2011年2月13日日曜日

エリック・ランダーの最新総説:Initial impact of the sequencing of the human genome

2001年2月15日、二つの大きな論文がnatureとscience誌上に発表された。ヒトゲノムプロジェクト研究の最初の概要報告である。ホワイトハウスではクリントン大統領による華々しいセレモニーが繰り広げられた。あれから10年経つ。経ったんだなあ。

Science誌にはセレーラのベンター論文が掲載された。一方Nature誌には62頁の大論文が掲載された(なおゲノムプロジェクト関連論文だけで30報近くが一挙にこの週のnatureには掲載された。通常の2倍の分厚さだった)

このnature論文の筆頭著者がエリック・ランダーである。

ランダーは今週号のnatureで過去10年を振り返った総説を書いている。これを読んで、小生は感激してしまった。

ランダーが天才的に優れた数学者であり、神経科学者であり、遅れて遺伝学に迷い込み、ヒトゲノムプロジェクトの中心人物になっていった過程はこれまでなんども報じられているし、実際論文が出てくるたびに「またランダーか」と思っていたこともあったが、この総説を読んでなんとまあ幅の広いパースペクティブを持った研究者なのだと驚き感動してしまった。

なんといってもキーポイントは「わかりやすい」論文だということだ。

知らないことを一杯教えてくれる、極めて効率の良い総説である。バランスが良い。ゲノムに関すること、この10年のことはすべて盛り込まれているのではないか?

昨晩寝る前に何気なく読み始めたら、あまりに面白くて気が付いたら2時半であった。


3つの問い

  1. 過去10年何を我々は学んだか?
  2. ヒトシークエンス研究は生物学、医学、進化、ヒトの歴史の理解を押し進めたと言えるか?
  3. 今後これから見えてくるものとは?

これを核に論は進められていく。

知らないことが山のようにあるのだということを知らされた。自分のためにも、ぜひ梗概を作りたい。今後教科書はどうなるのであろうかねえ。古い知識体系しかもたないヒトは今後学生を教えることができなくなるな。

Initial impact of the sequencing of the human genome


Eric S. Lander

Journal name:Nature
Volume:470,
Pages:187–197
Date published: (10 February 2011)
Published online: 09 February 2011



The sequence of the human genome has dramatically accelerated biomedical research. Here I explore its impact, in the decade since its publication, on our understanding of the biological functions encoded in the genome, on the biological basis of inherited diseases and cancer, and on the evolution and history of the human species. I also discuss the road ahead in fulfilling the promise of genomics for medicine

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