺伝子」のことを考えていたばかりだったので、少し驚くと共に研究のアイデアが沸々とわいてきましたぜ。この偽遺伝子の報告はNatureに同時に三報載り、もっとも早いのは徳島大学からの報告でした。


ショウジョウバエの内在性小分子RNAは体細胞でArgonaute 2と結合する

Drosophila endogenous small RNAs bind to Argonaute 2 in somatic cells p793

Yoshinori Kawamura, Kuniaki Saito, Taishin Kin, Yukiteru Ono, Kiyoshi Asai, Takafumi Sunohara, Tomoko N. Okada, Mikiko C. Siomi & Haruhiko Siomi

doi:10.1038/nature06938


ショウジョウバエの内在性低分子干渉RNA経路

An endogenous small interfering RNA pathway in Drosophila p798

Benjamin Czech, Colin D. Malone, Rui Zhou, Alexander Stark, Catherine Schlingeheyde, Monica Dus, Norbert Perrimon, Manolis Kellis, James A. Wohlschlegel, Ravi Sachidanandam, Gregory J. Hannon & Julius Brennecke

doi:10.1038/nature07007


ショウジョウバエのヘアピンRNA経路は内在性低分子干渉RNAを生成する

The Drosophila hairpin RNA pathway generates endogenous short interfering RNAs p803

Katsutomo Okamura, Wei-Jen Chung, J. Graham Ruby, Huili Guo, David P. Bartel & Eric C. Lai

doi:10.1038/nature07015

2008年6月15日日曜日

乳癌治療感受性を規定する遺伝子多型

Nature Genetics
Published online: 30 May 2008 | doi:10.1038/ng.155

NAD(P)H:quinone oxidoreductase 1 NQO1*2 genotype (P187S) is a strong prognostic and predictive factor in breast cancer


エピルビシンとアンスラサイクリン薬剤に対する乳癌の感受性を規定する遺伝子多型報告である。
(NQO1*2, rs1800566(T), NM_000903.2:c.558C>T) が見つかった遺伝子多型。キノン・オキシリダクターゼ。

このような解析で大事なのは、最終的なイベント発生数(発生率ではない!)。カプラン・マイヤー
グラフのSSにおける、11/32の11例という数である。この11例を得るために800例から1000例の症例を
集めている。これが妥当か評価するのが大事。もちろん数理統計ではP値はでるのだが、11例である。
う〜む。ここが50例くらいあると間違いないと思えるのだがね。

Number of deaths/total genotype counts: 83/681 (PP), 41/292 (PS) and 11/32 (SS)
NQO1*2).
Unfortunately we are unable to provide accessible alternative text for this. If you require assistance to access this image, or to obtain a text description, please contact npg@nature.com

2008年6月14日土曜日

我が家のIT

我が家には本当にこれまでオーディオビジュアルな環境がなかった。テレビは古くて旧式のブラウン管。録画は未だにテープ。CDはパソコンの小さな画面で見ている。12インチだ。オーディオは家内の希望で昨年ようやくBoseの小さなall in oneのセット(昔のカセットオーディオのようだ)を購入した。家のパソコンはiBookの最も初期のもの。家のインターネットは、モデムの「パコン・パコン・パコン」というやつだ。僕の唯一の贅沢がiPodであった。娘の宝物もiPodである。

今年になって、さすがにボクもこれでは面白くないと思った次第。それでいろいろ仕入れている。一番の核になるのはディスプレイにしたい。プラズマか液晶の37インチくらいの壁掛けを予定している。地デジチューナーは本当は専属ではなく、iMacにしたい(24インチの最新のものを購入したばかりだ)のだが、どうやらこれは無理かもしれない。東芝のコスミオは使えないのだろうか?オーディオはOnkyoかSonyでコンパクトにまとめたい。もちろんスピーカー優先である。今の家は集合住宅なので、大音量はもとより無理なのだ。それならそれで、中音量でも重厚で繊細な音質を求めたい。それと見かけが大事だ。スピーカーがどこにあるかわからないくらい控えめな存在感のものが欲しい。録画は今の段階ではそれほど大容量のものは求めない。ブルーレイもこれからだろうから・・。そもそも映画をDVDで集める時代ではないであろう。見たいときにダウンロードし、すぐに消してしまう、そんな時代だろう。NHKのアーカイブ映像が有料配布される時代になれば素晴らしいのだが、そんな時代もやがてやってくると思う。一眼レフのデジタルカメラも欲しい。レンズはタムロンがいい。広角が欲しいのだ。撮った写真は、Time capsuleのそばに置いておけば、夜の間にiPhotoにair LANでアーカイブされるような時代になるはずだ。仕事場ではタワー型のMacを使って仕事をしているが、Apple remoteとMobileMeでスケジュールやファイル管理が一元化できる時代になった。ボクはここ3年くらいiCalでスケジュール管理をしているが、これがTime caspule でiPod touchと連動するようになる。しかも無線である。楽であるなあ。

15年前はマックが面白くて月に4冊マックの月刊誌をとっていた。MacLife, MacJapan等々である。95年を境に取るのをやめた。それでもマック一本である。こんなに使い勝手のよいパソコンはないと今でも思っている。しかし、技術的にはあまり進化がないので、本を購読する意欲がなくなっていたわけだ。しかし一年くらい前からマックが技術的にも再び夢多いパソコンになってきたと再び思い始め、最近では月刊誌をよく購入する。iPhoneも日本で使える時代になったし、面白い時代になったものだ。

パソコンといえば、今欲しいと思うサービスは、新時代の論文の自動配布サービスである。ボクの嗜好を知っているサーバーが、ボクが喜ぶ論文を自動的に探してきてくれる、そんなサービスである。その判断基準はボクの論文ダウンロード履歴である。こちらに一切の面倒はかけないサービスである。ちょうどアマゾンの本のお勧めサービスと同じようなシステムが発表されることを期待している。

医学のあゆみ:o8/05/31号

久しぶりに医学専門書店を訪れた。最近は専門書店の本の品揃えは20年くらい前と比べると様変わりしている。昔は洋書が半分、いや三分の一くらいはあったのだが、今の本屋では洋書の棚は激減している。それでも定番は変わらない。内科のハリソンやセシル、小児科のネルソン、神経のメリット、血液のウイントローブ、外科のシュワルツ等々。ハリソンやザビストンは僕も最新版を持っており、時々読んでいるがやはりスタンダードな教科書は頼りがいがあると思う。様変わりしたのは和書。朝倉書店や中山書店はどこにいったのだろう?医学書院は今でも老舗であろうが、羊土社や秀潤社のような出版社が目立つなあ。とにかく本が多い。全部つきあってはいられない。面白くて役に立つ(僕にとってである)本を見つけることが、とにかく難しい。

癌の教科書を探してみた。ないんだなぁ、これが。癌は余りに範囲が広く、知識が拡散しているので、総合的な書籍にしにくくなっているのであろう。羊土社の実験医学や秀潤社の細胞工学、それに医学のあゆみなどが、トレンドを追うのには相応しいのであろうが、一般の臨床医が読むには余りに難しすぎる。僕は外科系であり消化器が専門だから、胃ガンや大腸癌などはなんとかフォローできるが、白血病や脳腫瘍、前立腺癌などはお手上げである。分野が異なるとなかなか最先端のことを理解するのが難しいのだ。

医者であれば、その時代の最先端の事柄には触れておきたいではないか。しかし、今の日本の出版事情はその方向には行っていない。日本医師会の冊子や医事新報にしてもそう。難しすぎる。僕が総説を頼まれるときも、わかりやすくとは思うが、どうしても力が入ってしまうし、最先端のことは未確定のことも多いのだが、ここらのさじ加減が実に難しい。これをよその分野のヒトが読んだときどんな印象を持つだろうと、いつも思う。

そんなことを思いながら、ふと手にとった雑誌にピンとくる座談会記事が載っていた。医学のあゆみ08年5月31日号の「臨床ゲノム研究」の巻頭記事である。中村祐輔、鎌谷直之、油谷浩幸の三氏に、司会の笹月健彦先生である。とにかく面白くためになる記事であった。笹月、中村両氏は今の日本では多型研究の権威といっていい。中村さんの研究はVNTRに始まるし、笹月さんはHLAと疾患感受性で名をはせた。鎌谷さんは臨床遺伝学の数理統計の専門家であるし、油谷さんは大規模ゲノム研究では世界の最先端を走っている一人である。去年(2007)突然のように多型研究が大規模にデータを出し始めたわけだが、これは「ありふれた病気」に対する遺伝学的挑戦の最初の成果でもある。このような研究は長くゆっくり成果を待ちたいところであるが、ぜひ一般の臨床家にも読んでいただきたい論考であり、あるいは政策決定者にも伝わって欲しい内容である。

ご一読を!

2008年6月11日水曜日

PLoSのこと

最近論文を読んでいると、PLoSという雑誌が目に付くようになった。これでもこの世界では長く生活しているから、知らない雑誌などほとんどないと自負してはいたつもりだし、見かけない雑誌は「無視していい雑誌」だと割り切っていたのだが、おかしい。おかしいのである。NatureやScienceの参考文献にも時々登場する。こんな雑誌あったけ?実はしばらく無視していたが、本日とうとう無視できなくなったのだ。個人ゲノムシークエンスが昨年話題になったが、この対象者はJD・Watsonと C・Venterのお二人である。4月17日号のNatureではワトソンの個人ゲノムシークエンスが2ヶ月で完了した、その詳細(本当は詳細ではないようだ。隠している情報は多い)が報告されている。僕は実はリアルタイムには気がついていない(なんということ!)。今日Nature Digestを読んでいて気がついた。そしてVenterのゲノムシークエンスも論文になっていることを知ったのだが、それが発表された媒体がPLoSだったわけだ。昨年の11月のことである。
PLoSは完全なWEB媒体であり、紙出版物はない。ダウンロードして読んでみたわけだ。32ページもある大論文である。英語がなんとなくゆったりしている。論文に余裕がある。図表もたっぷり付いている。これは良い媒体だと感じた。これはPublic Library of Scienceというオープンアクセス媒体なのだ。うかつなことに医学・生物学でもこのような媒体が存在していることにいままで気がついていなかったのですね。

創設は2001年頃のようである。創設者の名前をみて驚いた。Patric BrownやMike Eisenの名前が見えるではないか!このStanford軍団はMicroarrayのパイオニア達であり、非常になじみが深い。僕はこのアレイを見にスタンフォードまで行ったことがあるくらいなのだ。あのBeckmanラボに。彼らはおそらく物理学や数学の論文発表の現状を傍目に頑張っちゃたんだろうね。査読なしの論文発表は物理は数学ではもはや当たり前だから。ちょっと前のポアンカレ予想に対する世紀の解決も、かのロシアのペレルマンはウェッブでしか発表していない。これでもフィールズ賞の対象になるし、クレイのミレニアム賞金(100万ドル)の対象になるのだ。

この新しい発表形態に僕は従来の雑誌の参考文献を眺めていて気がついたというわけだ。こういう形態にはもう一雑誌(?)あって、これはBMC genetics。僕はこれがWEB onlyだということに今日初めて気がついた。この雑誌(?)も僕にとってはいつのまにか無視できない雑誌(?)の一つになっていたからな。

ところでVenterはどうして発表の場としてPLoSを選んだのだろう?
僕なりの推測ではやはり「広い場所」が提供されていることではないかと思う。Natureなどの旧来の雑誌がsupplemental dataで四苦八苦しているのに比べて、ずいぶん読みやすいのである、この形態。出稿料が2500ドル(最新情報では2750ドル)というのは高いが、マテメソのジャッジのみで掲載されるのだから、一つの新しい発行形態として認知されたといっていいのだろう。

このあたりになるとIFなんかどうでも良いわけだ。WEB of Scienceなどで、ほとんどリアルタイムに論文ごとの引用回数がわかる時代である。雑誌のIFよりも個々の論文の引用回数が重んじられる時代の到来かもしれません。(とはいえIFは14.1もあるんだね。JCIやJNCIを越えているかも。JEMやLancetに匹敵するかも)

2008年6月10日火曜日

地デジ対応のノートパソコン

実はノートパソコンを最近購入したのだが、ちょっと頑張って東芝のコスミオ(Qosmio)という機種を購入してみた。地デジチューナーが2つ付いている。室内アンテナも付いている。この地デジの機能は全くどうでもよかった、初めは。東芝というのも事務的な理由であり、本当は他のメーカーでもよかったんだが、今回は東芝以外は購入不可。そこでコスミオを購入。

素晴らしい!私は世の流れに完全に乗り遅れていたことに気がついた。単体でここまでできるのかというのが感想である。番組選びも、番組録画予約も実にスムースで簡単。日曜夜のNHKクラシック・アワーを連続で録画することにした。デジタル画面はきれいだね。

この半年くらいで、自分のパソコン環境いやIT環境は激変していっている。最初はMac Book Air。ついでiPod classic。もうすぐTime capsuleが届く。本日発表のiPhoneもおそらく買ってしまうだろう。なんといってもMobileMeというサービスがいい。これを僕は長年求めていた。

家の中のマックを統合できる。職場との連携が本当に可能となりそう。我が家には液晶テレビ
もなければ、まともなオーディオセットもないが、この際全部まとめてインストールしようと思う。

コンセプトは「無駄な買い物はしない」。本来はApple TVですべてをまとめてしまいたいところだが、それは無理なので・・はてどうしよう?僕のいう「無駄」というのは、重複ということである。Time Capsuleには1TBのHDがついているので、ここにすべてを集めて(録画も)しまいたい・・・そんな構想なのだけど、無理かな?

そんなことを考えられる時代がついにやってきたということなのだ。面白い時代だ。

2008年5月27日火曜日

家庭avシアター構築の覚書

パソコンで地デジを観るには、以下3つの条件を満たした利用環境が必要です。

1・パソコン用の地デジチューナーを利用している。
2・HDCP対応のビデオカードがパソコンに搭載されている。
3・ディスプレイがHDCPに対応している。


ビデオカード、ディスプレイがHDCP対応でない場合、地デジ映像を映し出すことが出来ません。

お手持ちのパソコンのCPUなどの性能、ビデオカード・ディスプレイがHDCPに対応しているかを事前に確認の上、お買い求めください。

デジタルチューナー


概要

  • 地上デジタルテレビチューナー:地上デジタルテレビジョン放送を受信する装置。ほとんどの機種がBSデジタル及び110度CSデジタル放送のチューナーも合わせて内蔵している[1]。なお、複数のデジタル放送を受信できる器機では、ケーブルテレビのSTB も含めて、機器仕様上はそれぞれ000~999までのチャンネル設定が可能になっている。この場合、チャンネル番号指定によるダイレクト選局の場合は、異 なる放送種別間でチャンネル番号が同じになる可能性(例えば地上波の101chとBSの101ch)がある。その場合の指定方法は器機側の仕様に因る。 (例:放送種別を最初に必ず指定する方法、あるいは、被った場合は設定されている選択候補リストを表示して選ばせる形式など。)
    特徴的な機種について
    • 日立製作所から発売している「IV-R1000」は、それに加えiVDRを使った録画・再生機能も備えている。
    • 2006年8月にユニデンが地デジのみのチューナーを発売した。
  • CSデジタルテレビチューナー:スカイパーフェクTV!(スカパー!)用のチューナー。110度CSデジタルとは様式が全く異なる。BS放送との混合配線はできない。このチューナーは単体のみの販売だったが、スカパーチューナー内蔵テレビは現在は生産されていない(かつては三洋電機などが生産していた)。スカパーチューナー内蔵のHDDレコーダーの、スカパーオリジナルモデルのスカパー!DVR(ソニー製)が、スカパー公式サイトから、レンタルおよび販売されている。W録画はできない。また、番組表からの録画しかできない。
  • 海外衛星テレビ・ラジオ(日本国内・海外を問わず、すべての衛星 ただし、有料放送チャンネルは視聴不可)が受信できるデジタルチューナー(DVB方式)もあるが、日本国内ではインターネットなどの通信販売でしか購入できない。
  • 地上デジタル放送開始以前は、BSデジタル単体やBSデジタル及び110度CSデジタル放送の2放送のみに対応したチューナーも販売されていた。

DVDレコーダー

DVDレコーダー(ディー ブイ ディー レコーダー)とは、DVD-Videoの再生のほかに、記録型DVDに動画などを記録できる据え置き型デッキである。これに対し、録画機能の無い再生専用機は「DVDプレーヤー」、携帯用のカメラ一体型タイプは、「DVDビデオカメラカムコーダ)」と呼び分ける。Blu-ray DiscHD DVDなどの次世代光ディスクはDVDと異なる規格のメディアで、それらのレコーダーも基本的には別の機器である(後述参照)。各種DVDメディアや次世代光ディスクの詳細については当該記事を参照のこと。

特徴

テレビ放送のチューナーを内蔵し、設定によってはテレビ番組をほぼ画質を劣化させることなく録画できるほか、家庭用ビデオカメラからの映像の取り込み・編集も可能。VHSなどのVTRの次の世代に位置付けられている製品である。

DVD-Videoの再生のほか、音楽CD、機種によってはビデオCDMP3などの再生にも対応する。

[編集] 記録方式

動画圧縮に使われるフォーマットはMPEG2、音声フォーマットは主にドルビーデジタルまたはリニアPCMである。

録画品質のモード名称は機種により様々で、共通規格に従ったものではないが、以下のような呼称がよく使われている。

  • DR(ダイレクトレコーディング)/TS(Transporting Stream)- デジタル放送の映像や音声を劣化なしで直接記録(エンコードを伴わない記録)する。デジタルチューナー搭載機種で、HDDへの記録のみ。
  • XP、FINE、HQ(高画質) - 放送信号の中に含まれる映像や音声の信号を(デジタル放送の場合はデジタルデータを一旦デコードした後に)8.0~9.2MbpsCBRでエンコードして記録する。ディスク1枚に約1時間。DVDの規格上の最高画質であり、映像信号をほぼ劣化無く忠実に記録可能。また、このモードならDVDレコーダー2台を使ってアナログでダビングしても1度や2度なら画質の劣化が少ない。画質的には、DV方式やS-VHS方式の標準モード並なので、ビデオカメラで撮影した映像の編集などに最も適している。
  • SP(標準画質) - 約5MbpsVBRでのエンコード記録。ディスク1枚に約2時間。XPモードには及ばないが、それでも、S-VHS方式の3倍モード並の画質で映像が楽しめる。保存を目的としたテレビ番組の録画では、このSPモードが一番よく使われる。
  • LSP - ディスク1枚に約2時間30分。
  • ESP - ディスク1枚に約3時間。
  • LP(長時間) - 約2~3Mbpsでのエンコード記録。ディスク1枚に約4時間。
  • EP、SLP(超長時間) - 約1~2Mbpsでのエンコード記録。ディスク1枚に6~10時間。ただし、その画質は、VHS方式(S-VHSではない)の3倍モードにも満たない。画面に映る人物などが辛うじて判る程度。一般には、見たらすぐ消すような番組の録画には使われている。
  • FR、MN、AUTO、SmartFit - エンコードの記録時のビットレートを自由指定したり、ディスク1枚に収まりきるように画質を自動調整するモード。
  • ディスクは片面1層の場合。XSP、LSP、ESPは主にソニーやパイオニアなどの製品で採用されている。東芝の製品ではビットレートを1.0~9.2Mbpsまで0.2Mbps単位で自由に設定可能である。

解像度は720×480ドット(Full D1)が基本である。LP・EP等の低ビットレートモードでは、ノイズを抑えるため、720×480ドットに満たない解像度で記録し、再生時に720× 480ドットに引き伸ばしてテレビに表示することが多い。このため、どうしても細部の描写が甘くなる傾向があり、色の再現性も悪くなる。とりわけ、LP・ EP等のモードでは、長時間記録を実現するために、ビットレートが低く抑えられる傾向にあり、不快なブロックノイズが増大し、画質を著しく悪化する事がよくある。

このため、最近のDVDレコーダーでは、高画質と長時間記録が両立できるように、メーカー独自の長時間記録技術を搭載している。例えば、パナソニックのDVDレコーダー「ディーガ」には、「高解像度LPモード」という録画機能が搭載されている。同機能は、LPモードで記録する際に、SPモードと同じ720×480ドットで記録するのだが、記録の際に映像信号を 細かく分析し、個々の被写体に最適なビットレートを割り振るというもの。これによって、ビットレートを低く抑え、なおかつ、ブロックノイズは極限まで抑え られている。1枚のDVD(片面1層)に、4時間以上の高画質映像が記録できるので、年末年始などに放送される長時間の特別番組などを記録する際に重宝す る。

DVDレコーダーでは、再生互換性などの問題により、MPEG2よりも圧縮率が高いフォーマット(MPEG-4など)は採用されていなかった(後述するメモリーカードへの書き出しを除く)。しかし2007年11月にはハイビジョン解像度のMPEG-4 AVCでデジタル放送を記録できる機器が登場する。

DVDメディアへの記録方式は、主に以下の2種類がある。

  • DVD-Videoモード - DVD-Video規格にほぼ準拠する。国内外のメーカーから発売されている幅広いDVD機器で再生可能という特徴がある。ただしデジタル放送の記録には非対応なので、自主制作のビデオ作品の配布などに適したモードといえる。
  • DVD-VRモード - 記録後にカット編集などが可能。DVD-Videoと互換性がないが、最近のDVDプレーヤーはDVD-VRモードにも対応したものが多い。デジタル放送はこのモードでのみ記録可能である。

両モード間で相互ダビングが可能になっている機種も多いが、両モードには規格上での相違点があるので、ダビングを行なうことを前提で録画を行なう場 合は両モードの相違点を熟知しておくことが必要である。以下に主な相違点を列記する(以下は規格上の制限で、機種や設計上の制限ではないので各社各機種と もに共通する)。

  1. 使用できる解像度の違い:DVD-VideoモードはFull D1、1/2D1、1/4D1(CIF)のみだが、DVD-VRではその他に4/3D1、2/3D1も使用可能。
  2. 16:9スクイーズ記録の制限:DVD-VideoモードはFull D1でしか認められていないが、DVD-VRではその他の解像度との組み合わせでも可能。

また録音の音質も各社で扱いが異なっている。多くのメーカーがリニアPCM(48kHz16ビット)を採用しているのは同じだが、ドルビーデジタル音声ではパナソニックが128kbps、パイオニアは256kbps、東芝は384kbpsを採用している(高音質設定時)。

[編集] 二ヶ国語放送の記録

アナログ放送(地上波アナログ・BSアナログ放送)の音声多重放送は2つの音声トラックを使って副音声付放送(二ヶ国語放送解説放送。デュアルモノラル)とステレオ放送を行なっている(副音声付放送は主+副であるが、ステレオ方法は単純に左+右ではない。詳細は音声多重放送を参照の事。)。

デジタル放送ではMPEG2の技術を採用している関係で、音声信号の仕組みもDVD-Videoに近い形になっており、最大8トラック(技術的には ストリームと呼ばれている)まで利用可能であるが、それぞれのトラックに記録されている音声チャンネルの選択切換再生(ステレオ2chの場合なら左右チャ ンネルの切換)には対応していない。(※1)

DVD-Videoモードでも規格上の制限により、2ch音声トラック内の一つのチャンネルを選択して再生する仕組みにはなっていない(※2)。 従って、音声を選択できる形で記録するには、音声トラックを複数使用した形で記録しないと二ヶ国語が再生できるDVDは作れないが、今だDVD- Videoの記録に音声トラックを2つ以上使用できる機能をもった機種は登場していない。従ってDVDレコーダーでDVD-Videoディスクに二ヶ国語 放送を記録する事は不可能である(PCでのオーサリングソフトなどでは対応しているものがある。)。

一方、DVD-VRモードでは、規格で二重音声放送である旨の識別情報が定義されている(音声データ自体は2chステレオ音声と同じように記録され ている)。DVD-Videoモードには規格上この識別情報が定義されていないので、二重音声をそのまま記録した場合は、前述したようなDVD- Video規格の制限により、記録後の再生では音声の選択切り替えが不可能な状態で記録される。民生レコーダーではこの状態を回避するために二重音声をそ のままDVD-Videoに記録や変換ができないようにしている。従ってDVD-Videoで二ヶ国語放送の音声を両方とも収録する場合は、音声トラック が2つ必要になるが、これに対応した民生レコーダーはいまだ製造されていない。また、デジタル放送で行われているデュアルステレオによる二ヶ国語放送の場 合は、それぞれを2つの音声トラックに振り分けることで、デュアルステレオ記録が理論上は実現できるが、これについても今だ可能な機種は製造されていな い。

※1:CS放送デジタル放送なので、音声信号などの規格上はデジタル放送に極めて近い仕組みだが、2006年初頭現在、アナログ放送の方式に合わせて音声ストリームは1系統のみで行なっている放送チャンネルがほとんど。一部のチャンネルや番組プログラムには第二音声信号があるものがある。詳細はCS放送の記事を参照のこと。

※2:DVD-VRではDVD-Videoのような制限がないため、ステレオ2ch音声の左右を選択切替が可能な機種とDVD-Video同様に切 換不可能(ただし、二重音声の場合はこの制限に含まれない)になっているものが存在する。またDVD-Videoの再生でもごく一部の多機能なAV機器や AVソフトでは左右音声を独立にボリューム調整可能なものはあるが、機能コンセプトはあくまで音声切り替えではなく左右別のボリューム調整。

以上のような二ヶ国語放送を記録したDVD-VRの記録方式とDVD-Videoの記録方式の制限(どちらもDVD規格自体の制限ではなく、機器 メーカーの設計思想上の都合や制限)から、DVD-VRからDVD-Videoにダビングを行なう場合、コンバート処理が必要である。これは、DVD- VR/DVD-Video両モードへの録画機能を備えたDVDレコーダーで先行したメーカーが、コンバート処理の煩雑さを避けるために、DVD- Videoの音声トラックの使用を1つに限定し、コンバートの際にユーザーに二ヶ国語のうち一方のみを選んで指定させる仕様を選び、後続メーカーや後続機 種が全てそれに倣ったことによる。

[編集] 対応メディアの違い

記録型DVDは複数の規格が存在し、それぞれを支持するメーカーが分かれて消費者を混乱させた。複数規格に対応する記録装置(いわゆるDVDマルチ ドライブ)が普及して規格争いは沈静化したものの、その名残が各社のDVDレコーダーに残され、消費者はメディアの選択に困る場合がある。

特にDVD-RAMについては注意が必要である。(1)カートリッジ入りメディアを含む完全対応 (2)カートリッジなしメディアのみ対応 (3)再生のみ対応 (4)完全に非対応 の機器があり、同じメーカーでも製品によって対応状況が異なる場合もある。

基本的にはDVD-R・DVD-RWは大多数のレコーダーで録画・再生が可能。ただしDVD-RWはDVD-RAMに比べ書き換え可能回数が少なく、録画・消去を繰り返すと劣化して比較的短期間で使用不可能になるおそれがある。

DVD+R・DVD+RWはソニーのレコーダー(現在はBlu-ray機のみ)のみ録画に対応している。再生は他社のレコーダー・プレーヤーでも対応している場合がある。

DVD-R・DVD-RW・DVD-RAM・DVD+R・DVD+RW(DVD-R DL・DVD+R DL)のいずれにも書き込み可能なDVDレコーダーは、2008年現在どのメーカーからも発売されていない。(かつて、パイオニアに対応機種が存在した) -RAM陣営のメーカーは現在-RWにも対応しているが、-RW陣営のメーカーは-RAM敵視政策を変えておらず、ほとんどが再生のみの対応である。各社 の対応状況は主なメーカーと各社主力製品を参照。

[編集] DVDレコーダーの変遷

[編集] 形態の違いによる分類

技術の革新や投入時期による製品の特徴などを記す。

[編集] DVD単体レコーダー

記録型DVDに直接録画する。初期は全てDVD単体であった。2003年頃からHDD搭載機に取って代わられ、2006年に生産終了した。

[編集] HDD+DVDレコーダー

PCと同様、ファイルのやり取りが容易なDVD-RAMの性質から、東芝松下電器産業が商品開発で先行し、低価格単体機投入とハイブリッド機の強化により、当時の-RAMと-RWの規格シェアが逆転した。

さらに1年遅れて-RW陣営のパイオニアも ハイブリッド機をリリースするが、機能面で-RAM陣営に遠く及ばず、-RAMハイブリッドに性能的に追いつくのにさらに1年費やすことになった。その 後、HDDの製造コストの低下や大容量化、さらにその信頼性も家電製品として耐えうるものになってきたため、HDD搭載型が一般的になり、DVDは録画さ れた映像の長期保存、持ち出し等に使用することが多くなった。

複数の記録装置を搭載した機器をハイブリッドレコーダーと呼ぶが、多くの場合はHDD+DVDレコーダーのことを指す。また単に「DVDレコーダー」と言ってもHDD+DVDレコーダーのことを指す場合がほとんどである。

HDDの搭載は家庭のテレビ視聴・録画スタイルに革命をもたらした。以下のような機能はHDD搭載機種ならではの特長である。

  • 録画しながら別の番組を再生する
  • 録画しながら少し前のシーンに戻って再生する(タイムシフト再生)
  • タイムシフト再生しながら早送りして現在の放送に追いつく(追っかけ再生)
  • 電子番組ガイド(EPG)をキーワード検索し、ユーザーの嗜好に合いそうな番組を自動的に録画する(おまかせ録画)
  • HDDに録画し、編集(CM削除、番組分割、番組結合、チャプター作成、プレイリスト作成 ect...)をしてからDVDディスクへのダビングが可能。

※タイムシフト再生・追っかけ再生はDVD単体レコーダーでも可能な機種がある。一方、最近の機種では操作の簡略化と録画予約への特化からタイムシフト関連機能が廃されている物が多い。

HDDのみを搭載するHDDレコーダーも存在し、特に米国では普及しているが、日本では「見たら消す」という視聴スタイルが受け入れられず余り普及していない(マニアの中にはLAN経由でPCに録画データを転送出来るモデルを愛用する者もいる。ただし各種デジタル放送でのDTCPがかけられた番組データに関してはこれが出来ないのが欠点である)。

HDD+DVDレコーダーが「家電の新三種の神器」と言われるまでに普及したのは、録画の便利さに加えて保存が可能という日本人の需要に合致したためだと考えられる。しかし一方では機能の多さ・メディアの種類の多さなど複雑な取り扱いを敬遠してVHSを使い続ける消費者はかなり多く、2000年代後半の販売伸び悩みにつながったとする見方がある。

HDDからDVDへのコピー(ダビングと呼ぶ場合が多い)は、そのままの品質でコピーする場合もあるが、ディスクの容量に合わせて再エンコードを行う機能を持つものが多い。機種によっては再エンコードダビング中は録画などの操作を受け付けないことがある。

2003年12月ソニーPSXを 発売したが不人気で、在庫を捌く為に他社製品に比べ圧倒的な低価格販売に切り換えた。そこから各社も販売価格を下げて対抗したが、ソニーを含め各社とも低 価格化に対するコスト削減が追いつかず、メーカー側は売っても全く儲けにならないという事態が発生している。特にDVDレコーダー事業が中核となっている パイオニアは経営上深刻な危機に陥り、ついに、2006年6月にはメディア各 社が、「パイオニアは自社でのDVD機器開発中止に追い込まれるに至った」と報じた。しかし、パイオニアはこの時点ではこの報道を否定し、その後DVDレ コーダーの新商品を発売したものの、後継機種が発売されないまま既存モデルが相次いで生産終了しているのが現状である。現状では体力の弱いメーカーがレ コーダー事業からの撤退に追い込まれており(三洋電機等)、過当競争の懸念もある。

HDDの容量はどんどん大きくなる傾向にあったが、2006年頃に飽和状態に達した。2007年現在の日本市場では、200~600GBモデルが一般的であり、1TBモデルも登場している。

また2006年後半頃から、操作の簡略化などを目的に、DVDメディアへの直接録画が不可能なモデルも出始めた。以下に該当機種を記載する。なお、 ソニーの該当機種はすべてBDドライブ搭載モデルであり、BDへは直接録画可能となっている。 (パナソニック:DMR-XP10/XP11/XW30/XW31/XW50/XW51/XP20V/XP21V/XW40V/XW41V、シャープ: DV-AC72/AC75/ACW72/ACW72/ACW75/ACW80・BD-HDW15/20、ソニー:BDZ- T50/T70/L70/X90)

[編集] Wチューナー搭載機

HDD搭載によって多数の番組を録画するのが手軽になり、時間帯が重なる裏番組も同時に録画したいという需要が増えた。2004年頃から各メーカーがアナログダブルチューナー搭載機を発売し、価格帯も手の届きやすいものになった。

デジタルチューナー搭載機(後述)は一部を除き全てアナログチューナーも搭載しているため、デジタル/アナログのW録画が可能なモデルも多い。更にシャープ日立製作所は早くからダブルデジタルチューナー搭載機を発売し、後者はBSデジタル放送や110度CS放送の同時録画も可能であることから、やや高価ながらも、この機能を重視する消費者からの支持を増やし、他メーカーも追随した。現在はシャープもBS/110度CSデジタルチューナーを各2基搭載している。

[編集] VHS一体型・DV一体型

ビデオデッキ一 体型のDVDレコーダーや、ビデオデッキ・DVDドライブ・HDDの3つを1つのボディに搭載した3in1レコーダーも各社が生産している。HDD・ DVD・VHSそれぞれの間で双方向、計6方向の6WAYダビングがワンタッチで行え、1台でVHSテープからHDDに録画して、必要な部分だけをDVD に記録することも可能。また、ダビングしながらの録画や2チャンネル同時記録(Wエンコーダ/チューナー搭載の場合)など、多彩な利便性を実現した。そし て2005年からは、デジタルチューナー搭載(後述)の3in1機も登場している。

劣化したVHSテープで起こりがちな画面の揺れ・ぶれを軽減するタイムベースコレクタ(TBC)やデジタルノイズリダクション(DNR)、輪郭補正 回路など各種の画質向上機能が一般的に搭載され、また、映像出力をDVDとの共用にする事で、従来からVHSデッキに搭載されているS端子コンポジット端子に加え、D端子HDMI端子からの出力も可能にし、古いVHSテープでも市販DVDソフトに迫る鮮明な画像で楽しめることを謳っている。

しかし、録画可能な方式は、あくまでノーマルVHSのみ。S-VHS日本ビクター製の業務用製品で録画・再生に対応している(ただしHDDなし)が、民生用のVHS一体型は、すべてノーマルVHSであり、S-VHSの簡易再生(SQPB)ができる程度である。また、D-VHSデッキとの一体型はこれまでどのメーカーからも発売されていない。

2007年1月23日には、日本ビクターからDVデッキ一体型の新モデル「SR-DVM700」が発表された。DVDレコーダーでDVデッキとの一体型を実現しているのは、2007年現在、日本ビクターのみである。DV方式のカムコーダで撮影したテープをパソコンよりももっと手軽にノンリニア編集し、簡単にDVD-Videoを作成できるという。DVデッキについては、DVCAMの再生にも対応している。このモデルは、業務用で、主に企業学校医療機関結婚式場映像制作趣味とするハイエンドユーザーなどを対象としている。製品のコンセプトはあくまで映像制作なので、地デジなどのテレビチューナーはオプションである。

なお、ビデオデッキと次世代DVDとの一体型はどのメーカーからも発売されていない。

[編集] 搭載チューナーによる分類

[編集] アナログチューナー搭載レコーダー

従来からのアナログチューナーのみを搭載するモデル。2011年以降はデジタルチューナーの 接続が必要となる。機種によっては現在のハイビジョンレコーダーでは搭載されていないBSアナログチューナーも搭載。ハイビジョンレコーダーが本格的に展 開された2005年末ごろから市場は徐々に縮小。デジタル放送への移行まで5年を切った2006年末ごろから各社が生産を順次終了させている。

[編集] デジタルチューナー搭載レコーダー(ハイビジョンレコーダー)

2003年12月に地上デジタルテレビジョン放送が始まり、放送地域が拡大していくと共に、地上/BS/CSデジタルチューナーを搭載したDVDレコーダーが普及を続けている。これをハイビジョンレコーダーと呼ぶ。ただし、ハイビジョンを録画できる録画機器はDVDレコーダーには限らず、HDDのみへの録画機器(HDDレコーダー)もハイビジョン対応機はハイビジョンレコーダーに含まれる。DVD録画機能を持つ「ハイビジョンレコーダー」は元々、DVDにハイビジョンを記録できるレコーダーという意味で使われ始めたわけではない。ただし、2007年以降、AVCREC方式やHD Rec方式を採用する事でDVDにハイビジョンを記録できる「ハイビジョンレコーダー」(松下電器産業の「ハイビジョンディーガ」など)も発売された(後述)。またそれを機に、従来は不可能だったカムコーダで撮影されたAVCHD記録のDVDも再生可能になった。

HDDのみのレコーダーも含めたハイビジョンレコーダーは、デジタル放送が最初からMPEG2-TSのファイルとして放送波に載せられて送られてくる事から、アナログ放送レコーダーが録画機側でMPEG2(MPEG2-PS)に変換して記録するのと異なり、MPEG2-TSをそのまま記録する方式を採っている。従ってDR/TSモードを利用することによってHDDには全てのデジタル放送を放送局から送出されたままの状態で劣化なく記録できる。

しかし、ハイビジョンをDVDメディアに記録する際は、DVDビデオ(DVD-Video)規格はMPEG2-PS以外の記録には対応していない(MPEG2-TSMPEG2-PSによる圧縮では容量が不足する)ため、アナログ放送程度の解像度へのダウンコンバートを余儀なくされる。ただし、メーカーの製品カタログでは、そうしたDVDであっても、HDMIで 接続し、アップコンバートすることで、ハイビジョンで放送された元の映像により近い画質での再生が可能とされている。2007年11月以降には、パナソ ニックや東芝からDVDメディアにハイビジョン記録できる製品が登場した。(後述、「MPEG-4 AVCエンコーダの搭載」参考)

デジタル放送とアナログ放送では音声の仕組みが若干異なることによる煩雑なコンバート処理を避けるために、2006年初頭現在は、放送波や MPEG2-TSの録画データからは一つの音声ストリームしか取り出せず、ステレオ二ヶ国語放送などを二ヶ国語としてコンバート出来ない製品がほとんどで ある。早い話が、デジタル放送で行なわれている二ヶ国語放送のうち、第一音声信号以外を用いて行なわれている二ヶ国語放送の場合は、二ヶ国語の同時録画が 出来ない。以上のことにより、デジタル地上波放送の開始以後のサイマル放送が 行なわれている放送局での二ヶ国語番組が、アナログ放送では副音声付放送、デジタル放送ではデュアルステレオで行なわれている場合は、DVD録画では、ア ナログ放送受信の場合は二ヶ国語録画が可能で、デジタル放送受信の場合は二ヶ国語の録画が出来ないという現象が発生している。アナログ放送とデジタル放送 の双方が副音声付放送(デジタル放送では二重音声放送と呼ばれる)で行なわれている場合は、両方とも二ヶ国語録画が可能になる。

なお、内蔵チューナー受信のデジタル放送のデュアルステレオ番組をDVDに録画できないのは機器側の仕様によるものだが、外部入力に別チューナーを 接続して録画する場合は、映像1出入力について音声が2つの出入力を持つといったような特殊な接続端子規格を持つ機器同士を作らない限り解決策は無いの で、事実上は不可能である。

2007年の段階では、ハイビジョンのままで記録可能な次世代大容量光ディスク(Blu-ray DiscHD DVD)レコーダーはまだ普及していないが、現在急激に売り上げを上げており、今後は各社次世代機が販売のメインになると思われる。

ハイビジョンDVDレコーダーは次世代大容量光ディスク普及までの過渡的な製品ではあるが、DVDレコーダー自体の普及が成熟・収束しきっていない 現状もあり、高付加価値・高価格で2006~2007年の各社の主力製品になっていた。なお、現時点で録画データをHD画質でをムーブ出来るのは、i-Link接続したD-VHS機とBlu-ray Disc/HD DVDレコーダー、一部のDVDレコーダー、HDDレコーダーだけである。

ハイビジョンレコーダーには、既存のDVD-Videoの再生映像をハイビジョン映像信号にアップコンバート(ただし、走査線を補完するなどして若干の補正を加えた信号フォーマットの変換なので、SD映像がHD映像に変わるわけではない。)する機能を持つものも多い。D端子またはHDMI端子を搭載したハイビジョン対応テレビまたはモニター(ハイビジョンブラウン管テレビ薄型テレビ等)と組み合わせれば、より高画質で鑑賞でき、また、その機能をパソコンなどで行なう映像編集で活用すれば、SDで撮影された過去の貴重な映像資産をHD素材として用いる事も可能。ただしコピーガードが施されている市販DVDは、著作権保護のため、ハイビジョン画質での出力については、HDCPで暗号化された出力しか許可されていない(これに対して一時期は消費者のみならずメーカーからも批判的な声が大きく、三菱電機はHDMI搭載機種を発売しない方針を取っていた)。

ハイビジョン放送を快適に扱うには大容量のHDDが必要で、HDD容量アップの需要を加速させたが、2005年に1TB(1000GB)に到達して からは一段落した感がある。これには後述するMPEG4-AVCエンコーダの搭載で実質的な録画可能時間が長くなったことも関係がある。

2004年4月より始まったコピー制御(B-CASカードの使用)により、デジタル放送は自由にコピーすることができず、HDDからDVDに移すとHDDにある元の映像は消去されてしまう。機器のエラーなどにより移動に失敗すると元の映像まで失われてしまうといった苦情がメーカーに多く寄せられ、総務省がコピー制御の是非を2004年9月以降審議している。DVDレコーダーとコピー制御の関係について、詳しくは後述。

アナログテレビ放送終了まで5年を切った2006年末期から、デジタルチューナー非内蔵機の生産を打ち切るメーカーが相次ぎ、2007年末までに東 芝を最後に、大手メーカーの製品は全機種生産終了した。一方、業界で初めてアナログチューナー非搭載のハイビジョンDVDレコーダーは、2007年10月 末に発売されたシャープのBD単体レコーダー「BD-AV1/AV10」である。

[編集] その他の製品

[編集] テレビパソコン

パーソナルコンピュータにおいてもテレビチューナーを搭載し、HDDに録画できる製品がある。パソコンの性能向上により1999年頃から実用的なテレビパソコンが登場し始め、家電におけるHDDレコーダーよりも普及が早かった。

記録型DVDドライブの普及とビデオキャプチャカードの価格下落により、パソコンへのテレビ録画機能の搭載は当たり前のようになり、各メーカーは大型液晶ディスプレイの搭載や独自の高画質表示機構で差別化を図るようになっている。DVDレコーダーよりも動画編集の自由度が高い点も好まれている。ただし、パソコンであるが為にOSがダウンしたり、エラーが発生して録画に失敗するリスクが大きいのが欠点である。

デジタルチューナーを搭載したパソコンではデジタル放送を録画・視聴することが可能だが、暗号化が施されて録画したパソコン以外で利用できないように厳しく制限されている。当初は内蔵HDDへの保存のみだったが、2005年頃からDVDレコーダー同様に記録型DVDにムーブできる製品も登場し始めた。しかし2006年以降Blu-ray Disc/HD DVDドライブ搭載PCが発売されても、デジタル放送の保存にはレコーダーに比べて制限が厳しい場合が多い。詳しくは限定受信システムの項を参照。

[編集] その他の機能

[編集] MPEG-4 AVCエンコーダの搭載(ハイビジョンでDVDに記録する機能)

2007年11月発売の松下電器産業のレコーダー6機種では、デジタル放送をハイビジョンのままMPEG-4 AVC圧縮しDVDメディアに最長100分(片面1層の場合)記録できる機能を搭載する[1]。本当の意味でハイビジョン記録可能なDVDレコーダーが実現した。一方、同時期にBDレコーダーを発売したソニーはレコーダー製品を全てBDにシフトすることを表明し、DVDへのハイビジョン記録という過渡的な機能を搭載していない。詳細はDIGABDZを参照。

東芝のHD DVDレコーダーのRD-A301(2007年12月発売)にも、同じくDVDにハイビジョン記録する機能がある。MPEG-4 AVCで圧縮した映像のほか、DRモード(MPEG-2 TS)をそのままDVDに書き込むこともできる。

ただし、これらのレコーダーで作成するハイビジョンDVDディスクには互換性がない。松下はBlu-ray Disc Associationが策定した「AVCREC」規格を採用し、東芝はDVDフォーラムが策定した「HD Rec」規格を採用する。どちらも既存のDVDプレーヤー・レコーダー等では再生できない。そのため、今後BD/HD DVDが低価格化し、過半数が普及した後のサポートが懸念されている。

[編集] 2層DVDメディアへの対応

2005年にソニーがDVD+R DL対応レコーダーを、パイオニアがDVD-R DL対応レコーダーを発売した。東芝・松下など他のメーカーも上位機種でDVD-R DLに対応する。

DVD-R DLに関しては、最初期はビデオモードのみの対応であったが、2006年から各社からVRモード対応機種がリリースされた(CPRM対応DVD-R DLメディアは2005年から発売されていた)。

1層メディアの2倍近い記録容量があるが、メディアの価格が高いことが普及の足かせとなっている。ドライブ自体のコストは1層専用と大差がないため レコーダー側の採用は拡大したものの、2007年9月現在では次世代DVDよりもGB当たりの単価が高いほどであり、このまま1層DVDと次世代DVDの 間で埋もれた規格となる可能性もある。

[編集] メモリーカード等への対応

松下の「DIGA」シリーズの多くや、日立の一部モデルはSDメモリーカードスロットを備え、カードに記録された静止画を見ることや、カードとHDDの間で静止画のダビングを行うことができる。また、その中の一部機種に限られるが、HDDに記録されたテレビ番組などの動画を、MPEG-4形式でカードにダビングすることが可能な機種がある(最初からHDDにMPEG-4で録画することも、ダビング時にMPEG-4に変換することも可能。ただし、カードに直接録画はできない)。該当機種では、レコーダーで録画した番組を、SDメモリーカード対応の携帯電話や同社カーナビゲーションシステム「Strada」で視聴するといったこともできる。

またソニーは、プレイステーション・ポータブルと連携して録画した映像を持ち出す機能を備えた製品を発売した(現在はDVDレコーダーとしては生産完了。BDレコーダーで同等の機能を持った機種が発売されている。)。

[編集] 松下電器産業のSDメモリーカードスロット搭載モデル一覧
  • DMR-E100H/E200H/E500H(全機種生産終了)

以下はSD動画非対応機種(XW**/***シリーズは音楽転送機能搭載)

  • DMR-E60/E90H/E220H/E330H/EH50/EH53/EH60/EH66/EH70V/EH73V/EH75V
  • DMR-EX100/EX150/EX300/EX350/EX550/EX200V/EX250V
  • DMR-XP10/XP11/XP20V/XP21V/XW30/XW31/XW50/XW51/XW40V/XW41V
  • DMR-XP12/XP22V/XW100/XW120/XW300/XW320/XW200V(AVCHD対応)

[編集] ソニーのメモリースティックスロット搭載モデル一覧
  • RDZ-D70/D90
  • DESR-5000/5100/5500/5700/7000/7100/7500/7700(PSX)

以下はPSP連携が可能な機種一覧(全てスロット非搭載)

  • RDR-AX75/RDZ-D77A/RDZ-D97A/RDZ-D900A/BDZ-V9/BDZ-A70/BDZ-X90

[編集] 家電リンク機能の搭載

2006年に松下電器産業がビエラリンク、やや遅れてシャープがAQUOSファミリンク対応製品を発売した。どちらもHDMIケーブルを通して自社の薄型テレビ・DVD レコーダー・AVアンプ等を連携させる機能で、1つのリモコンで操作したり、レコーダーの電源オンと共にテレビの入力を切り替えるといったことが可能にな り操作性が大幅に向上した。これにより松下とシャープはDVDレコーダーのシェアを大幅に伸ばした。メーカー側には薄型テレビの価格下落を補うメリットも ある。

そして、これに呼応するかのように、他社も同等のリンク機能(三菱電機(リアリンク)、東芝(レグザリンク)、ソニー(ブラビアリンク)、パイオニア(KURO LINK(旧名・HDMIコントロール))をそれぞれ発表した。いずれもHDMI CEC規格を拡張したもので、一部で互換性が保たれている。

[編集] 製品の沿革(DVD)

  • 1996年 - DVDプレーヤー(再生専用機)が製品化。
  • 1998年 - 初の記録型DVDであるDVD-RAMのPC向けドライブが製品化。
  • 1999年9月 - NECが世界初の民生用光ディスクビデオレコーダー「GigaStation」を発売。独自規格のMVDISC(片面5.2GB、カートリッジ付きの光ディスク)を採用、DVDとの互換性はない。ほとんど普及せず、NECはDVD方式への転換を余儀なくされた。
  • 1999年12月 - パイオニアが世界初のDVDレコーダー「DVR-1000」を発売。DVD-RW方式対応。価格は25万円。
  • 2000年頃 - 米国でTiVoやReplayTVといったHDDレコーダーが登場し始める。日本ではソニーが2001年に「Clip-On」を発売し、のちに「チャンネルサーバー」「Cocoon」という製品にバージョンダウンしたのが特に有名。
  • 2000年頃 - DVD-RAM陣営の松下電器産業が単体機「DMR-E10」をリリース。DVD-RW陣営のパイオニアがDVR-1000の後継機でDVD-Rに保存できる「DVR-2000」をリリース。当時のDVD-RWとDVD-RAMの規格シェアは9:1だった。
  • 2000年12月 - BSデジタル放送が開始。
  • 2000年12月 - 日本ビクターがDVD-RAM方式の単体機「HR-VDR1」を発売。
  • 2001年4月 - 東芝が世界初のHDD内蔵ハイブリッド機「RD-2000」を発表(2000年11月発表)。DVD-RAM方式対応で、30GBのハードディスクを搭載。
  • 2001年7月 - DVD-RW陣営のパイオニアも後継機「DVR-7000」を急遽リリース(6月発表)。実はDVR-2000がCPRM機能を解除するという事が判明したための繰上げリリースであった。以降DVR-2000の存在は闇に葬られることとなる。
  • 2001年7月 - DVD-RAM陣営の松下電器産業もDVD-R対応の単体機「DMR-E20」を発表(5月発表)。単体機でタイムシフトが可能になった。
  • 2001年9月 - ソニーがDVD-RW方式の単体機「RDR-A1」を発売。
  • 2001年12月 - 東芝に次いで松下電器産業も「DMR-HS1」(9月発表)にてHDD/DVDレコーダーに進出、バグとリコールに悩まされた東芝RD-2000ユーザー の多くがDMR-HS1に流出した。この頃から、DVD-RAM陣営とDVD-RW陣営の誹謗中傷合戦が量販店店頭にて長きにわたり繰り広げられることと なった。
  • 2002年3月 - 110度CSデジタル放送が開始。
  • 2002年3 月 - DVD-RAM陣営の松下電器産業が低価格機「DMR-E30」をリリース。松下電器産業のVHSに代わる大衆録画機という戦略が見事にあたりDVDレ コーダーの存在を一般消費者に知らしめた。急遽パイオニアはシャープよりOEM供給受ける形で低価格機「DVR-3000」を投入するも、ワールドカップ に間に合わず、E30よりも高くて低機能だったためパイオニアのシェアを一気に落とす結果になった。DVDレコーダー規格シェアが一気に逆転し-RW:- RAMが3:7になった。
  • 2002年春 - これまではパイオニアからOEM供給受けて販売していたシャープも以降は独自開発となる。
  • 2002年11月 - シャープが初のBS/CSデジタルチューナー搭載HDD+DVDレコーダー「DV-HRD1」を発売。
  • 2003年3月 - 松下電器産業が初のVHS一体型DVDレコーダー「DMR-E70V」を発売。
  • 2003年8月 - 日本ビクターがDVD-RAMとDVD-RWが両方の録画・再生に対応した単体機 「DR-M1」を発売。RAMとRWが両方使える便利さに加え、順次走査方式による高密度の映像信号により高画質であった。
  • 2003年10月 - ソニーがHDD搭載モデルを含むDVDレコーダー「スゴ録」シリーズ(RDR-GX5/VD6/HX6/HX10)を発売。この頃から御三家以外にも日立、ビクター等多くのメーカーが参入するが、同時期に参入したメーカーで結局生き残ったのはソニーのみであった。
  • 2003年12月 - 地上デジタル放送が開始。
  • 2003年12月 - ソニーがプレイステーション2と機能を統合したHDD搭載DVDレコーダーPSXを発売。ただし、同社のスゴ録のほうに人気が集中し、PSXは不人気に終わった。以降DVD+HDDレコーダーの低価格化・普及を加速させた。
  • 2003年12月 - 日本ビクターがVHS一体型DVDレコーダー 「DR-MV1」「DR-MF1」(DR-MF1はDVD部にBSアナログチューナーつき)を発売。こちらもRAMとRWが両方の録画と再生に使えて、 VHF/UHFダブルチューナーを搭載しており、VHSとDVDに個別に録画予約ができて便利で、かつ高画質であった。だが、「突然操作を受け付けない」 「長時間"LOADING"表示のまま動作しない」「VHSテープやDVDディスクが取り出せない」などの故障が続出した。
  • 2004年2月 - シャープが業界初の地上/BS/CSデジタルチューナー搭載HDD+DVDレコーダー「DV-HRD2」「DV-HRD20」を発売。
  • 2004年4月 - 松下電器産業が初のVHS+HDD+DVD(3in1)レコーダー「DMR-E150V」を発売。
  • 2004年5月 - ソニーが当時業界最大容量の400GBのHDDを搭載した「RDR-HX100」を発売。
  • 2004年6月 - 日本ビクターが新たに「快録ルパン」の商標で HDD+DVDレコーダー 「DR-MH30」を発売。翌7月にはVHS+HDD+DVD(3in1)レコーダー「DR-MX1」を発売したが、これらも「長時間"LOADING" 表示のまま動作しない」などの故障が相次ぎ、日本ビクターは修理などの対応に追われた。
  • 2004年8月 - 東芝が初のダブルアナログチューナー搭載「RD-XS53」「RD-XS43」を発売。
  • 2004年10月 - 日立製作所が初のデジタルチューナー搭載機種「DV-DH250T」「DV-DH400T」を発売。DVD-RAM陣営初のデジタルチューナー搭載モデルである。
  • 2005年2月 - シャープ・日立に追随し東芝が初の地上/BS/CSデジタルチューナー搭載モデル「RD-Z1」を発売。
  • 2005年5月 - ソニーがシャープ・日立・東芝に続き同社初の地上/BS/CSデジタルチューナー搭載モデル「RDZ-D5」を発売。
  • 2005年7月 - 松下電器産業も3波デジタルチューナー搭載モデル「DMR-EX100/300」を発売。以降各社の主力商品となる。
  • 2005年9月 - 日立製作所が初のダブルデジタルチューナー搭載機種「DV-DH160W/250W/500W/1000W」を発売。DV-DH1000Wは業界初の1TBレコーダーだった。
  • 2005年10月 - ソニーが初のPSPへの転送機能を備えた「RDR-AX75」を発売。
  • 2005年11月 - 松下電器産業が世界初となるHDD・DVD・VHS・SDの録再に加えデジタルチューナーも搭載した「DMR-EX200V」を発売。
  • 2005年12月 - シャープも日立に追随しデジタルWチューナーモデル「DV-ARW12」「DV-ARW15」を発売。
  • 2006年2月 - 日本ビクターがデジタルチューナー搭載DVD-RW方式の「DR-HD250」「DR-HD400」を発売。ただしシャープのOEMで、DVDレコーダー事業から事実上撤退。以後、新製品は発表しなくなった。
  • 2006年3月 - 松下電器産業が当時世界初となる1080pフルHD変換出力機能を搭載したモデル「DMR-EX550」を発表。同時に業界初のHDMIリンク機能となる「ビエラリンク」も発表された。
  • 2006年5月 - ソニーが初のPSPへの転送機能を備えたハイビジョンレコーダー「RDZ-D77A」「RDZ-D97A」を発売。
  • 2006年6月 - ソニーが同社唯一のデジタルチューナー搭載3in1モデルとなる「RDZ-D60V」を発売。同社最後の3in1モデルでもあり、2007年夏まで生産された。
  • 2006年9月 - シャープが「AQUOSファミリンク」 および、シングルチューナーモデルでもAQUOSのチューナーを活用して2番組同時録画が可能な「ハイブリッドダブレコ」対応(DV- AC32/34/ACV32のみ、ACW38はWチューナー)機種「DV-AC32」「DV-AC34」「DV-ACW38」「DV-ACV32」を発 表。
  • 2006年11月 - 東芝「RD-XS38/48」の生産終了によりアナログWチューナー搭載モデルが消滅。
  • 2006年11月 - ソニーが同社最後のDVDレコーダー新製品となる「RDZ-D700」「RDZ-D800」「RDZ-D900A」「RDR-HX67」を発売。なお、「RDR-HX67」はアナログのみの最終モデルでごく短い期間(約4ヵ月)の販売だった。
  • 2007年春 - 売れ行き不振により多くのメーカーが収益を圧迫されていると伝えられる。
  • 2007年3月 - 日本ビクターが民生用DVDレコーダーの市場から撤退。
  • 2007年夏 - 夏のボーナス商戦ではコピーワンス緩和の議論中であったことや売れ行き不振から、東芝の「RD-A300/A600」以外の新機種が全く発売されなかった(なお、この時期はDVDレコーダー以外もAV機器の新商品発売が例年よりも少なかった)。
  • 2007年8月 - 日立製作所が新機種は全てOEM化でDVDレコーダー市場からの事実上の撤退。
  • 2007年9月 - ソニーが今後発売するレコーダー製品全てをBDにシフトすることを発表。(ただし、「RDZ-D700」はその後半年程度販売が継続された。)
  • 2007年12月 - 松下電器産業、シャープが旧機種での「ダビング10」対応を発表。
  • 2008年1月 - ソニーが旧機種でのダビング10対応を発表。パイオニアが全機種生産中止し、事実上撤退。
  • 2008年2月 - ソニーが業界で最も早くレコーダー製品のすべての機種をBD対応モデルに変更(事実上のDVDレコーダーからの完全撤退)。同時に、「スゴ録」ブランドの終了。
  • 2008年3月 - 三菱電機が同社初のブルーレイディスクレコーダー「REAL ブルーレイDVR-BZ200/DVR-BZ100」と「REAL DVDレコーダーDVR-DW200/DVR-DW100」を5月24日に発売すると発表。同時にこの4機種と2007年9月発売の「楽レコDVR- DV745/DVR-DV735」のダビング10対応を発表。
  • 2008年4月 - パイオニアが新型DVDレコーダー「DVR-WD70」を発表。2006年秋のDVR-DT95/75以来約1年半ぶりの同社DVDレコーダーの新モデルとなったが、シャープのOEMとなり、事実上撤退したことに変わりはない。

[編集] 主なメーカーと各社主力製品

[編集] 松下電器産業

DIGAシリーズ(Blu-rayレコーダーを含む)。DVD-RAM陣営。詳細はDIGAを参照。2005年モデルからはDVD-RWにも対応。

2007年まではDVDレコーダーでは3割強のシェアを持ちトップであった。2007年度は僅差でシャープに追い抜かれ2位となっている。ただし、 BDレコーダーではソニーが約6割のシェアを獲得し1位となっている。これは2007年年末に、商品の供給が追いつかなかったためである。

※CATV用のHDDレコーダーを唯一発売し、全国のCATV局に採用されている。機器は、月額利用料に含めてレンタルされる。2番組同時録画可能で、地上デジタル、BSデジタル、CATVデジタル(CSデジタルとほぼ同じチャンネル)の視聴が可能。

[編集] 東芝

VARDIAシリーズ(HD DVDレコーダーを含む)。DVD-RAM陣営。詳細はVARDIARD-Styleを参照。近年はDVD-RWにも対応。

2006年11月までは、RD-Style、カンタロウを含む3シリーズ体制となっていたが、2006年11月にデジタルチューナー非内蔵機は HDDなしのVHS+DVDモデル以外はすべて生産中止となり、VARDIAに一本化された。2007年末でアナログチューナーのみのモデルはHDDなし モデルも含めて完全に生産を終了した。

世界で最初にHDD(ハードディスク)内蔵DVDレコーダーを発売。高音質へのこだわりが見られ、アナログ録画時の録音レベル調整をリミッターや自動追随に頼らず、地上波、BSのAモード音声、Bモード音声、各外部入力を全て左右独立可変とし、またドルビーデジタルのビットレートもレーザーディスクの5.1chサラウンドと同じ384kbpsという高レートを採用している(VTR一体型は除く)。

[編集] シャープ

AQUOSシリーズ(自社の液晶テレビと同じ、Blu-rayレコーダー/プレーヤーも含む)。DVD-RW陣営。詳細はAQUOSを参照。

AQUOSシリーズは全機種デジタルチューナーを搭載している。アナログのみのモデルがメインの頃はD-comboシリーズで発売していた。DVD-RW陣営のため、-RAMの全面対応には否定的な姿勢を崩していない。ただし、DVD-RAMの再生が可能なモデルもある。現在はアナログチューナーのみのモデルはすべて生産終了している。なお、参入初期はパイオニアからのOEMであり、自社開発は2002年からである。

業界で最も早く(2004年2月)地上波/BS/CSデジタルチューナー搭載モデルを発売したメーカーである。また、自社のテレビとのリンク機能の 搭載により、2006年以降はシェアを4位(2005年度)→2位(2006年度)→1位(2007年度)に上げ、僅差ではあるがパナソニックのシェアを 崩すことに成功した。

[編集] 三菱電機

楽レコシリーズ、REALシリーズ(自社の液晶テレビと同じ、Blu-rayレコーダーも含む)。DVD-RW陣営。詳細は楽レコREALを参照。

VHS一体型モデルは船井電機のOEM製品で、2006年夏モデルからはHDD+DVDモデルも船井電機との協業になった。また2001年以前のDVDレコーダー黎明期にはパイオニアのOEM製品を販売していたこともある。

操作は簡単で使いやすく、電源OFF状態からでもすぐに録画を開始できるのが特徴(松下機と違って待機電力も特に高くない。)。編集機能は基本的な もののみとなっている。初期モデルは画質面が今ひとつで、とくに大型液晶テレビとの相性が良くなかったが、その後、上位機種を中心に画質が向上し、この面 でも高評価を得ている。2番組同時録画可能なモデルでは、ステレオ放送でもCMカットができることと、音声解析によりスポーツ番組のハイライト部分を自動 的に抽出して再生できることが特徴。ただし+R・+RWには録画できず、再生も保証されない。EPGはGガイド。デジタルチューナー搭載機は他社より大き く遅れをとり、2006年11月にようやく発売される。前述の通り、DVDレコーダーへのHDMI端子の搭載には消極的であったが、デジタルチューナー搭 載機には標準装備となる。一時はそこそこの(10パーセント程度)シェアを得たが、2005年モデル以降は長所を強力な訴求力をもってユーザーにアピール することに失敗し、業界全体においては目立たない存在と化した。ただ普及機でもBSアナログチューナーを内蔵したり金メッキ端子等が装備されていたりする のでコストパフォーマンスが高い。

2008年3月18日に同社の液晶テレビのブランド「REAL」の名を配した新型DVDレコーダー「REAL DVDレコーダーDVR-DW200/DVR-DW100」と同社初のブルーレイディスクレコーダー「REAL ブルーレイDVR-BZ200/DVR-BZ100」を発表(同年5月24日に発売予定)。生産拠点である京都をアピールし、シェア上昇を目指す。

[編集] その他

船井電機(DX BROADTECブランド)、LG電子などもDVDレコーダーを生産している。

[編集] 撤退したメーカー、又は撤退予定・見込みのメーカー

ここでは、DVDレコーダー事業そのものから撤退したメーカー及び、自社開発を中止し他社からのOEMに成り下がった(事実上の撤退)メーカーを記す。

[編集] ソニー

スゴ録シリーズ。DVD-RW・+RW陣営。詳細はスゴ録を参照。プレイステーション2と機能を統合したPSXも発売していた。

DVD+RWアライアンスの 主要メンバーである。DVDレコーダーの低価格化・普及を進めたメーカーでもある。また、2008年現在+R/+RWへの記録が可能なのはソニーのみで あった。DVD-RAMの再生に対応したのは2006年夏モデル以降だが、2007年11月に発売されたBDレコーダーでは再び再生すら不可になった。ア ナログチューナーのみのモデルは2007年3月で生産を終了した。

DVDレコーダーの低価格化に火をつけ、2004~2005年にかけてはシェアトップだった。2007年当時はBD機をメインにするため生産機種を減らしていたことも関係して4位だった。

2007年9月12日、Blu-ray Discレコーダーの主力商品化に伴い国内向けDVDレコーダーの新製品は今後発売しないと発表した。その直後の2007年10月にHDDが400GBの機種は全て生産完了となっており、以降はHDDが250GBの「RDZ-D700」1機種のみを生産していたが、そのD700も2008年1月末で生産を終了した。Blu-rayレコーダーはスゴ録ブランドではないため、ブランドが終了、そして大手メーカーの中では最も早いDVDレコーダー市場からのBDレコーダ(DVDレコーディングも可能)への完全移行となった。他社も追随する可能性が高い。BDレコーダーの詳細はBDZを参照。

[編集] NEC

パソコンとの連携機能は最も充実していた(録画した番組のMPEGファイルをLANにてPCにコピーできた、等)が、既に生産を終了した。パソコンメーカーであるためか、同社のレコーダーは動作の安定性が家電としては不十分であった。

[編集] 日本ビクター

当初は快録ルパンシ リーズで出していた。さかのぼり録画(電源が入っている状態でチャンネルを合わせておくだけでHDD内に一定時間分のキャッシュを保存し、番組の途中や放 送終了後からでも録画が可能な機能)などの独自機能が多く、画質面においても評価は高かった。特に高圧縮(長時間録画)モードにおける画質は他社製品と比 べてもトップクラスと言われた。またVHSを開発したメーカーとして、ビデオデッキ一体型DVDレコーダーや3in1タイプに注力していた。3in1機は通常の再生はVHS(SQPB)だが、S-VHSのテープをS-VHS本来の画質でHDDやDVDにダビングできた。

しかし、参入が遅かったためか、動作の安定性では劣り、操作性に癖があった。特に快録ルパンシリーズの初期モデルで重大な欠陥が発覚し、回収や修理 等で多大な費用を費やした。それに追い討ちをかけるようにその次のモデルでも別の欠陥が出た。その為ビクターの経営を悪化させる大きな原因を作っただけで なく、ビクターそのもののブランドイメージすら悪化させてしまい、ついには自社での開発中止(=事実上の撤退)に追い込まれ、自社開発モデルは2006年中に順次生産を打ち切った(展示会等では超薄型レコーダーや縦置き型、アンプ・スピーカー内蔵型など、ファッショナブルなレコーダーを提案した)。

もともとはDVD-RAM陣営であったが、ビクターはDVDメディアのメーカーでもあることから、自社開発モデルはDVD-RAMとDVD-RWの 両方の録画再生に対応していた(ただしカートリッジタイプのDVD-RAMはそのままでは使用できず、カートリッジから出す必要がある)。PAL方式のディスクもNTSC方式に変換して再生可能だった。EPGはGガイド。

また、2006年に同社では初となる(結果的に最初で最後となった)デジタルチューナー搭載機を発売した。しかし快録ルパンの商標は使わず、製品自体も反DVD-RAMのシャープのOEMだった。結果、本来ビクターが推していたDVD-RAMは録画も再生もできないと いう最悪の事態となった(シャープ機は再生のみ可能)。更にビクター得意の3in1機もラインアップしない。また、ベースとなったシャープ機と違い、ダブ ルチューナー機能はないにもかかわらず、シャープ機より高価である。独自の機能はなく、ユーザーインターフェースもシャープそのものだった。そのためか全 般的に評価は低く、家電量販店の店頭ではあまり見られなかった。ベース機の世代交代によりOEM供給も止まり、ビクターは民生用DVDレコーダー事業から 完全撤退した。

業務用ではどのメーカーも出していないS-VHSデッキ一体型機(HDDなし)(2008年2月現在で発売中の機種は、「SR-MV50」)や、MiniDVとの3in1機(2008年2月現在で発売中の機種は、「SR-DVM700」)も出している。この両機種については当面販売を継続する。

[編集] 三洋電機

経営不振によるリストラ策で、DVD及びVHS事業からの撤退およびHD DVD事業への経営資源集中が決定された。しかし同社の民生用HD DVD機器は発売されることなく、2008年2月以降、HD DVD規格自体が姿を消した。

[編集] パイオニア

世界初のDVDレコーダーメーカーであり、DVD-RW陣営の筆頭メーカーである。黎明期はシャープ三菱電機SONYケンウッドなどにOEM供給していた。型番は全てDVRで始まる。録画モードや編集機能は多彩で東芝RDに近い高レベルでの作業が可能である。当初よりDVD-RAMとの規格シェア争いに翻弄され、商品展開が迷走状態が長く続いていた。規格争いが一段落した後は、女性向けのデザインと機能が売りの「プリヴェ」シリーズと、デジタルハイビジョンが売りの高画質モデル中心の「ハイビジョン スグレコ」シリーズに落ち着きシェア奪回を目指していた。2005年の夏モデル「たっぷり録り」シリーズからはDVD-RAMの再生も可能となっている。さらに2006年春モデル(デジタルチューナー非内蔵「スグレコ」 シリーズ)では外付けHDDの増設を可能にし、DVD-RAM、+R、+RWの記録にも対応している。2006年秋にはデジタルチューナー内蔵の「ハイビ ジョン スグレコ」シリーズにも外付けHDD対応製品が発売された。EPGはアナログ放送はGガイド、デジタル放送は独自の物。i-Link端子はあるが、デジタルビデオカメラとの接続専用のDV端子で あり、他機種ムーブは出来ない。他社にはないHDD増設や独自の操作性が注目されている。しかし、デジタル放送の2番組同時録画が出来ない等他社に遅れを 取っていた。また、DVD-RAMの全面対応はデジタルチューナー非内蔵モデルのみにとどまっており、2006年秋モデルの内蔵型では全面対応していな い。同年いっぱいでデジタルチューナー非内蔵機は生産終了している。そして、2008年1月には最後まで残っていたデジタルチューナー内蔵モデル・DVR-DT95(400GB・HDD内蔵モデル。2006年10月発売)も生産終了となり、事実上撤退に追い込まれている状態になっていた(その後も公式ホームページは残り続けた)。その後2008年4月23日DVR-WD70というモデルが発表されたが、同社の筆頭株主となったシャープのOEMモデルとなった。前述の通りシャープはパイオニアからOEM供給を受けていたが、皮肉にも5年の時を経てOEMする側とされる側が逆転することとなった。

[編集] 日立製作所

DVD-RAM陣営。デジタルチューナー搭載機は薄型テレビと共通のWoooシリーズを名乗っていた。詳細はWoooを参照。

非搭載機には特に名称はなかった。2006年11月に生産終了している。EPGは当初ADAMS-EPGだったが、2006年モデルではGガイドに 乗り換えている(デジタルチューナー搭載機はアナログ放送用のEPGを搭載していない)。3in1機は自社でのラインアップには無い。HDDなしのVHS +DVDは生産したことがある。

2007年9月をもって、自社での開発中止(=事実上の撤退)に追い込まれている。三菱電機(船井電機と共同開発)の楽レコのOEMとなったため、本来日立が推していたDVD-RAMは再生のみとなってしまった。なお、この事態は今回で初めてではない。ジャパネットたかたなどの通販限定でDV-DT1という3in1モデルがあったが、これは船井電機のOEMで、DVD-RAMは録画も再生もできない。一般のカタログには掲載されていない機種であった。現在は販売を終了した為、日立チェーンストールに供給されるDVDレコーダーはパナソニックDIGA」に変わっている。

[編集] デノン

DVD-RAM陣営。草創期の2003年11月に出したDHR-770SDの1機種のみで撤退。

[編集] シェアの推移

2003年頃までは、DVDレコーダー御三家と呼ばれていた松下、東芝、パイオニアの3社が寡占していたが、ソニーがスゴ録・PSXなどを開発して DVDレコーダーに参入した頃から、日立やビクターなどの他社も次々と参入し、シェア争いは激戦と化した。なかでも、ソニーはかつての御三家と互角のシェ ア争いをするまでになったが、その一方でビクターは先述のとおり重大な欠陥で事実上撤退に追い込まれた。パイオニアもシェアは低迷している現状である。さ らに2007年9月には日立も自社での開発を中止している。ソニーも2008年1月末でBDレコーダーに完全移行した。

2006年以降、自社製薄型テレビとのリンク機能の搭載により、松下・シャープが大きくシェアを伸ばした[1][2]。これに追随し他社もリンク機能を搭載した。

[編集] DVD規格に関する注意点

この節は執筆の途中です この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。

DVDレコーダーを購入・入手時の選択上での主な注意点を以下に列挙する。なお、ハイビジョンの録画に関しては#ハイビジョンレコーダーの項を参照。

  1. 具体的にどの種類のメディアで(加えてどの録画型式で)録画できるのか。録画用メディアの種類(規格)には現在、DVD-R/-R DL/-RW/-RAM/+R/+R DL/+RW/HD DVD/Blu-ray Discなどがあり、また録画形式にはビデオモード(DVD-Video準拠)とVRモード(DVD-VR)がある。一部のメディア規格において一部の録 画形式に対応していない機種がある(一部規格には8cmサイズもあり、同様に対応・非対応がある)。
  2. さらに、次項のコピー制御に関連して、必須となるCPRMメディアへの対応。特にデジタル放送を録画利用したい場合には重要である。
  3. 各規格のメディア、各録画形式について、録画・再生に対応しているのかどうか。また、録画できるとしても放送やビデオ信号からの録画はできず、他の媒体からのコピー限定の場合もある(特に2層DLメディアに多い)。
  4. また、他のDVDプレイヤー・レコーダーなどの機器との間で、DVDメディアを融通したい場合には、当該機器についても上記の詳細な情報を把握しておいた方が良い。また、メディアの種類によってはファイナライズしないと他の機器で再生できない場合もある。
  5. さらに、非対応のメディアや録画方式(CPRMの有無を含め)により録画されたメディア、またその他の非対応の仕様(8cmサイズや両面メディ ア、録画メディアの記録速度など)のメディアを、当該非対応のDVD機器において使用すると、誤動作を起こしたり、最悪の場合は機器の故障を招く場合もあ る。また、メーカーが非対応とするディスクを使用して万が一故障した場合、無料修理などの保証が受けられなくなる恐れがある。
    • 例)東芝製DVDレコーダー「RD-Style」の場合、VRモード録画したDVD-Rディスク、Videoモードで録画したCPRM対応という表示のあるDVD-Rディスクは、未対応の機器にディスクを挿入するだけで、機器及びディスクが故障・破損する場合があり、そのような場合には保証対象外となってしまうと公式サイトに 記されている。ここ最近、デジタル放送録画用のCPRM対応のDVD-Rディスクが安価になってきているが、ディスク単体ではCPRM対応の記載があるか 良く分からない場合もあるので、未対応の機種を有していたり、他人にVideoモードで録画したDVD-Rディスクを渡すときも注意が必要である。

[編集] DVDレコーダーとコピー制御の関係

現在、BSデジタル放送110度CSデジタル放送地上デジタル放送、デジタルケーブルテレビスカイパーフェクTV!の一部番組、の各放送においてコピー制御が実施され、「コピーワンス」(1回だけ録画可能)「コピー禁止」の制御信号を付加された番組に対しては、DVDレコーダー側の録画等の動作に対してもさまざまな制限が課せられる。

[編集] アナログメディアとコピー制御

デジタル放送関連のコピー制御については、デジタル信号(映像・音声)やデジタル媒体にのみ載せられるものであり、アナログ信号やアナログ媒体(VHSS-VHS等)には無縁なものであるという誤解が抱かれがちである。しかし、実際には、デジタル放送チューナー等から出力されるアナログ信号、およびその信号を録画したアナログ媒体に対しても通常、コピー制御の信号(通常はCGMS-A)が重畳されている(CGMS-Aのコピー制御信号は垂直帰線区間に 記録されているため、コピー制御非対応の機器でもそのまま素通りして除去されることなく記録される。)。なお、SKY PerfecTV!では、アナログ信号出力には、「コピーワンス」のCGMS-A制御信号は一部のコンバータ機種を除いて出力されない。ただし、「コピー 禁止」のCGMS-A制御信号は出力される。

つまり、デジタル放送チューナー等からアナログ映像・音声ケーブルでアナログ方式のVTR(コピー制御対応・非対応を問わず)に接続して録画した場合においても、当該ビデオテープにはCGMS-Aの制御信号が記録される(ただし、1990年代までに発売された一部の旧型製品の場合、記録の際の同期信号の入れ替えなどにより、CGMS-Aの制御信号が記録されないことがある。)。そして、そのテープをコピー制御対応のVTRD-VHSデッ キなど)で利用したり、またはコピー制御非対応のアナログ機器からアナログ映像・音声ケーブルでコピー制御対応のデジタル機器に接続し録画等したりする場 合には、コピー制御の影響を受ける(従来のVHS専用機などコピー制御非対応の機器で録画等する場合には、CGMS-Aによるコピー制御の影響は受けな い。ただし、CGMS-Aで「コピー禁止」の映像信号には通常、マクロビジョンのコピー制御も掛かっており、CGMS-Aのコピー制御非対応の機器でも録 画はできない。しかし、前述の一部の製品では、記録可能な場合がある)。

[編集] コピーワンス・コピーネバー

また、「コピーワンス」のコピー制御信号が付加されたデジタル放送(番組)を録画する場合には、基本的にはCPRMに 対応したメディアおよび機器が必要である。DVDレコーダーによっては、CPRM対応メディアの内、一部の種類(規格)(※次号参照)のCPRM対応メ ディアには、非対応で録画できない場合もあり注意が必要である。また「コピー」と言っても、デジタル放送をHDDやDVDに直接録画する場合は(放送から のコピーと言う事で)別として、HDDからDVDに対してはコピーではなくムーブ(移動)となり、またDVDからHDDへはムーブできない(戻せない)。 HDDやDVDからVHSへについては、ムーブではなくコピーが可能。ただし、そうしてできたVHSから、HDDやDVDにはコピー・ムーブができない (戻せない)。この場合の多くは「画像安定装置」を使用して録画などをすることが多い。

なお、「コピーネバー」(録画禁止)のデジタル放送の場合は、(コピー制御対応機器での)録画は一切できず、逆に「コピーフリー」(制限なしに録画可能)の場合には、コピー制御に起因する制限は受けない。

[編集] CPRM対応メディア

CPRM対応のメディアは当初はDVD-RAMとDVD-RWのみだったが、2004年にはDVD-RにもCPRM対応メディアが登場した(使用す るにはレコーダー側もDVD-R CPRMに対応している必要がある)。CPRM対応メディアの販売単価は、CPRM非対応メディアの数倍から10倍程度であり、割高である。DVD- RAMとDVD-RWの録画用メディアはCPRM対応の物も多いが、それ以上にDVD-RのCPRM非対応メディアが大量に販売されているため、利用者は 注意が必要である。

DVD-R DLに関してもCPRM対応メディア・レコーダーがやや遅れて2005年に登場した。

なおDVD+RWアライアンス制 定メディア(+R/+RW)に関しては著作権保護規格の策定が遅れており、現在のところコピー制限が付加されたデジタル放送を録画できる機器・メディアは 存在しない。DVD+RW陣営であるソニーはBlu-ray Discの推進を強化してDVDレコーダーの新規開発停止を表明したことから、+R/+RWはこのままデジタル放送非対応で終わる可能性が高いとされる。

なお、CPRM対応メディアにコピーワンスの放送を録画する場合、DVD-VR(VRモード)でしか録画(および再生)できない。(DVD-Video《ビデオモード》でCPRMメディアへの録画は、メディアの規格上は可能であるが、レコーディング規格上不可である)

[編集] 現状のコピー制御に関する問題点

上記のように、各種デジタルレコーダーにコピーワンス信号入り番組を録画した後、他のメディアに移動させると、元のレコーダーに記録されていた番組 データは消去される仕組みである。ムーブ作業が何らかのトラブルで失敗しても、元のレコーダーに記録された番組データが消去される場合がある。この問題が 原因で大事な番組を保存出来なかったと、消費者からの苦情と不信感を招く事態が起こっている。

また、消費者が著作権法の下でも本来なら合法的とされるバックアップが出来なくなる点や、お気に入りの映像の編集作業に著しく制約を受ける点についても批判的な声が続出している(なお、日本のデジタルテレビ放送におけるコピー制御については、「B-CAS」の項目で詳しく解説している)。


そんな声を受けて、地上デジタル・BSデジタル放送では2008年にコピーワンスが緩和され、9回までのコピーと1回のムーブが許可される見通しとなった(通称「ダビング10」)。

2007年秋以降に発売されるレコーダーは、メーカーによってはアップデートでダビング10に対応予定としているが、具体的な運用方法が定まってい ないため各社とも必ず対応するとは断言できない状況である。また、それ以前に発売されたレコーダーは基本的にはアップデートでも対応できないと思われた が、パナソニックは2007年12月3日に2006年秋以降に発売されたDVD/BDレコーダー全機種をアップデートで対応すると発表した。続いてシャー プも12月12日に2007年2月以降に発売された全機種、そしてソニーも2008年1月に2006年11月以降発売された全機種、三菱電機も2007年 以降に発売された全機種をアップデートで対応すると発表した。なお、パイオニア・日立・東芝等からは未発表である。

[編集] 売れ行き不振

上記のような、徹底した著作権保護技術(コピーワンスなど)の搭載によって合法的なバックアップも完全に排除されてしまったこと、またDVDレコー ダー自体の多機能化によって操作が難解になったことが影響し、2007年現在DVDレコーダーは深刻な売れ行き不振に直面しており、DVD関連機器メー カーに大きな打撃を与えている。

こうした動きは、HD DVDBlu-ray Discなどの次世代DVDの登場による一時的な買い控えであるとの見方もあったが、現在では過剰ともいえる著作権保護技術の制約を受けず、また操作が容易な旧来からのVHSビデオデッキが未だ多数残っている事から、DVDレコーダーに買い換える必要性を感じない消費者が多いことが普及率の上昇を妨げているとの見方が有力である。これは、2006年は消費者の購入が期待されるイベント(トリノオリンピックFIFAワールドカップなど)が多かったにも関わらず普及が進まず、日本国内出荷台数は前年よりも18%も減少(348万台 - 2001年からの調査以後初の前年割れ)してしまったことがその理由として挙げられる。

また、テレビ番組等を録画する際に、DVDレコーダーのSPモード(標準画質)とS-VHS方式の3倍モード(ほぼ同等の画質と言われる)で比較した場合、『S-VHS ET』対応機とVHSテープの組み合わせでは後者の方が時間当たりの録画コストが安く付く場合がある。加えて、高齢者のみの世帯においては、DVDレコーダーなどのデジタルAV機器は、従来からのテープ方式に比べ、操作が複雑で扱いにくさを感じる人も少なくないという。

また、テレビ放送を録画して保存する、あるいは放送時間をシフトして視聴するユーザーが、意外に少ない事も影響していると思われる。既にVHSビデ オデッキの頃から、多くのユーザーはレンタルビデオの再生を目的としてデッキを使用している。そういうユーザーにとってはDVDレコーダーは必要なく、 VHSからの移行はDVDプレーヤーで十分である。そして放送時間をシフトして視聴するならHDDレコーダーでも十分であり(テレビに内蔵している製品が 多い)、そうなるとDVDレコーダーをあえて選択するユーザーは、テレビ放送を録画して保存する事を趣味とするユーザーだけという事になり、実際の市場規 模はメーカーが考えるほどは大きくは無かったと言わざるを得ない。

なお、2007年3月時点での世帯普及率は40%程であるため、市場が飽和状態にあるとは言えず、普及に歯止めが掛かる理由とはならないと電機メーカー各社は見ており、一部のメーカーはDVDレコーダーの操作を容易にかつ解りやすくするなどして、そのシェアを伸ばしているが、市場全体としてみればブロードバンドなどの影響もあり、据え置き型映像機器の市場そのものの縮小に歯止めがかかっておらず、根本的な解決策とはなっていないのが現状である。

この結果、以前から不振が続いていたメーカー(日本ビクター・パイオニア・日立製作所など)は、事実上の完全撤退に追い込まれ、堅調なメーカーとの2極化が進んでいる。

[編集] 現行DVDレコーダー一覧(2008年3月現在、次世代機は除く)

D-VR7を除きデジタルチューナーを搭載している。

[編集] 松下電器産業

  • DMR-XP12(HDD:250GB、AVCREC搭載)
  • DMR-XW120(HDD:250GB、AVCREC搭載、Wチューナー)
  • DMR-XW320(HDD:500GB、AVCREC搭載、Wチューナー)
  • DMR-XP22V(HDD:250GB、AVCREC搭載、VHS一体型)
  • DMR-XW200V(HDD:250GB、AVCREC搭載、VHS一体型、Wチューナー)

[編集] 東芝

  • RD-E301(HDD:300GB)
  • RD-S301(HDD:300GB、Wチューナー)
  • RD-S601(HDD:600GB、Wチューナー)
  • RD-W301(HDD:300GB、VHS一体型)
  • D-VR7(HDD無し、VHS一体型)

[編集] ソニー

現在はDVDレコーダー市場から完全撤退。

[編集] シャープ

  • DV-AC80(HDD:250GB)
  • DV-ACW82(HDD:250GB、Wチューナー)
  • DV-ACW85(HDD:500GB、Wチューナー)
  • DV-ACW90(HDD:1TB、Wチューナー、2008年現在生産されている次世代機を除くDVDレコーダーの中で唯一の1TB)
  • DV-ACV52(HDD:250GB、VHS一体型)

[編集] 三菱電機

  • DVR-DS8000(HDD:250GB)
  • DVR-DW100(HDD:250GB、AVCREC搭載、Wチューナー)
  • DVR-DW200(HDD:500GB、AVCREC搭載、Wチューナー)
  • DVR-DV735(HDD:250GB、VHS一体型)
  • DVR-DV745(HDD:400GB、VHS一体型)

[編集] パイオニア

  • DVR-DT95(HDD:400GB、現在のところパイオニアの最終機種、在庫のみ)

[編集] 日立製作所

  • DV-DH500H(HDD:500GB)
  • DV-DH250VH(HDD:250GB、VHS一体型)
  • DV-DH500VH(HDD:400GB、VHS一体型)

注:日立の現行機種はすべて三菱電機のOEMである。(ただし、HDD容量はOEM先の製品と若干異なっている)

[編集] 次世代光ディスク関連

DVDとは異なる次世代光ディスクとしては、Blu-ray DiscHD DVDがあるが、詳細については当該記事を参照の事。この章ではDVDレコーダーとの関連性が強い部分や共通性がある事項についてのみ紹介する。

[編集] 登場した背景(概要)

2003年~2004年にソニー、パナソニック、シャープから登場したBlu-ray Discレコーダーは再生専用BD-ROMソフトの登場以前であるため一般的な製品ではなかった。本格的に製品化されたのは2006年のことである。

2007年9月の時点では映像記録用光ディスクレコーダー全体の数パーセント程度のシェアに過ぎなかったが、2007年の年末商戦から2008年の北京オリンピック商戦にかけて、ネット通販の価格で10万円を切るレコーダーが登場し、2007年12月はDVDレコーダー全体の20パーセントを占めるまでになった。そのため、今後普及が加速する可能性が高い。ソニーは2008年2月現在、BDレコーダーのみの生産に移行した。


[編集] 次世代光ディスクレコーダーの記録方式

[編集] Blu-ray Discレコーダー

詳しくはBDレコーダーを参考。

  • DR(ダイレクトレコーディング)/TS(Transporting Stream)録画- デジタル放送の映像や音声を劣化なしで直接記録(エンコードを 伴わない記録)する。Blu-ray DiscレコーダーではHDDとBlu-ray Discにも直接録画ができる。記録可能時間は片面1層(25GB)の場合、BSデジタル(約24Mbps)は約2時間、地上デジタル(約17Mbps) は約3時間であり、片面2層(50GB)メディアへの録画可能時間はそれぞれ2倍となる。
  • ソニー・松下電器産業が2007年11月、三菱電機が2008年5月に発売したBlu-ray Discレコーダーは、MPEG-2 TSに比べて圧縮効率が高いMPEG-4 AVCエンコーダを搭載する。これによりハイビジョン解像度のまま最大3~4倍の長時間記録が可能になる。また松下電器産業のブルーレイDIGA及び三菱電機のREALブルーレイは、AVCREC規格により記録型DVDにもハイビジョン記録が可能になった。

[編集] HD DVDレコーダー

  • TSモードは上記のBlu-ray Discレコーダーとほぼ同じである。HD DVD-Rの記録可能時間は、BSデジタル(約24Mbps)の場合は片面1層(15GB)で約1時間21分。地上デジタル(約17Mbps)の場合は約 1時間55分。片面2層(30GB)の記録時間はそれぞれ2倍である。
  • 東芝のHD DVDレコーダーではデジタルハイビジョン放送を標準画質のMPEG-2 PSにダウンコンバートしたもの(DVD-VRに相当する)をHD DVD-Rに記録することができる。この機能はBlu-rayレコーダーには搭載されていない。
  • 2007年12月に東芝から発売されたRD-A301ではMPEG-4 AVCエンコーダを搭載し、ハイビジョン解像度のまま長時間記録を可能にした。また、HD Rec規格を採用し、記録型DVDにもハイビジョン録画が可能となった。

[編集] 製品の沿革(BD/HD DVD)

  • 2003年4月 - ソニーが同社、及び世界初のBlu-ray Discレコーダー「BDZ-S77」を発売。しかし再生専用(ROM)規格の策定の遅れ、価格の高さ(発売当時の価格は約40万円)などによりBlu-rayレコーダーの普及はほとんど進まなかった。
  • 2004年7月 - 松下電器産業が初のBDレコーダー「DMR-E700BD」を発売。
  • 2004年12月 - シャープが初のHDD+Blu-ray Discレコーダー「BD-HD100」を発売。160GBのHDDを搭載。
  • 2006年7月 - 東芝が世界初のHD DVDレコーダー「RD-A1」を発売。1TBのHDDを搭載。
  • 2006年11月 - 松下電器産業がBD-ROM再生対応Blu-ray Discレコーダー「DMR-BR100」「DMR-BW200」を発売。
  • 2006年12月 - ソニーも追随してBD-ROM再生対応BDレコーダー「BDZ-V7」「BDZ-V9」を発売。
  • 2007年5月 - シャープが記録もできるBlu-ray Discプレーヤー「BD-HP1」を発売。発売当時同社及び国内初のBD「プレーヤー」だった(BD再生機能を備えたPS3は除く)。
  • 2007年6月 - 東芝がHD DVDレコーダー「RD-A300」「RD-A600」を発売。このころから徐々に次世代機が低価格化する。
  • 2007年10月 - シャープがHDDの無いBD単体レコーダー「BD-AV1」「BD-AV10」を発表。次世代機としては初めて予想実勢価格が10万円を切った。また、同製品は業界で初めてアナログチューナー非搭載となった。
  • 2007年11月 - ソニー、パナソニックが立て続けにMPEG-4 AVCエンコーダを搭載したモデルを発売。
  • 2007年12月 - BDレコーダーの売れ行きが好調でレコーダー市場全体の20パーセントを占めた、と発表された。
  • 2007年12月 - 東芝もMPEG-4 AVCエンコーダを搭載したHD DVDレコーダー「RD-A301」を発売。
  • 2008年2月 - 東芝がHD DVD事業からの完全撤退を発表。
  • 2008年5月 - 三菱電機がBDレコーダーへ参入。「DVR-BZ100」「DVR-BZ200」の2機種を発売。